今日、悲報が届きました。

ラッジョ氏が亡くなられたそうです。

僕が最初に仕立てをお願いした時も、氏の体調は優れず、

出国前の状態では、無理と聞いていました。



ところが、僕がナポリに着いた夜に電話があって、

今なら状態も良いとかで、急遽採寸してもらう事になったのです。

そして奇跡的にも、、諦めていた機会が訪れたのです。



今、僕の手元には氏が裁断し、仕立ててくれたジャケットがあります。

このジャケットには、色々な想い出が詰まっています。



ラッジョ氏が、「お前のフィロゾフィーまで表現する洋服を仕立ててやるよ。」と言って

出来てきた、このジャケット、、本当に愛着があります。

ラッジョ氏との思い出を胸に、大切に着続けます。



ナポリでは名サルトと囁かれたラッジョ氏の栄光の人生を讃えると共に、

心から、、ラッジョ氏のご冥福をお祈りいたします。










今日、Hさんから頂いた、ロバート・ジョンソンのブルース歌詞集です。





ロバート・ジョンソンについて、僕は詳しくありませんが、

この本を取り上げた理由については、

製本のコダワリについて教えてもらったからです。



表紙より背表紙を薄くすると、本が綺麗に見えるそうです。

その背表紙が、丸くなっているかフラットかは好みだそうですが、

それでも、薄い方が間違いなく繊細で上品な面持ち(雰囲気)になるそうです。



本をそんな風に見た事がなかった僕にとっては衝撃的で、

これでまた、自分の気付いてなかった物の見方を知る事ができました。

Hさん、本を見る新基準を教えて頂いてありがとうございました!

あっ、もちろん本も、どうもありがとうございました。(笑)



これからも、素敵な書籍を出版し続けて下さいね。






年初に行ったピッティUOMOで貰い損ねた本だったのですが、やっと入手しました。

貴重な資料になりそうな内容が書かれ、愛蔵本になりそうです。

といっても、ペーパーバックですけどね。(笑)







店内に置いてますので、是非ご覧下さい。

ロンドンのサヴィル・ローや各テーラーの歴史、概要が書かれています。



この本はピッティUOMOの特別展として開催された

The LONDON CUT / Savile ROW BESPOKE TAILORING の記念出版本です。

この特別展は、ピッティUOMOの開催会場、バッソ要塞ではなく、

サンタマリアノベッラ駅に近い、別会場のピッティー宮殿で行われました。

今回はヘンリープールも招待され、

日本からの来客の為に、先輩のF氏がアテンドに回られました。



あっ!最近、海外通信を全く更新してませんでした~

そろそろしないと、全部ご紹介する前に次の出張に出てしまいそうです。(苦笑)






今朝のスポーツ日本(スポニチ)に、お客さまKさんが登場されました。

取材にご協力下さいましたKさんや記者のHさんを始め、

関係者の皆さま、ありがとうございました!







Kさんは、ここ長らく、

仕事柄、着たい服を着るのではなく、

相手に合わせた格好を心がけてこられたのですが、

ふと気付くと、〝着る楽しみ〟を忘れ去っておられたそうです。

そんなKさんですが、最近は自分が着たい服も積極的に楽しむようになったせいで、

アイビーに目覚めた12歳の頃を思い出しながらウキウキしてるそうです。



これからは仕事とプライベートと、

Kさんのメリハリの効いた着こなしを見せて頂けそうです♪






今日は朝食前、年初に行ったイタリアで採寸してもらったジャケットの仮縫でした。

その仮縫後、朝食でテーブルを囲みながら質問してみました。



「なぜ、この仕事を続けられるのですか?」

彼は初めに、「ベッラ ドマンダ(綺麗な質問だね)」と言って、こう続けました。

「お客様の服を創っていると、1着1着満足感を得られるんだ。」



建築家で例えるならば、それは公共物のような大きな建物で喜びを感じるタイプと、

住宅のように、より〝個〟に密着した仕事が好きなタイプがあり、

彼は、紛れもなく後者のタイプだと思います。



彼と別れた後、今日はお2人の採寸。

今度は僕自身が、事知れぬ満足感を得る事ができました。

結果ばかりではなく、そのプロセスからも満足感を得ることができる仕事。



今日は七夕、、「この仕事を一生続ける事ができますように!」

いつまでもこの気持ちが変わる事はないでしょう、、

そんな仕事に就けて、僕は幸せです。






こんな部分にネームを入れてみました。

パンツを穿き、ボタンを留めるたびに見えますね。

検品、糸クズ処理をしてから、月曜日到着で発送させて頂きます。(笑)

これは、、僕たちにしか分からない〝秘め事〟ですね。(爆)





