ドライクリーニングは、その溶剤が生地を痛めるのをご存知ですか?
せっかくのいい生地も、脂分が抜け、艶が失われ、繊維自体も細くなってしまいます。
*一長一短があるので、こんな書き方をするとクリーニング業界からお叱りの電話が入りそうですね(汗。
僕の実際の経験では、婦人服の綿レースが、所々ちぎれてしまいました。
切れていない部分も、レースの糸がかなり細くなって、今にも切れそうになっていました。
もちろん、最初のコットンの風合いなんて残っていません。
スーツについては、日々のお手入れで、生地の風合いは保てます。
しつこいですが、ドライをかける事で、風合いが損なわれてしまう事があるのです。
ドライは、シミをつけたり、汚してしまったりした時など、
主に油性の汚れがついた場合だけに留めておかれることを、僕はお客さまにお勧めしています。
ちなみに、汗はドライクリーニングではほとんど取れず、水洗いでのみ落ちます。
だって、汗って『水溶性』の汚れですからね。
それでは、『日々のお手入れ』について、具体的にお伝えします。
1)着終わったらブラシをかける!
ブラシは出来るだけ一定方向に、埃のたまりやすい部分を重点的に。
2)肩幅のある、しっかりしたハンガーに掛ける!
いい加減に掛けたまま吸収した汗が蒸発すると、型崩れの原因になります。
3)クローゼットに入れる前に、陰干しする!
ハンガーに掛けたら、直ぐクローゼットに入れず、風通しの良い日陰に干す。
湿気ったまま仕舞ってしまうと、カビや臭いの原因になります。
4)ハンガーに掛ける時は、ボタンを留めずに!
留めた部分に、変なテンションが掛かって皺が入ります。(型崩れ)
既製服の売り場で留めているのを目にするので理由を聞いたところ、そう教育されたとか。
ビックリして更に突っ込むと、見栄えの問題だとか。
洋服のこと、何も考えてないんですね。
5)吊るしておく時は、ポケットの中には何も入れない!
重みのせいで型崩れの原因になります。
6)ハンガーは木製がいい!
靴のシューキーパーには木製がいいのと同様、ハンガーも木製が汗を吸収します。
但し、木製ハンガーは重量があるため、あまり間隔を詰め過ぎて掛けると
肩の部分を傷めてしまうので注意が必要です。
僕は家では、陰干しの際は木製で、
クローゼット内はマッセアトゥーラで使っているプラスティクを使っています。
次は『汗ジミのお手入れ』について、お伝えします。
最近では汗抜きクリーニングなるものがありますが、ここでは
ウールのパンツを、愛情込めてご自宅のお風呂場で、自分でやってみましょう!
1)お風呂に10cm程度のぬるま湯を張る!
2)使用する洗剤について!
洗剤は石鹸でもウール専用洗剤でも、どちらでもよいですが、
全体を洗う場合は専用洗剤の方が楽です。
3)押し洗いをする!
洗濯物は浸して、押し洗いします。
絶対に、もみ洗いしたり、生地を斜め方向に動かさないで下さい。
斜め方向に動かすと、ウールは必ず縮んでしまいます。
直接手で押すと動いてしまうので、上からタオルを当てて押し洗いすると良いかも。
4)すすぎ洗いをする!
洗いと同じ要領で、水を何度も換えながらすすいで下さい。
5)脱水する!
脱水機は、生地を動かすことになるので厳禁です。
平らな場所にバスタオル等を敷き、その上に洗い上げた洗濯物を置きます。
上からもう1枚タオルを掛けて、洗濯物を挟み込んでやります。
生地を動かさないように、ゆっくり押さえて、水分を取り除いてやりましょう。
6)乾燥させる!
直射日光の当たらない風通しの良い平らな場所で、自然乾燥させます。
7)仕上げについて!
ご自身でプレスが出来なければ、
クリーニング屋さんで、プレスだけお願いされては?
取次店ではドライ不要でプレスだけ、という事が出来ない場合があります。
一度、ご相談されてみればいかがでしょう。
個人経営のクリーニング屋さんの方が、何かと融通が利きますね。
これで、汗もしっかり取れて、
ドライクリーニング後の、あの嫌なベトつき感も残りません。
ただし、あまり頻繁にやり過ぎると、色落ちなどの原因にもなりますから、程々に。
また、モヘアを水洗いすると張りがなくなったり、
毛足の長いフラノだと、毛先が飛び跳ねたりしますので、ご注意下さい。
服好きの人間が今まで失敗を繰り返しながら、好きでやってる程度だとお考え下さい。
最後に『プレス(スチーム)』の効果について、お伝えします。
1)生地に潤い(水分)を与えます。
2)型崩れを、元に戻します。
3)付着した臭いが取り除かれます。
4)生地が徐々に締まっり、風合いが増します。
5)プレスは生地をモイスチュアライズしますので、効果あります。
ざっと書いてみましたが、
僕は洋服を作るプロであって、ケアのプロではありません。
ここで書いたのは、あくまでも1人の服好きとして、今までの失敗に基く経験値です。
これからケアについても、洋服を販売する上でもっと勉強しますね!