今年のマッセアトゥーラのベストセラーモデル!

E・ゼニアのBEST(内蒙古産カシミア100%)のジャケットです。





画像は今季ご注文頂いた8着のうちの1着、

10年来のお付き合いを頂いている京都のMさん分です。

カンクリーニのライトブルーのコットンフランネル素材のBDシャツと、

ライトウエイトミディアムグレーフランネルのパンツも同時にご注文下さいました。

66歳になられるMさんは、これを着られ、きっと祇園の街に消えていかれる事でしょう。(笑)

Mさんのような、粋なオ・ヤ・ジには、ホント憧れます!





願わくば実際に着て頂き、Mさんにご登場頂きたかったのですが、

「祇園で顔が差すとアカンさかいなぁ~」と、これまた粋なお断りを頂きました。(爆)

画像のご協力を頂けただけでも感謝いたします。

Mさん、どうもありがとうございました!






昨日のダイアリーで、スーツよりもタイ!のお問い合わせを頂きました。(汗)

あのマリネッラのタイはKさんの私物ですが、マッセアトゥーラで取り扱っているのは、

同じコルノ(赤唐辛子)モチーフ(刺繍)でも、こちらはナポリのクラバッテリア、E.G.カペッリです。

赤いものはナポリの魔除けらしく、赤唐辛子はその代表のようです。



この日のダイアリーでも、当初〝コルノ=角〟って書いて、

何通かのお問い合わせを頂いたので、以下、加筆させて頂くことにします。



本来イタリア語でcornoとは角材を意味し、

幸運のラッキーアイテム赤唐辛子が、コルノに似ていることからそう呼ばれているようですが、

以前、カチョッポリのコジモ氏に聞いた時にも、明確な回答は得られませんでした。

正確な事をご存知の方がいらっしゃれば、教えて下さい。(汗)



机上の知識より、自分の経験が優先されるべきでしょうか?

う~ん、やっぱりナポリじゃ、家の軒先に赤唐辛子が吊るされている。

いや、もしかして軒先の赤唐辛子は、単に食べるために乾燥させてるだけ!?

となると、やはり〝corno=角〟なのか、、やっぱりラビリンス入り、今夜は眠れません。







『E.G.CAPPELLI NAPOLI』

カッペッリと読むのか、、みんなカペッリって言ってるけど。。





他にも、噴火しているヴェスヴィオ火山の刺繍があったり、王冠の刺繍があったり、

ご自身の好きなマークを刺繍してもらう事も可能です。






Kさんのリクエストで生まれたダブルブレストのピークドラペルのジッレです。

ダブルの場合、裾ストレートが基本で、ボテッと見えがちなので、

ウエストがシェイプされて見えるようなバランスにして、

襟のカーブはクラシックに膨らみを持たせ、

クラシックモダーンな感じ。(笑)





ベストのラペルと同じく、ジャケットもピークドラペルですが、

こちらは真正面から見た時にショルダーラインに乗るようにとのご希望です。

生地もそうですが、かなりインパクトのあるデザインになりましたね。

この生地、チョコレートブラウンにラベンダーのストライプという、艶っぽい配色です。

(※コルノが織り込まれたタイはマリネッラです!)





ちなみに、英国ではウエストコート(Waistcoat)、

フランスではジレ(Gilet)、そしてアメリカでベスト(Vest)、

イタリアはジッレ(Gile)、パンチオット(Panciotto)と呼び方が変わります。






ヌードバスト104で、ドロップ3!

どこまでタイトに魅せられるか、、勝負です。

Kさん、ここからトコトン頑張りますので、任せて下さいね!(笑)








ヴィンテージ生地を使うので、要尺がギリギリです。

シーチングで我慢してもらう代わりに、着丈は限界まで採れます!





ラペルの返り、もう少し甘くして、、前身も逃がしますね。





ごめんなさい、これ2週間くらい前のYさんの仮縫い風景です。

撮り貯めた画像、、どうしよう!ってか、

撮り忘れも多い。。(汗)






今頃ですが、先週お渡しのKさんのスーツです。

ご希望のヴィンテージ生地が見付かり、即決めでご注文頂いたものです。





1970年代前半の生地で、パッと見で、濃紺か黒か微妙な雰囲気。

光の当たり加減で様々な表情を見せてくれます。

凝った織りならではの表情ですね。





Kさん、撮影ご協力ありがとうございました!






