カメラマンの高橋さんのシャツは、

オリジナルラインではなく、レスレストンのビスポークライン。

生地はトーマスメーソンのシルバーラインですが、昔の織機で織られていた頃の物。

でも黄色は、この1着分で終わってしまいました。

レスレストンは、日本的で繊細な、世界に通じる美しいシャツです。








麻のシャツって、半袖やザックリした長袖なら見かけても、

ネクタイを締めて着られるようなシンプルな白い長袖のシャツってあまり見かけません。

僕は昔っから、半袖じゃなくって長袖をロールアップして着る方が好きなので、

ほとんど、半袖のシャツって持ってません。



例えば、ボタンダウン(BD)で仕立てた麻の長袖のシャツ。

タイドアップスタイルなら、

霧吹きしてビシッとプレスをかけて、襟のボタンを留めずに着ますし、

ジャケットスタイルで着る時には、

襟のボタンを留めて、プレスせずそのまま着ています。



もちろんジャケットを着ずに、ジーンズや、麻のイージーパンツに合わせても

それなりの雰囲気が出るので、無精者にももってこいです。(笑)



酔って帰ってきても、風呂場でバシャバシャって洗って、

ずぶ濡れのまま干しておくと、翌朝には麻独特の皺を残したまま乾いてるんですよ~。

着てみて思うのは、何よりも、メチャクチャ気楽(着楽)なんです!





麻にはラミーとリネンがありますが、これらは全く別の植物から作られる別物です。

ラミー(苧麻)は多年草で、亜熱帯から熱帯の地方にかけて栽培され、

リネン(亜麻)は一年草で、寒冷な地方で栽培されます。



濡れた時に強度が高まる麻は、吸水速乾性に優れ、

強い張りが肌と一定の空間を保つので、体に張り付かずベトつかず、

その清涼感のある着心地に加えて、麻独特の光沢感が見た目の清涼感もくれます。



どちらも、ほぼ共通の特性を備えていますが、

ラミーは太くて長い繊維で、天然繊維の中で最も強度があります。

それに対してリネンは細くて短い繊維で、ラミーよりしなやかな風合いです。



麻に対して取り扱いに不安がある方や、初心者の方には、

まずは普段使いでガンガン着ていただき、麻素材に慣れて頂くためにも、

リネンと同じ吸水速乾性があり、リネンより光沢や強度に優れるラミーをお試し頂きたいです。



最初はチクチクするし、張りも強くてゴワゴワしますが、

何度か洗っているうちに、いい感じにクッタリしてきて、雰囲気が出てきます。



リネンとラミーの性格を足して2で割った素材もお勧めですが、

出来ることなら足して2で割らずに、2のままであって欲しかったと思います。(笑)






シャツの袖を付け替える為に、糸を解きました。

我が妻のシャツで、家で酔った時に採寸したら、測り間違いました。(笑)

もしかしたら、測り間違えたんじゃなくて、理想的寸法を記録したのかもしれません。(爆)





「私に痩せろって言いたいの!」と、嫌味たっぷりに怒られました。(苦笑)

彼女は彼女で、僕が嫌味たっぷり遠回しに、「痩せろ!」って言いたいって真剣に思ってます。



半袖にしようと思ったのですが、少し太い袖に付け替えます。

肘巾の実寸に、ゆとりを取るのを忘れたのですが、そりゃ入らないハズです。(汗)

頼むから、このブログ見ないでね。(怖っ)






