以前ご紹介させて頂いたコートが完成しました!
仮縫の時は判り難かったですが、打ち合いの段返りがハッキリ分かります。


バストからウエストにかけてのシェイプも綺麗に造形されています。


適度な着丈です。
どんどん変わってゆく表情が楽しみです。
Kさん、10年後のお写真、また撮らせて下さいね!!!

2年越しでやっと見付けたピアチェンツァのカシミア地を使って、
ダブルのコートをオーダー頂きました。Tさん、長らくお待たせしてごめんなさい。


生地の質感と絶妙な色合い(僕の撮影技術では伝わりません!)を存分に表現するため
シンプルなダブルのコートをお勧めしようと思っていたのですが、、が!です。


どこか、ひと捻りしたお洋服がお好きなNさんですから、
(この辺りの感覚は10年以上のお付き合い、心得ております!笑)
ショールカラーをご提案させて頂きました。


さらにラペルを段返りにします!


11月末の完成を目指します!
完成が楽しみです。




毛足の長いアルパカ素材にファーの衿という、ゴージャスなコート。
ショールカラーに似せたアルスターカラーに、ダブルの打ち合いは片方留めという独特のデザインです。
袖口もターンバックと同じ厚みがあるものの、フラットな仕上げにしてあります。
ディーテール毎に写真を撮らせて頂けばと、後で気付きました。


仮縫段階のピークドラペルから、
ショールカラーへご変更のご希望があったのですが、
その変更は叶わず、止む無く「ショールカラー風」とさせて頂きました。
袖の切り替えも、仮縫時のターンバックからの変更ですが、試行錯誤の末、良い感じになりました。


ウエストを絞ったシルエットは、かなりスッキリしていますが、
モコモコの生地感によって、ふんわりした毛皮のような雰囲気になっています。
実際、見られた皆さんから「毛皮?」と聞かれました。


Oさんの発想、いつも楽しませて頂きます。
デザインの新たな可能性、創造の楽しさ、出来た時の喜び。
今回のコートも、完全オリジナルの唯一無二な存在として完成いたしました。。



馬車の時代、男にとってのステータスシンボルはコートでした。
モータリゼーションの波が押し寄せ、それはコートから車に代わりました。
そんな馬車の時代に思いを馳せながら、優雅に身に纏って頂きたいコートに仕立て上がりました。


ホワイトミンク30%、ベビーカシミア70%という弩級素材。
漂白はもちろん、染色も最小限に留められ、
風合いが保たれています。

光が当たると、真珠のように「ピーコック」に輝きます。
この綺麗な生地をサンプルで見られた瞬間、気に入られたTさんですが、
あらためて屋外で見て頂いた時、その「ピーコック」に移り変わるサマに惚れ込まれました。

バックスタイルのデザインは
ピエゴーネ(アクションプリーツ仕様)で仮縫を組ませて頂きましたが、
プレーンなセンターベント仕様に変更する事になりました。


行き過ぎた存在感が出ることを抑えるためデザインはシンプルに、、
その結果、、シンプルなデザインが故に、より素材感が引き立つコートになりました。


最後に、ボタン探しのエピソードです。
この素材に負けないボタン、かといって前に出過ぎないボタン、、
ボタン探しが大変でした。

この生地と同じような色の変化が起きるブラウンのマザーオブパールは
この生地の為に作られたかのような錯覚を覚えます。
見つけた瞬間、体が震えました。

Tさん、いつもありがとうございます。
お手入れについて、しっかりお伝えしてまいります。



以前からご案内させて頂いておりました
シルクコットン素材のスプリットラグランのコートです。
季節の変わり目に羽織るためのコートをご希望され、提案させて頂きました。
秋口にも春先にも着て頂ける色合いと素材感は、着るほどにNさんの気持ちに馴染んでくれるでしょう。


