1級建築士のTさんが、
竣工式用にと、オーダー頂いたスーツです。
より立体的なお洋服をお望みとの事で、工房で作らせて頂きました。
気が付けば製作過程を全く紹介してなかったのですが、気に入って頂けて良かったです。
Tさん、ご自身で引かれた図面が大きな公共物となって、竣工式の時、その中に自分がいるって最高ですね!
僕達が生み出す1着1着も、毎回ご試着頂く時、そんな思いです。



今月2月の22日~25日まで、千葉の幕張で、第27回技能グランプリが開催されます。
技能日本一を競う大会に、中山君が大阪代表としてテーラー部門に出場!
仕事の就業外や休みの日を使って、寝ずに縫っています。
それも『グランプリ用の縫い方』で、です。


テーラーという仕事は、1級ライセンスを持っていなくても仕事は出来ます。
持ってなくても、良い洋服を縫う人はいますが、僕が彼を尊敬するのは、資格ではなく、
器用なところです。彼は作る洋服によって縫い方及び、線の意匠を変える応用力の高さを持ち合わせています。


国が認めるテーラードの基本的な技術を有しつつ、
工業製品である既製服のパターンも引け、更に生産管理まで出来る。
さらには、出来上がった洋服ばかりか、写真やイラストからもパターンが抜けるところ。
その型紙から生地を裁断し、自分で縫い上げるところまで何もかもオールマイティーにこなせるところです。
それでいて、シッカリした昔ながらのテーラードも縫え、イタリアの洋服を髣髴させる雰囲気のある洋服も縫えるところ。
それは何を意味するかと言うと、その洋服が持つ匂いを感じることが出来るという事に他なりません。
彼も僕と同じで中学校の頃から洋服をオーダーし、顧客時代を過ごしてきた生粋の
洋服好きなので、色々なジャンルの洋服を知っているからでしょう。

なので、、僕が考える1級技能とは、
スキーで云う基礎スキーみたいなものでしょうか(笑。
基礎スキーの技術の上に、あらゆる感性がブチ込まれるんだと思います。

彼は大学を中退して21歳でこの世界に入り、16歳から針を持った人に追いつこうと、
その5年のブランクを埋めようと、寝る時間を惜しんで、型紙を引きまくり縫いまくったそうです。
それから15年がたった今、選ばれた人しか出場できない、技術者のオリンピックに出ます。(4年前にも出てます)


技能士会から出場のお話(=許可)を頂き、一生懸命励んでおります。
本来、グランプリで勝つ洋服は、現代のマーケットに適合して然るべきなのですが、
実際には疑問が残ります。逆に適合させる努力を惜しまなければ自ずと後継者を育成できる環境も生まれてくると思います。
市場を意識する事から外れるとテーラードの技術は伝統工芸になってしまような気がします。
洋服は伝統工芸ではありません。使って何ぼ、着て何ぼのものですから、、

これからの若い人たちが、どう思おう、考えようと自由ですが、
もし彼らが僕達と同じような思いになった時に、
環境だけでも残しておきたい、、
そんな思いです。

ということで、中山は22~25日は休みを頂きます。
これを云うために、長々と失礼しました(汗。


自分の着る服は、
後回し、、になるものです。
洋服屋には、分かって貰えます(笑。
技術の中山も、自分の洋服は長らく縫ってません。
でも、、自分が着て感じないと良い洋服は生まれないと思うのです。
もう少ししたら、この状態で時が止まった僕の服も、、もうすぐ春になるぅう~(爆。



1998年にオーダーされたジャンニカンパーニャのスーツの調整を承りました。
肩巾を詰め、傾斜角を微調整し、胸巾も調整します。


洋服の持つ雰囲気を変えないように心がけて縫います!(縫うのは中山君です笑)
肩パッドも一旦バラして、Tさんに合わせて作り替えます。


もう少しで、今のTさんに合った洋服が完成します。
抜群の着用感に生まれ変わりますから、Tさん、楽しみにしてて下さいね!!



モクソン織機(低速織機)で織られたモクソンの生地に
船場のOさんが一目惚れされてオーダーを頂き、完成したコートです。
生地の長さが足りずに、ピエゴーネ(インバーテッド)仕様には出来ませんでしたが、
技術の中山君と僕とで喧々諤々しながら何度も打ち合わせ(笑、とても雰囲気のあるコートに仕上がりました。
船場のOさんの狙いやお好み分かっているのですが、
仰ってるそのスポルベリーノっぽさを、如何に毛芯仕立で表現するかの折り合いが大変でした。
スポルベリーノを毛芯で、、と提案はしてみたものの
言われるままスポルベリーノにしておけば良かったと少し後悔したり(笑、、

ちなみにスポルベリーノとはイタリア語の『spolverare』(英:dust)を由来としています。
dustと聞いてアッと思った方は洋服好きですね! そう、、ダスターコートをイタリア人が作るとこうなります!(笑


シッカリ、それでいて肉厚でしなやかな生地が、柔らかく仕立てあがりました。
今回の出来栄えは気に入って頂けたでしょうか。毛芯仕立なので型崩れせず味わい深くなります。
前端を薄く仕上げるために毛抜き合わせにしましたが、ダブルステッチで内側も押さましたので、大丈夫ですよ!!
船場のOさん、いつもありがとうございます!!


