生地のお持込み

お父様がテーラーを営んでおられたというKさんですが、

そのお父様がお亡くなりになられ、縫ってもらえる人が居なくなって、

困っておられた折、10年来お付き合いをさせて頂いているお客様からご連絡を頂きました。



そのお客様Oさんから、「柳瀬さんトコ、生地の持ち込みって出来る?」とお電話があり、

基本的にはお断りしていると言う理由を色々と伝えさせてもらいました。

その理由は、お客さまにかかってくるリスク、そして、

僕の方にかかってくるリスクです。



万一事故が起きた場合、その生地が一点物で差し替える生地がない場合ですと、

その生地は戻ってきませんから、多大なご迷惑をかけてしまいます。

代わりの生地を探そうにも、全く同じ生地が見付からないと、

お金で解決する以外に解決策が見付からない場合、

正直言って、お客さまにとってはお金の問題ではない!となってしまいます。



またこれはあって欲しくない事ですが、

残念にも、最初から悪意がある方がいらっしゃって、

法外な代金を請求されて困った事があるという事も聞いたことがあります。



人がすること、細心の注意を払っていても、100%は不可能です。

ですので、やはり信頼できる方でないと、、と言うのがこちらの言い分なわけです。



たまにご新規で来られたお客様が、

「持ち込み料を払うから」と言われるケースもありますが、

そういう問題ではないこと、ここまでお伝えして分かって頂けると思います。



しかし例外的にお受けするケースもあります。

もちろん、持ち込み料なんてなしに、仕立て代だけの費用で。

今回のOさんからのご紹介もその一例で、Oさんの人柄や信頼感によるものです。



もちろん、Oさんと僕との間でいくら信頼関係があると言いましても、

Kさんが「大切な生地、お前に任せられるか!」ってなると、成立しない話ですが。(汗)



今回の生地、前回の仮縫で型紙も完成していますので、

生地の特性を見極め、微調整の上でいきなり本縫いに入らせて頂きます。

大切な生地をお任せいただけます事、嬉しく、そして光栄です。

出来上がりまで暫くお時間下さいませ。