ちなみに、このボタンはナポリで買ってきたものです。

ガレッシのコロッツオですが、厚みがシンプルに抑えられています。

ミディアムグレーのパンツに程よいコントラストで馴染むので使わせて頂きました。






今日は、月に1度のBOITS定例会でした。

先月に引き続きまして、会場はマッセアトゥーラでした。

狭い店内に20人近いメンバーの方、、窮屈な思いをさせてごめんなさい。



今日は皆さんを混乱させてしまったかもしれません。

オーダーは、スタイリッシュなスーツを作る事はもちろんですが、

やはり、着る方の思いを最優先するべきだと思っています。

もちろん言われるがままではなく、その思いをプロとして昇華させ、纏め上げる。





今日は仮縫いでしたが、

最初に採寸を行う前に、実はモデルのOさんと、

今回のスーツに対する打ち合わせをして、方向性を決めていました。



それをメンバーに伝え切れずに採寸をしてしまったものだから、

仮縫いの段階になって、Oさんと僕の想いに対する皆さんの思いがズレてしまったのです。

僕も自信を持って進めれば良かったのですが、、



今回の目的は、大前提Oさんを格好良くイメージチェンジする事ですが、

やはり、着る人の思いがあってのオーダースーツです。



ですから、出来上がってくるスーツの完成度、、というか満足度は、

如何にお互いの思いをチューニング出来るかにかかっていると思うのです。



各テーラー、それぞれスタイルがありますが、

現時点の僕の方向性は、やはり「着手の想いを昇華させたスタイリング」です。







今日の参加者より、私的なコメントがあります。

「九州のIさん、お元気ですかー、、神奈川のYでーす♪笑」



最後になりましたが、遠路遥々、

神奈川や愛知からもお越し頂いたS君とYさん、、

お疲れ様でした、、貴重なお時間を割いて来て下さったのに、

多くの至らぬ点、申し訳ありませんでした。

この場をお借りして心から、お詫び申し上げます。



毎度の事ですが、全体の様子はBOSSのブログに委ねる事にします。(笑)

それにしても、今夜の帰宅時間は4時を過ぎていました。

今夜をきっかけに、業界の将来安泰を切望して、、BOITS万歳!






一ヶ月ほど前に、専門紙『繊研新聞』に取り上げられたBoitsの記事です。

このダイアリーにも度々書き込みして下さる〝仕立て屋繁田勇〟の666さんから頂きました。












Wさんから頂いたメールを読んでみて下さい。

下記の文章はWさんが目にされた記事だそうで、それに対する返事は、

僕が以前、この場で書いた内容を添付させて頂きました。



>> ミラノにあるSartoriaのY氏のアトリエを訪れたことがある。

>> Y氏によると、所謂サルト(仕立職人)は仕立てには精通しているが、

>> フィッティングに関しては、全てのノウハウを持ちえているわけではないと断言していた。

>> 良い仕立て職人が、必ずよいフィッティングをできるかというとそうではないようだ。

>> フィッティングプロセスの重要性をF氏も強く言っていた。

>>

>> そうなると、フィッターというファンクションが非常に大事になる。

>> フィッターは言わばオーケストラの指揮者のようで、

>> それぞれの名ソリストの持ち味を引き出し、

>> 全体の音を纏め上げる。

>>

>> コスタンティーノ・プンツォ(フィッター)とフェリーチェ・ビゾーネ(サルト)は、

>> 仮縫いの際に意見の相違で相当暑い議論を交わしている。

>> 仕立側からみた限界に対して、

>> 更に高い要求を出すフィッターの意見が衝突しているが、

>> お互いより良い物を作りたいという情熱からか、

>> 最後はサルトの方もフィッターの意見を受け入れて何とかしてみよということになる。

>>

>> コスタンティーノがフィッターとして世に出てきた際に、

>> サルトでもない彼が、

>> 上手なフィッティングができる訳が無いと叩かれたこともあったが、

>> それは、あまりにも乱暴な意見だ。

>>

>> フィッター自身が仕立のことをすべて知ってしまったら、

>> それこそ仕立ての限界も知ることになり、高い要求が出せなくなる。

>> コスタンティーノとフェリーチェが互いに良いコンビとして成り立っているのは、

>> コスタンティーノの感性と哲学に基づいた、フィッティングへの非常に高い要求レベルが、

>> フィリーチェの職人魂に火をつけ、

>> 最善のものを生み出す結果となっているのだろう



最近、日本でも建築家の先生に依頼する施主が増えていますが、

彼らのポジションと似ていると思いませんか?

大工さんが建てる家と、建築家によって設計されて、

それを大工さんが建てる家は、、

適うなら、両方の才能を手に入れたいですね。(苦笑)



話題はそれますが、、建築家と設計家、、

前者は作家的な性質が強く、後者はあくまで施主の意見を昇華させ、

プロとしてカタチにする。

僕はビスポーク、もちろん後者志望です。(笑)






Sさんの色使いは、いつもパーファクトです。

隙がないというのではなく、ハズシ方までパーフェクト。

いつも勉強させて頂いています。

一朝一夕で身に付くものではない筈ですから、思い切ってSさんに聞いてみました。

色々と話を進めると、理由が見えてきました。

子供の頃から、日常的に着物を楽しまれるご家庭に育たれたそうです。



日本には、独特の〝侘び寂びの色彩文化〟があります。

天然染料(草木染)の色彩は限られるため、

同じ植物染料の濃淡で中間色を作り、

そこに侘び寂びの〝枯淡の美学〟が育まれてきたと考えられています。



どの日本人のDNAにも本来、

微妙な色を見分ける能力が流れていると思います。







今日のSさんの色彩は、まさ侘び寂びの感覚。

タイは、日本で最も古くから伝わる黄色と言われている「刈安色」で、

リバーシブルで組み合わせられる色は「萌黄色」です。

草木の秋色と春色という絶妙な組み合わせ!流石はエルメス!って、そんな事より、



このジャケットの色はまさしく「勿忘草色」です。

日本を代表する初夏の色です。

そして組み合わされるチーフの色は「練色」、これまた日本黄色の一種。



全体の色調としては落ち着いているのに、躍動感が感じられるのは、

黄と青という補色のせいだったのです。

言葉で説明する事が難しいくらい、絶妙な〝組み合わせ〟と〝ハズシ〟が存在します。



色のプロが説明すれば、もっと分かり易いんですけどね、、

僕も、もっと勉強しないといけませんね。(苦笑)