優雅な雰囲気を醸すため、程好いサイズ感に仕上げました。
生地感を生かすために、ハンドステッチだけでなく、
全体をほぼミシンを使わずに縫い上げました。


シルクの光沢は、
使うほどに少しずつ鈍くなって、
生地の表面にうっすらと霞がかかったように
変化していきます。そして表面的な光沢から奥深い光沢へと、
底艶という表現が似合うのか、なんとも言い表せない独特の光沢に変わります。

これは絹糸の構造に由来します。生糸の繊維構造は三角形になっていて
この形が入ってきた光をプリズムのように反射し拡散させます。
光の反射と拡散によって、独特の光沢が生まれます。



希少ラムズゴールデンベールとカシミアの混紡という
ラグジュアリー素材で仕立てさせて頂くクラシックなチェスターコート。
触った感じ、コートにすると薄く感じますが、目が詰まっていて650g/mもあります。
そのせいか、厚手のカシミアのような感じではなく、ドレープ感のあるシャープな雰囲気にも関わらず、
もの凄く暖かいです。


生地がお好きで、手に触れられる機会が多い方は、
触った瞬間、その独特の手触りに驚かれる、そんな生地です。
こんなにしっかりしているのに、どうしてこんなに柔らかいんだろう!?$#%&%
ここから先は、経験値がクラッシュします!そして脳ミソがとろけます(笑。


以前、ユーロテックスの生地で『ダイヤモンドケーブル』という生地がありましたが、同じ原理です。

糸番手は太いのですが、繊維番手が極細ですから、
糸の断面を見ると、繊維密度が高くて空気をたっぷりと含んでいます。
この意味、瀬戸大橋のケーブルの断面を見た事がある方なら分かって頂けると思います(笑。
僕なりに考えた結果、瀬戸大橋のワイヤーに例えてみます(笑。


糸番手がケーブルの直径だとすると、繊維番手は赤青黄で、各色127本のピアノ線から成っています。
直径約1mのケーブル1本は、何と!!
直径約5mmのピアノ線が34417本も束ねられて作られているそうなんです。
1本の棒状より、こちらの方がしなりやすく、強度もありそうですよね!
なんだか、応用力学?の勉強みたいになってきましたね(爆


見た目にはシンプルですけれど、
ちゃらいラグジュアリーなんてフンって感じの
分かる人にだけ分かるクラス感かな~なんて思うのです(笑。
Nさん、しっかりメンテナンスをさせて頂きますので、これからも宜しくお願いいたします。




6月頃から打ち合わせを始め、仮縫を経て
ちょうど良いタイミングで完成したMさんのポロコートです。

ピアチェンツァのカシミアを使って、大学生の頃に、
モデルをされていたというMさん好みのタイトさ加減に仕上げました。
ピアチェンツァにこだわられたのではなく、赤みがかったキャメルカラーを探して行き着きました。


正面も、ウエストのシェイプなんか、
とっても良い雰囲気なのですが、画像がなくなっています汗。
Mさん!次回お会いした時に撮らせて下さいね!



仮縫の状態で、店内に掛けてあった時から話題になっていた生地です。
コートのデザインに注目して頂きたいのですが、話題は生地に集中しました(笑。

この生地、7年前に1着分だけ仕入れていたのですが、
その時は3年ほど買って頂けなかったので、自分用のジャケットに使ったのです。
ジャケットになった途端、皆さんから「ええなぁ~」と言って頂き、、いつもそんなもんです(笑。

で、それから生地屋さんに探してもらっていました。
そしたら、3年越しで見付かったんです!

全く同じ色はなかったのですが、3色見付けて頂きました。
その中の1色が、このサンドベージュです。とても鮮やかな色合いですね。
この写真では分からないですが、かなり金色に輝いているのです。オールシルクみたいに♪

この生地を見た瞬間、Nさんからコートで仕立てて欲しいとのご依頼。
季節の変わり目に着られるコートなので、軽やかにサッと羽織って頂ける感じにしようと、
セミラグラン仕様で、ご提案させて頂きました。
コートのご紹介の筈が、僕まで生地に注目してしまいました(笑。

◎スプリットラグラン(セミラグラン)
前から見るとセットインスリーブですが、後ろから見るとラグランです。
このデザインは、ラグランの着用感を残したまま、前から見た姿に精悍さが加わります。



シンプルなダブルチェスターフィールドでのオーダーですが、
生地が、、こんなの初めての出会いです!