英国ランカシャー州ネルソンにあるシャツ地メーカー、acorn(エイコーン)を訪ねてきました。
ヨークシャー州に隣接したランカシャー州はかつては綿業が盛んだったようです。
それについては話がそれるので、あとで書かせて頂くことにします。

エイコーン(Acorn)は以前から何度も取り上げてきましたが、
ここは今でも全コレクションが英国内で織り上げられている数少ないメーカーです。
トーマスメイソンやデヴィッドジョンアンダーソンも1991年に伊アルビニ傘下に入って以来、
生産拠点の殆んど(全て?)がイタリアに移ってしまっていると聞きます。
※織機のチューニングは英国時代から培われてきたものです。
工場の統合によって、現在のエイコーンには2ラインあり
このウェアハウスには、クラシックな36inch巾の全コレクションが収まっています。
少しトレンド寄りの60inch巾のクラシックシャーティングのウェアハウスは、別になっています。

各国から受けたオーダーは、即日この場でカットされて発送されます。
約800柄のコレクション全てが、
こうして、カットサンプルとしてストックされています。
サンプルは全て手作業で作られ、こうしてストックされています。
これは今まで見てきた毛織物でも同じで、全て1つ1つ手作業で行なわれています。
左から長男クリス氏、現社長のジョン・チャトバーン氏、次男のジョージ氏。
社長のジョン氏は、トーマスメイソンの幹部も務めた人です。
そしてエイコーンは、1975年にジョンのお父さんが
トーマスメイソンを辞めて作った会社です。
下の画像は、昔の木製シャトル(杼)です。
これは後で書こうと思っているジョンケイの『飛び杼(ひ)』と
深く関わりが出てきますが、今でも、こんなシャトルを使った低速織機で織っている、
綿の生地ってあるのでしょうか?毛織物の世界では今でも使われていますが、シャツでは聞いた事がありません。
ウェアハウスの中の、ちょっとしたディスプレイが洒落てます。
奥に見える貝は、貝ボタンの材料となる白蝶貝(二枚貝)で真珠の母貝です。
真珠で最も高価と云われるピーコック(孔雀)カラーに輝いているのが、見て分かります。
あっ、また話がそれるので、それについてはまたの機会に。(苦笑)
そうこうしているウチにお昼になり、
近くのレストランに、ランチを食べに連れて行ってもらいました。
夏になると、レストランの前は、ビアガーデンスペースになるようですね。
ポカポカしていたので、昼からBeer飲んでご機嫌でした。
戻ってきたところの〝1ショット〟ですが、ウェアハウスであって、
お店ではないので、エントランスは簡素です。
知らなかったら気付きません。
今回の訪問で、クオリティサンプルや、
今後の『クラシックシャーティング』の展開の事や、
その他にも、裁断前に湯のしした時に気になっていたニオイの事や、
その他にも、物創りに対する熱い思いなどを聞かせて頂け、収穫の多い訪問となりました。

帰り道、違う道から駅まで送って頂き、
途中、トーマスメイソンの旧社屋横を通って下さいました。
今は賃貸ビルになってしまっているようですが、建物は以前のままだそうです。
気持ちの良い道ですね。
今回の訪問は、ヘンリープール経由で実現しました。
ヘンリープールのサイモン氏、並びにFtiのFさん、ありがとうございました。
冒頭で触れかけたランカシャー州の綿業の件ですが、
18世紀末~19世紀初にかけて起こった英国の産業革命の発端は、
ランカシャー地方とされています。では何故ウェールズとか、他の地方ではなく、
ランカシャー地方だったのかを考えてみると、そこに面白い事実が見えてくるんですよ。

英国で産業革命が起こる前は、
工場制手工業(マニュファクチュア)が全盛で、
その主要な生産物は毛織物でした。ヨーロッパ人の服の材料は
毛織物が中心でしたから、その当時の彼らにとってはそれで良かったのです。

