お父様さまが生前に仕立てられ、着ておられたお洋服だそうです。
お付き合いも5年目に入ったHさんからのご依頼で、仕立て直しをさせて頂きました。
その金沢のテーラーさんが廃業されたそうで、解くと、良いお仕事をされていた事が随所に見受けられます。
バスト4cm出し、ウエストを6cm詰める程度で、寸法的には然程、大きくは違わないのですが、
お父さまとは骨格が大きく違って、
肩の傾斜が随分と違ったり(Hさんは左怒肩、右は撫肩)、
反屈伸が違ったり、立体寸法が違うので、難しい微調整が必要な仕立て直しでした。
ただ、上着の前の打ち合いを、もっと逃がす(広げる)ために、首元の縫い代が残っている限界までは
調整させて頂きましたが、これ以上は逃がす事が出来ずに心残りでした。
でも、Hさんご本人には喜んで頂けてホッとしました。
上襟も全て解き、
肩の傾斜も綺麗に会いました。
でも、左肩線の縫い代はギリギリでした(汗。
袖丈を出さなければならなかったのですが、
元々の3コボタンに、1コボタンを追加して、せっかくなので、
それじゃってことで、本開き本切羽に見えるようにさせて頂いときましたよ(笑。
20年近く前のボタンと、全く同じものがなかったので、そこからひねり出したアイデアですけどね。
ベストも綺麗に仕上がりました!
Hさん、末永く大切に着続けていって下さいね。
良いお仕事に携わらせて頂けて、本当にありがとうございました。