Tさんのチェスターフィールドコートをお渡し前に撮影させて頂きました。

フロントの打ち合いを、フライフロント(比翼)ではなく、

打ち抜きのボタン留めにしてありますから、

セミチェスターでしょうか。

生地も普通のカシミア素材ではなく、

スコフィールド&スミス社のヴィンテージ生地で、

ミッドナイトブルーをベースに、極太の黒いストライプが織り込まれ、

パッと見は黒ですが、光が当たると、例えようのない不思議な表情に変わります。





上襟は正式にブラックベルベットを使っていながら、

その他を、オリジナリティー溢れる仕様にアレンジしてあるので、

全体のイメージとしては、伝統とモダンデザインの融合といったところでしょうか。





ベルベットを使ったバックベルトが、

ドレープの効いた印象的なバックスタイルを作っています。





ベルトはアジャストできませんが、その分スッキリした印象になったと思います。

この画像だけ、お渡し時に実際にTさんにご着用頂きました。

Tさん、素敵なコートをありがとうございました!








Yさんのいつものシルエットで仕立てた今回のスーツは、

ウエストをギュッと絞った6Bダブルの2B掛け。

それに合わせるパンツは、股上が浅くピタッとしたヒップラインを持ち、

そのラインから裾まで、滑らかに、ゆったりと広がるバギーフレアなシルエットです。



このスーツ、英国でもイタリアでもない、

何とも例えようのない、『艶』を感じます。(フランスっぽい?エロイ!笑)

シルエットばかりか、生地がドーメル(DORMEUIL)のアイス(ICE)という事もあるでしょう。

もっと言うなら、Yさんの雰囲気もあるでしょう!(笑)





続いて、、同じくYさんのジャケットですが、

こちらは、ふんわりと丸く、かわいらしいイメージとのご希望。

上のスーツと比べて、お腹周りを8cmも大きく、ドロップ3で作ってあります。

肩巾も少し狭くして、マニカカミーチャ(シャツ袖)にしてありますし、

袖ボタンも、少しづつ離してカジュアル感を出しました。

襟も立てて着ることを想定して、カラークロス(上襟の裏側)は共地を使ってあります。



こんなジャケットは手ぶらで何も持たず、

荷物は全部ポケットに入れて出かけられるように、

内ポケットにも、いろいろな配慮をして仕立ててあります。(笑)

スーツのポケットに物を入れると、シルエットが崩れるから嫌いなのですが、

こういうジャケットは、無造作に着ながら、着手に馴染んだ頃の方が断然格好いいですね。





Yさんの愛車、アイボリーのミジェット(MG Midget)から、

こんなジャケットを着て降りてきたら、めちゃくちゃ格好いいですね。

英国車に英国製のツイードより、こういう英国〝風〟のジャケット方が粋に感じます。

アズッロにマローネ、この配色こそイタリアの代表、Eゼニアの内蒙古産の最高級カシミアです。

※アズッロ(Azurro:スコーンと抜けた、イタリアの空や海を表す青色)

※マローネ(Marrone:自然をあらわす栗〝茶〟色)






今日ご紹介させて頂く東京のBさんのスーツは、

マッドメン『MAD MEN』というアメリカのドラマにハマってます。」

「今回は、その中に出てくるスーツをお願いしようかなと考えているところです。」

というメールを頂いて始まった〝マッドメンProject〟です!





Bさんによりますと、このドラマの時代背景は、

「1960年代のニューヨークの広告業界のピーク時代で、

マディソン街にある広告代理店のエリートたちの生活を描いたお話で、

登場人物みんなのスーツ姿、ポケットチーフや帽子、食べるお店、酒の飲み方、

何だか、このドラマの何もかもがお洒落で、僕のライフスタイルにも通じるものがあって、

良い時代だったんだなって思います。」

「タバコはバンバン吸いまくるは、昼から会社でお酒を飲むは、、

ランチは2~3時間お酒飲みながら、なんて、そんなアメリカ広告業界のバブル期。

男性が皆んな、ジェントルマンな所が格好イイ!」

のだそうです!





こんな内容でメールを頂いたものですから、何とか再現できないか、、

頂いた画像をプリントアウトし、全てのバランスを寸法取りして専用の型紙を起こし、

今後の為に、専用型まで作ってもらって出来上がってきたのが、このマッドメン・スーツです!

フルオーダーでない限り、ここまでしない事の方が普通ですが、

それでこそ、ビスポークチュール、職人さんに感謝!

襟巾やゴージ位置、その角度ばかりか、

こんな事まで、できます!



有り合せのタイで、太すぎて似合ってないです。(汗)

おまけにトルソーのサイズより、ジャケットサイズの方が、かなりデカいです。




そして出来上がったスーツを見られたBさんから、

「メチャクチャかっこいいです。ぴったりイメージどうりです。」

「なかなか他にないですね、生地もかっこいいです。素晴しい組み合わせだ!」

「本当にありがとうございます。」

「今週の金曜日は、車のベントレーと雑誌LEONのイベントがあるので、

それに着て行こうかなと思ってます。」とお言葉を頂きました。

Bさん、こちらこそ何時もありがとうございます!