ところが、商売として考えた場合はそうではなかった。
当時のイギリスの貿易相手国であるアメリカやアフリカの国々では、
綿織物が中心に売れたので、インドから綿織物を輸入して売っていたのです。
でも、もっと儲けを得るために、英国は自国で綿織物を生産しようと力を入れ始めました。

そんな時、産業革命の最初の発明、ジョンケイの『飛び杼』が生まれました。
それを起爆剤に、高度な紡績機械も発明され技術はどんどん進歩し、
飛び杼から更に36年後、ジェームズワットの蒸気機関が誕生し、
機械制大工業が確立された、という歴史があります。

そしてランカシャーに話は戻りますが、
それらの発明は当然のように綿工業に適用される事になります。
当時ランカシャーには、マンチャスターという綿工業を中心とする工業都市があり、
そこでは原材料の綿花を輸入し、
綿製品を輸出するための貿易港の街、リバプールがありました。
それで、最初の産業革命の恩恵を受けて発展したのがランカシャーであり、
今では、ランカシャー州が産業革命の発祥地と言われている、こういった経緯からだそうです。



Mさんが選ばれた紡毛(ウールン)フランネルでの仮縫。

今までのビスポクチュールでのオーダーでスタイルが完成していたので、

採寸はせず、いきなり仮縫させて頂いたのですが、予想通り、微調整程度で済みました。





袖山は割らずに、差し込みにしてタップリとイセを入れ、

垂れ綿もしっかり入れるのですが、仮縫の状態から出来上がりを期待させてくれます。





少しづつ、少しづつ馴染むウールンフランネルだからこそ、

今回は、ビスポクチュールより更に柔らかな仕立てであるナポリクチュールを

着慣らしてゆく覚悟で選ばれたようです。

ダキ落ち皺は消します。








クラシックとモダーンを融合したようなイメージをご希望のKさんの3ピース。

僕なりの解釈でKさんのイメージをチューニングさせて頂き、

今日の仮縫で、とことん確認をさせて頂きました。

特に、、ベストは期待大!です。(笑)



仮縫に没頭してしまって、

ご着用時の写真を撮り忘れてしまいました。

紫っぽい何とも言えないブラウンに、ライラックのストライプ。





Kさん、本日は仮縫に長ら~くお付き合い頂きまして、ありがとうございます。

回を重ねる毎に採寸時間は減り、遂には生地選びだけに!?

でも、、仮縫がなくなると、物足りませんか?



目的は仮縫ではなく、

自分のイメージ通りの洋服が、

毎回ブレなく仕立てあがる事だと思います。

ありがとうございました!楽しみにしていて下さいね!!

撮り忘れた写真は、出来上がったスーツ姿にてお披露目させて下さい。






Tさんのスーツは英国を意識し、硬目の本馬須毛芯を使って、

イングリッシュドレープ(バストドレープ)が出るようなカッティングにしました。

ですから実寸に対するゆとり寸も、イタリアンクラシックstyleよりも、多くとっています。



Vゾーンに見える襟付きベストの見え方をはじめ、

仮縫いの際に、全体の見た目のバランスをご確認頂いたので、

ご試着の際、「イメージ通りの仕上がり、背筋が伸びる着用感です」と言ってもらいました。

低めの2ボタンスタイルで、生地も含めてダンディーな仕上がりになりました。

胸ポケットも、ラペルに懸からないよう調整した箱ポケットです。





ウエストシェイプも強めですが、

バストドレープをゆったり稼いだせいもあって、

実寸に対するゆとり寸は14cmですが、ドロップ7となっています。





ウエストも、ベルトレスの〝ヘンリープール仕様〟のサイドアジャスター付きです。

これは、以前ヘンリープールの英国製ビスポークスーツをベースに、

ライセンス物を企画する際に取り入れた仕様と同じです。





ミッドナイトブルーのガッシリした英国地、

少々手強い着用感ですが、少しずつ馴染ませていって下さい。

この未完成のスーツ、Tさんが着て馴染ませて少しずつ完成に近づいてゆきますから。

※このスーツ、ハンドクチュールType1による、2ボタンのシングル3ピースです。