昨夜から急に焼肉が食べたくなって、
今日、伊賀上野まで伊賀牛を食べに行ってきました。
その帰り道、信楽(甲賀)に行こうと、狸の発祥『狸庵』さんに向かいました。

ところがお店が閉まっていてガックリ、、
軽トラで庭掃除?をされていたオジさんを見つけました。

「すいませ~ん。今日お店って休みですか?ご存知ですかぁ~」

「狸がみたいんか!」

「はい~」

「開けたるわぁ~」

「わざわざ、いいんですか~」

ポケットからおもむろに鍵を出し、開けて下さいました。

…いったい何者なんやろ、このおじさん。

もうこのオチ、分かりますよね。(笑)
その方が狸庵の三代目「藤原一暁」さんでした。

店に入っても、
僕はまだ気付きませんでした。
色々と話しながら、見て回っているうちに見付けた
画像の「大将さん」を手に取った時、「それ、作んのに3ヶ月かかったんやで~」

「ん?」 もしかして…「これを作られた方なんですか?」

「そやでぇ~、ワシが手でこさえたんやでぇ~」

僕は心の中で、「これも縁や、、」

つぎの瞬間、「こいつ、連れて帰ります!!」
来月のクレジットの請求が怖い、、お金を工面しないと。。

でも、
こういう手作りの物を買うって、こういう事だと思うんですよね。
今回は、理想的な買い方だと思います。買うか買わないかも分からない僕のために、
わざわざ店を開けて下さった事から始まったつながり。
楽しい時間を過ごさせて頂きました。
ありがとうございました!


実は、今年の春先から、大将さんを探していたんです。
知っている陶芸家の先生に作ってもらおうか、でも先生のは少し小さすぎ、、
リアドロの大将さんを買おうか、、でも洋物の大将さんと云う物に、何か抵抗めいたものを感じ、、
そんな中での出会いだったのです。


東京のTさんから、靴が送られてきました。
金沢のKOKONさんにオーダーされたコードバンの靴です。
この靴に合う紺色のスーツを仕立てて下さいとのご要望を叶えるにはどうすれば良いか。
靴を主役にした洋服選び、、靴好きのTさんらしいオーダーの楽しみ方です。
東京オーダー会の時までに色々と準備して、提案させて頂きます。


小紺さん、ご無沙汰しております。
靴を活かしたコーディネートに仕上げますね!


ベラゴの牛尾龍氏にオーダーした革小物
左はTさんの二折財布(Wallet)、
右は僕のカードホルダー。
同素材の色違い。




墨黒をボディーにもつ、茶のチェック。
パンツとのコントラストを抑えれば、タイドアップstyleにもハマります。
生地を見た瞬間に即決されたTさんですが、生地との出会いって(自分の好みが分かれば)そんなもんです。




いつもゴーージャス!なスーツをオーダー下さるNさん。
今回はアマデウス365、墨黒の渋派手な光沢が、怪しい雰囲気を醸し出しています。(笑)
定番、『Night King』という文字が、ゴールドの裏地に輝いています。




ウィリアムハルステッドのソラーロ。(ソラーロはイタリアでの通称ですが、英国ではサンクロスと呼びます)
仮縫中に、Kさんの携帯が鳴り、シャッターチャ~ンス。(ご了解を頂いて、、)
巧くソラーロの表情を捉えられているでしょうか!?
実際に見て頂かないと、この「凄さ」は見えませんね。
もしかして、僕の腕のせい!?(汗)
色調は少し違いますが、
この画像がいちばん玉虫でしょうか!?
経糸(タテ)が緑、緯糸(ヨコ)が橙の糸で織られていて、
この補色使いによって、玉虫の中でも、特に個性的な表情を作っています。
僕自身、2000年の春にロロピアーナのソラーロでスーツを作ったのですが、
当時そのスーツを着て歩いてると、どこかの金持ちに見えるなと、、
どういう意味か、今になって理解できました(汗。



ミシガン州にお住まいのFさんは、胸囲110cmのドロップ12。
こんなグラマーな体型、線がつながりません!(笑)
襟巾が11cmでも、こんな感じですからね。
まさに肉体の再構築、とはこの事。


ミラノのK氏の名言ですね。


この2枚のシャツ、どちらも擦り切れて、襟の取替えをさせて頂きました。
片方は元々ボタンダウンでしたが、気分を変えてゼミワイドスプレッドに変更されました。


カフも片方は共地を使いましたが、
もう片方は白にして、若干そでが短くなっていたので、
2個ボタンに変更させて頂きました。これでまた数年は着て頂けますね。




関西のテーラーをはじめとする
有志団体『Boits Classic Academy』主催の
クセ取りセミナーを開催しました。講師は敦賀の『テーラー吉田』の
吉田大輔氏(ライムグリーンのパンツにライラックのシャツを着ている人!)です。

「クセとり」の技術は、
メンズスーツを仕立てる時に必要不可欠な技術です。
アイロンの熱と蒸気により、生地目を歪ませ、平面の生地を立体にします。
パンツの後身を教材にして、実演を見ていただき、受講者の皆さんに体験して頂きました。

講習生の皆さんは、九州や関東方面からもご参加頂き、吉田講師も熱のこもった講習会になりました。
熱がこもりすぎ、終わってから吉田講師が熱を出す落ちまでありました。(笑)
今後も、様々な技術講習会が開けるよう、活動を続けます。
次回は事前にご紹介させて頂きます。




Iさん、Kさん、ご婚約おめでとうございます!
お義父様がご結婚された時にオーダーされ、着られたタキシードを
30年近い時を経て、息子さんになられるIさんが着られるとの事で、お修理を承りました。


このタキシード、このレベルで縫える職人さんは、
今では、ほぼ壊滅状態という、律儀な仕事がなされています。
イタリアとは対極にある、日本の超高級お仕立て服で、バシッとした作り。

胴回りで20cm近く詰めさせて頂くと云う大修理、腰ポケットも作り替え、細腹も移動という、
手間のかかるお修理ですが、それでも「良いものを気持ちと共に次世代へ繋ぐ、、」という精神的な部分で、
こちらとしても、とても大切なお仕事をさせて頂ける事に、感謝せずにはいられません。


パンツもウエスト20cm詰めをはじめ、全体のシルエット修正と、
ほぼ作り直しの状態まで解き、仮縫いをさせて頂きましたが、綺麗に収まりホッとしています。


先日のエルメスのコートもそうですが、
このような、バトンタッチの場に関わらせて頂ける事、
ほんとうにありがたく、縫製に携わらせて頂く職人共々、幸せに感じます。