Oさんのシャツは、いつもタイトフィッティングです。

今からお伝えする考え方はマッセアトゥーラのスーツも同じですが、

バスト寸法やウエスト寸法が同じ人でも、前後バランスまで同じとは限りません。



アームホールの刳り位置で胸巾と背巾を測ると、大抵の方は背巾が広く、

一方、胸囲位置(カマ下)でみると、胸巾の方が広く、

特に鍛えた方の前後のバランスだと、かなり胸巾が広くなります。

タイトなシャツを仕立てる場合は、この前後バランスを考えておかないと、

胸巾がキツく、背巾が余ったりしますから、一見フィットしたかのように見えても、

実際には着づらいですし、見た目にも、見慣れた目には結構不細工だったりするものです。



これと同じ事は、お腹周りでも言えますし、アームホールだと、

肩傾斜や反身や屈伸といった立体造形が絡み合ってくるので、更にシビアな調整が必要です。





安定してから、僕はほぼいつも同じスタイルで作っています。

これで、今まで生地が気に入ってもサイズが合わなかったり、その逆も、、

いつも気に入ったシャツを探し、彷徨う、、そんな苦労から開放されたことはオーダーの賜物。




採寸の際には、お好みのフィット感をお伺いした上で、

ゆとりを好まれる方には胸囲実寸+14cm、アームホールは+6cm。

ジャストフィットがお好みの方には胸囲+12cm、アームホールで+5cm。

タイトフィットがお好きな方ですと、胸囲+9cm、アームホールで+4cmを標準としています。

もちろん、胸囲+16cmや、アーム+8cmという方もいらっしゃいます。





サイズを合わせるだけではなく、着用感を高めるため、

そして、より綺麗なラインを求めて型紙の微調整を繰り返します。

その為には、お客様との対話が大切となり、お互いの意見をぶつけあいます。

それと同時に、襟やカフのバリエーションも加わり、ご自身の型紙コレクションは充実してゆきます。






Sさんから、麻シャツのご注文を頂きました。

麻って、洗濯や手入れが大変でしょ?って言われますが、

僕はいつも、「ガンガン着て下さい! 多少の気遣いは必要ですが、、」と伝えます。





この画像、特に意味はありません。



麻は吸水性が良く、濡れても直ぐに乾くし、洗濯も簡単です。

それに濡れた時の方が強度が増しますから、以前麻のハンカチを紹介しましたが、

シャツ素材としても最高の素材です。

ただ吸水性が良いと言う事は、汚れも吸いやすいです。

特に白は、だんだんと黄ばみが出てきますから、僕はタマに釦を外して、

重曹に浸けます。それでも落ちない時には、薄めた青い染料に浸けて黄ばみを中和させます。



洗い込むうちに、麻本来の素材感が出てきます。

麻は、麻〝本来〟の味が出てくるまで時間がかかりますので、

準備期間としての着用が必要ですが、それが意外にも密かな愉しみだったり。(笑)



僕は何でも、無理に加工して味を出したものよりも、

その所有者と〝モノ〟が共に時間を過ごしながら、思い出を刻みながら

自分のものにしてゆくことが好きですが、麻のシャツは、まさにそんな感じですね。



スーツに合わせるのもいいですが、

それこそ同じように、自分で着込んだジーンズに、

麻の白いロングスリーブのシャツなんてシンプルな着こなしは、真夏の太陽に映えますね。

う~ん、オ・ト・ナ!(笑)



今回、画像はありませんが、Sさんには、8年ほど前に

ハンドクチュールで、アイリッシュリネンのスーツも作らせて頂きました。

そのスーツが着こまれて、実に良い表情が出ていますので、また何れかの機会に、

Sさんにお願いして撮影させて頂きます。






ロロ・ピアーナ好きのOさんは、スーツばかりか、

普段着もロロ・ピアーナで購入される事が多いそうです。



今回のシャツは、生地を見られた時、「ロロ・ピアーナっぽいやん!」と云う事で、

ビジネスで着られているシャツと同じシルエット(型紙)のまま、

前立と襟だけ、カジュアル仕様にさせて頂きました。

バストも、ジャストで綺麗に納まってます。

麻の質感がニュアンスあります♪





今までは、カジュアルなシャツはシルエット(フィット感)を我慢し、

好きな生地を優先して、発色の綺麗なロロ・ピアーナのプレタから選ばれていました。



これからは、このナポリのカチョッポリのシャツ地からお選び頂ければ、

生地もシルエットも、どちらも手に入れて頂けますので、

宜しくお願い致しま~す♪(宣伝・笑)