シングル巾(ハンドウィーヴィング)のハリスツイードで仕立てたセミチェスターコートです。

見た目に重厚感があり、いかにも重そうな着用感を想像しますが、

実際に着てみると、その感覚は一瞬にして消え、

そのギャップに驚かされます。





こんなクラシックでカントリーライクな生地を、

ウエストのシェイプされたグラマラスなスタイルにすると、

不良(ワル)っぽさが出ていい感じに思えるのですが、どうでしょうか?

こんな生地で、カントリータッチにしてしまうと、ある意味〝トゥーマッチ〟な印象に。。

このコートはYさんと、そんなイメージを語らいながら生まれてきたコートです。



※画像は、ジャケットとベストを着て頂いてからの、ご着用状態です。






以前お作りさせて頂いたスーツの上着を脱いで、黒いジャケットを着てもらったところ、、、





ディレクターズのパンツに、こんな感じのストライプ生地はどうでしょうか?

このパンツ、ベルトレスのサイドアジャスター仕様ですので、

このまんまフォーマルとして流用可能ですね。

普段着としても粋に着回せそう。






画像が、2度目の仮縫試作品です。

スーツの場合は、ジャケット&パンツという大枠が出来上がっていますが、

今回のパイプバッグは、イメージだけからの試作ですから、

思ってた以上に大変ですが、楽しいですね。





最初の仮縫いでは、全くの白紙から、

創造の世界だけで、試作・仮縫いをしてきました。

そして、それをベースに出来上がった今回の2度目の試作品で、

思い描いていたイメージを越えた、出来上がりを期待させるものが出来てきました。

Kさんと2人、頭フル回転でした、どうもお疲れさまでした!

そして、ここまで形作って下さった『Bellago』の牛尾龍氏に感謝いたします。

それではラストスパート、本縫をお願い致します。



※試作を手にとって使い勝手を考える、依頼主のKさんです。






東京のDさんの、ドーメルのロイヤル12です。

以前ご紹介させて頂いたMINOVAの生地と同じ組織を持ちます。

しかし、こちらの生地は、ラテンと云うお国柄の違いか?エロティックな光沢感です。(笑)





こちらもドーメルですが、アマデウスです。

ロイヤル12より細番手の糸を使っていて、さらに光沢感があります。

こんな普通のヘリンボーンですが、ここまで妖艶な感じが出せるのは、まさにラテン気質!?





ドーメルは、今までアマデウスだけの取り扱いでしたが、

今年の2008・A/Wコレクションから、

ロイヤル12とアイス、そしてスポーテックスの取り扱いを開始しました。

フルコレクションを見た中で、今年は特徴的な、この4種類に絞っての展開となります。






【Handsome Suits 2008!】

東京のMさんは、毎回スーツに名前をつけられます。

今回は、ロロ・ピアーナ130’Sのアズッロ(Azzurro)のスーツです。

ロロ・ピアーナのアズッロは、アズッロ中のアズッロ!と言わせるほど綺麗ですね。





このノーブルな光沢感はドレープ感も相まって、イタリア生地の中でもロロ特有です。

極細の経双糸×緯単糸でありながら、2/2の綾織なので、

経緯共に同じ密度(&太さ)で織られる為、

綾目がほぼ45度と、安定した組織を持っているので、

ソフトで柔らかいながらも、張り感のある生地に織り上がっています。

※2/2の綾織とは、経糸に対して緯糸が2本浮いて2本沈む、そんな綾目を持った組織です。



途中からマニアックな話題にそれましたが、只今上映中の

ハンサムスーツ(Handsome Suits)の監督は高校時代の同級生です。(笑)

かなり面白い人間が、自分が楽しむために?撮った映画ですから、かなり!面白いですよ♪








ヴィンテージのドーメルで仕立てたスーツ。

バッシバシのへヴィーな生地ですが、しっかりドレープ出てます。

これが小さい寸法なら、ここまでドレープも出なかったんじゃないかなと思います。

だって、僕のパンツ総丈と、Mさんの股下が同じくらいなんですから。(汗)

セミフレアーなパンツシルエットもいい感じで出てます。

※ちなみに画像の椅子も、50年前のヴィンテージです!(笑)





ヴィンテージならではの濃厚な表情です。

袖はフレアーカットにはせず、パンツのシルエットに合わせて、

肘巾と袖口の巾とのバランスで、若干フレアーっぽく感じさせるようにしてあります。





Mさん、撮影ご協力、どうもありがとうございました!






以前ご紹介させて頂きました、ヴィンテージドーメルのダブルクロスです。

ダブルクロス独特の、膨らみのある表情に仕上がりました。

Tさんのオーダーはいつも個性的なものばかり。





パンツ裾の内側の補強布である靴ズレには、

せっかくですので、セルビッジ(生地の耳の部分)を使いました。