この仮縫、フィッティングの為の仮縫いではありません(笑。
このような良い生地がどんどん織られなくなっている、貴重な生地です。
釦位置やラペルの返り位置、シェイプなど、意匠面をご確認頂く為のものですので、
以前のNさんのコートの型紙をベースに調整して、いきなり実際の生地で仮縫いをさせて頂きました。


右側が当初の指定バランスですが、
結局、左側のバランスに変えることになりました。
こっちを優先するとあちらを我慢。あちらを優先するとこちらを我慢。
シルエットも微調整しながら、ご納得頂ける良いバランスが取れたんじゃないかと思います。
今回コート2着目のNさんですが、前回はカジュアル、今回はフォーマルなので、全体的にゆとり量を増やします。
ゆとり量が変われば、見せ方も変えましょうという事で、今回の仮縫に至りました。
Nさん、いつもありがとうございます。お疲れさまでした。


canonicoのホップサックのジャケット地(280g)には、とてつもないカラーバリエーションがあります。
欲しいけど、買う勇気のない120色色鉛筆ですが、それくらいあります。
プレタ(既製服)だと、ない色でも作ってしまいます!


僕達が簡単に手に入れられる色は、
黒、紺、ブルー、グレーあたりの無難な色です。
発色の綺麗な色は、どこかのマーチャントに頼む事になるので、
1着1着海外から送ってもらう事になり、その分が価格に反映されて高くなります。
すると、お客様に買って頂く価格にも跳ね返ってしまいます。
発色の綺麗な色を一色選んで一反まとめて買えば安くなるのですが、
ウチみたいな小さな店がいくら頑張って販売しても、売り切るまでに何年かかる事やら、、
日本の羅紗屋さんも、あまり数の出ない色を抱えて、カット売りしてくれません。
特にこんな不景気だと、無難な色ばかりが売れるので、余計に、、
ウダウダごめんなさい、生地探しは悩みの種です。
既製服で使われるような綺麗な生地が、
簡単に手に入れば嬉しいです。



Nさんにとって初めての仮縫でした。
それもウルトラ弩級の生地でしたので、余計に疲れられた事と思います。


仮縫の時間って緊張しますが、
出来上がりに思いを馳せて、ワクワクする時間でもあります。
僕も初めて仮縫をして頂いた時は、まな板の上の鯉状態で黙って任せるものと思ってましたが、
この段階で、どんなカッティングにしたいのか、しっかり打ち合わせをしないと、
好みの洋服に出来上がるかどうか、とても大切な時間ですから、
何でも良いので、思う事はどんどん言って下さいね!
僕達からも色々と質問攻めにしますので、
遠慮なく言いまくって下さい。



Tさんの時計は、キューバで買ってこられた
クエルボ・イ・ソブリノスですが、何と『ジラールペルゴゥ』です。
おまけに、、フリーメイソンの紋章?入りのトリプルネームですので、さらに驚きました(笑。
Tさん、ちゃんと生地、探しているんですけど、中々見付からなくって、、(汗。
クエルボ・イ・ソブリヌス


乗っていた自転車のクランクが折れて、
代車で買った折り畳み自転車に、ここまで乗り続けるとは、、

青い方がディブラッシ(R24P)
赤い方が旧型のディブラッシ(R4P)で、
使用パーツからすると、
80年代に作られた車体のようです。

元々は折畳式スクーターでスタートしたメーカーで、
2007年に、パーツの供給を考えて新型に切り替えられるまで、
1974年以来、ほぼ基本構造を変えることなく、作り続けられてきました。
そもそもこの自転車、マフィアで有名な島、シチリア島の小さな工房で作られており
盗難を避けるため、部屋に持って上がれるようにと、元イタリア軍パイロットが開発したそうです(笑。
シチリアで1台も見かけなかったのは、そのせいだと思います(爆。
新旧のディブラッシ

フロントブレーキは
日本の唐沢製作所のServoブレーキです。
ママチャリの後輪に付いているブレーキ!あれが何と前輪に!(笑。
ブレーキが逆(右が後輪、左が前輪)に効くので、
左で携帯を持ちながら走る左利きの僕には都合が良いのですが、
普通の人だと、片手で急ブレーキ(左手)を使うと、前につんのめりそうですね。
旧型、R4P(ディブラッシ)

時代に大きく流される(振り回される?)ことなく、
自社のポリシー(パンタグラフ式折り畳み)を貫きながら物作りをする姿勢、好きです。
もの作りをしていく上で、決して失ってはいけない事だと思います。


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