カンクリーニのシャツ地は発色が綺麗です。
パープルやオレンジ、それにグリーンやブラウンといった、
オーダーではあまり見ないカラーバリエーションの生地が多く、目を引きます。
今朝は5時30分!の早起きで、昨夜からお湯に浸しておいたシャツ地を、
1枚1枚、激しく!(笑)、手で揉み洗いして脱水し、皺を伸ばし、
それから、湿った状態で1枚ずつ強制乾燥させました。
カンクリーニのフルコレクションは、常時受注できる体制は整っておらず、
現状では、年に数回のタイミングでしかご注文頂けない状況です。
今回の11着分の生地も、リピーターの方だけへのアナウンスで頂いたご注文です。
受注期間に十分なゆとりがなくて、、申し訳ありません。
今後の改善課題と分かりつつ、ご興味ある方は、ご連絡頂けると助かります。



この画像は、Kさんのシャツ地の裁断後の状態ですが、

Kさんのご希望で、肘から手首にかけて5mm(周りで1cm)広げます。

こんな微調整の繰り返しでクオリティが高まってゆくんですね。

シャツ地がブルーで、型紙が白い方です。(笑)










今までずっと、純英国産のシャツ地〝acorn〟からお選び頂いてたIさんですが、

今日、ナポリのカチョッポリのシャツ地を見て頂いたところ、

I さん、かなり気に入って頂けたご様子です。

acornのシャツ地の色柄にハマる方も多いですが、事実カチョッポリの発色はそれ以上!

acornの英国らしい、張り感の強い素材感を優先されなければ、

カチョッポリの方が、マーチャントだけあって、色柄のバリエーションは豊富です。





突然ですが、acornのシャツ地が昨冬に引き続き、値上がりしました。

お知らせが遅くなってしまいましたので、

2月9日迄のご注文に限りまして、価格据置にて承ります。



それにしても、1985年のプラザ合意後の円高で輸入品の価格が低下し、

それまで高嶺の花だったインポート商品の価格が、

一気に手の届く範囲まで下がりました。

しかし、最近の原油の高騰やユーロ高のお陰で、、いや、

そんな事は僕が言うまでもなく、皆さまご存知の事でしたね。(苦笑)



ここへきて、インポート品に手が届かない!

なんて事になったら、、考えただけで、ストレス溜まりそうです。

一括仕入れなどで仕入れコストを落とすなど、何とか努力しなければなりません。






ワインに産地があるように、
コットンにもたくさんの産地があります。
産地ごとにクオリティーも違い、長繊維、超長繊維が高品質とされます。

コットンの中でも、最もクオリティーが高いものは
カリブ海の島々で栽培されるシーアイランドコットン(海島綿)ですが、
そのシーアイランドコットンに次いで最上級とされているのが、
エジプトのカイロの近く、3大ピラミッドで知られるナイル川流域のギザ地区で穫れる、
今日のタイトルである、ギザ(GIZA)コットンです。
クオリティ分けがないシーアイランドコットンに対し、
ギザコットンには、ギザ45、70、77、88などの銘柄(クオリティ)があり、
その中で最も繊維長が長いギザ45が、シーアイランドコットンに匹敵する繊維長を誇ります。

ただ、そのクオリティは、
まるでワインのように収穫年度によって品質にバラつきがあり、
毎年同じクオリティとは限らないようです。

ギザの後の数字は、スーパー120’Sのような品質を表す数字ではなく、
ワインで云う銘柄のようなものらしく、その数が少ないほうが高品質とも取れますが、
クオリティーによって数字が逆転してるものもあるようです。

シャツ地のメーカーさんと、そんな話をウダウダしながら辿り着いた答え?は、
特に意味のない単なる数字じゃないかな?という程度でした。(笑)
詳しい事が分かれば、改めてお伝えします。
それより先に、ご存知の方がいらっしゃれば教えて下さい。

ちなみにマッセアトゥーラの型紙付きフルオーダーシャツに使うギザコットンは、
140番/2PLYはギザ45、100番/2PLYは70です。
洗うほどにしなやかになるのですが、不思議とヘタリません。
是非とも素肌で愉しんで下さいね。