オールシルクなのですが、
ダブルフェイスかと思って一枚仕立てで
ご提案させて頂いていたのですが、ダブルフェイスの説明を
させて頂くために「接結糸」を解くと、緯糸(ヨコ糸)だけが残るんです。
それも短冊のように。ん?と思って、何度も繰り返したのですが、何度やっても同じ状況。

今日は、最近では?ちょっとマニアックな話ですが、

経糸(タテ糸)を接結糸として利用しているから、緯糸が残るんですね~という事は、、
これはダブルフェイスではなく、ダブルクロスですね!(笑)

ダブルフェイスとダブルクロスの差は、特に定義はされていないそうですが、
僕の知識の中では「完全な一枚仕立て」が出来る生地をダブルフェイスだと思っています。
今回の生地のように、接結糸を解いても生地が2枚に分かれないタイプは、一枚仕立てには出来ないので、
これはダブルクロスですね。
見た目的には裏表で色が違いますから、これもダブルフェイスではあるのですが(笑。

縫い目を結合させて縫う事は出来ませんが、
裏も見えるように、ちょっと縫い方に工夫をさせて頂きます。
Nさん、完成を楽しみにしていて下さいね!



ミラノのクラシックなスタイル、アルスターコート。
既製服では見かけない技巧がふんだんに盛り込まれている貴族のコートです。
モータリゼーションの波が来る前、
男にとって、コートはステイタスシンボルでした。
思わず、その時代を偲んでしまいます!!


クラシックなアルスターコートには通常、
ドッピオプンティーニ(ダブルステッチ)を入れるところ、
ここは、播磨の貴族Oさん!のご希望でシングル、それもステッチの存在を
打ち消すかのように、エッジ際々のところに、丸く巻き込むように入れてもらっています。
そのせいか(成果!)とても柔らかな印象に仕立てあがっています。


生地の優雅さを演出する、ジーリ・リンボッカーティーの袖付け仕様です。
こんもりと福よかな盛り上がりが、何とも優し気でエレガント♪
ジャケットを着てもらうと更に立体的な表情に!


上襟のカーブからも、手の掛けようが伝わってきます。


上の写真と下の写真から分かるでしょうか。
コートのセンターには、内側にヒダを取る「ピエゴーネ」仕様です。
通常よりも贅沢に、ヒダの分量を多めに取られています。贅沢な生地をさらに贅沢に!

更にさらに贅沢に!
左右に深いタックをとることで、
歩くたびに優雅なドレープが生まれ、そして消え、
それを繰り返す度に、ゴールドの陰影が見え隠れするサマは圧巻です。


このキワキワのプンティーニ(ステッチ)が、
このコートの存在を、控えめに控えめに醸し出しています。
腰ポケットの袋地には、毛足の短いヴィンテージの別珍素材が冬の寒さから
Oさんをさり気無く守ります。サルトリアクレセントの河合氏の「さり気無い」思いやり。


その後談:
タイトルにあるように、このコート物凄い反響でした。
本日お渡しの後、まだ暑いからと、店内のトルソーに着せておいて良いよと、
お預け頂いたのです。夏の間2ヶ月近く、、

見る方、見る方、、
「金に輝いてるなぁ~」
「これ、スエードのコート?」
「すごいなぁ、すっごいゴージャス!」
「怖くて俺、よー着んわ! でも凄いオーラや!」
「ブルジョワやなー」、「頼んだら幾らするの?」etc・・・
確かに、もの凄い存在感を放っていました。

Oさん、2ヶ月間お貸し頂き、ありがとうございました。
目の保養にさせて頂きました♪