オールシルクのツイード調のザックリしたジャケットです。
真夏以外、1年を通じて使って頂け、
Kさんから「軽い上に柔らかい!」と言って頂きました。
Kさん、いつもありがとうございます!!


シルク(絹)について簡単な説明をさせて頂きますね。

蚕(幼虫)が成虫(蛾)になる時、蚕は繭を作ってその中で過ごします。
外敵や紫外線から蚕を守る役割を果たす存在が繭で、
繭の中は乾燥し過ぎることなく適温が保たれるそうです。
その繭を利用して作られる繊維がシルクですから、自然界において、
蚕の命が守られるのと同様、この繊維を身にまとう人間も守られるような気がします。

シルク繊維はアミノ酸で構成されたタンパク質で人間の肌にもっとも近い天然繊維で、
吸水性や保湿性に優れ、速乾性にも優れている機能素材です。
また、シルク繊維は熱伝導率が低いですから、夏は外気の暑さを伝えにくく、
冬は寒さが伝わりにくいという、1年を通じて体温を逃がさない快適な素材でもあります。

ただし、シルク繊維は極細(直径10ミクロン)で、
ウールの繊維番手に換算すると「Super270’S」ほどになり
とてもデリケートな素材でもありますから、糸引きなどが起こりやすく
引っ掛けないように、注意が必要です。(ちなみに繊維番手と糸番手は異なります)
お手入れも、ちょっとした知識があれば気軽にお付き合いして頂けますので、その都度お伝えしています。

最後に、、
この生地は『Tessitura di NOVARA』というシルク専業とも言えるイタリアの機屋製です。
1932年創業で、2009年からE・Zegna 傘下になりました。
もともとは、主に高級プレタポルテ(既製服)の生地を織っていましたが、
ゼニア傘下となったことで、
オーダー用の生地として僕たちも手に入れることが出来るようになりました。
またNOVARA社にとっても、今までのシルク100%に加え、
ウール、カシミア、リネン等のノウハウを得て
ラグジュアリー素材の生産がおこなえるようになりました。
消費者にとっては嬉しい限りですね!



この生地、ローマの休日が公開された1953年製のドラッパーズのVINTAGEだと聞いています。
でも、ドラッパーズの創業は1956年、、ん??まぁイタリアですから。
今日は、アメフトをされていたNさんの着せ付けでした。


ハウスクチュールの初めての仮縫でしたので、コーヒーを飲みながら
念入りに細かな補正を5回ほど繰り返させて頂きました。
少しずつ変わる造形を愉しんで下さいました。
Nさん、ありがとうございました!




先日の「ホワイトツイード」の最後のほうで併せてご紹介させて頂いた
Kさんの「一澤信三郎帆布」で作ったジャケットです。
5年経過して、良い雰囲気になってきました。





いつもながら、Kさんらしいセレクトです!
合わせたれたシャツも素敵です。


完成してお渡しまで店内に掛けていたら、
数名の方から、「この生地まだあるん?」と言っていただきました。

残念ながら、以前フィレンツェの生地屋さんの倉庫で見付けてきた70年代物で、最後なんです。
生地として在庫している時は目立たなかった生地が、完成すると欲しくなる。
生地を見て、いかに完成をイメージ出来るか!なので、
僕も「あの手この手」で伝えるのですが、
なかなか難しいですね汗。

Kさんとは15年来のお付き合いになりますから、
イメージの刷り合わせはとてもスムーズに進むんですけどね、、
個性的ですが、Kさんらし優らかな雰囲気のスーツに仕立て上がりました!!
いつもありがとうございます。

次の画像は、Kさんが着てきて下さった一澤信三郎帆布を使ったジャケットです。
オーダーから5年経って、やっと馴染んできましたねー