昨日の内容は刺し子の風呂敷がメインになりましたが、
もともとメインに書こうとしていた内容が今日になりました(苦笑。

この蝶の編み物は、
中村協子さんというアーティストの作品です。
生きた蝶のように飛びだしそうなのは、
中村さんが1点1点、かぎ針で編まれているからじゃないかなと思います。


この蝶たちは、すべて中村さんが大好きな
ヘンリーダーガーというアーティストの作品に登場する蝶がモティーフだそうです。
昭和の標本箱に収められているところも、グッときました♪

こんな作品を創られる中村さんをご紹介下さった「Studio J」さん
ありがとうございました!!



この風呂敷を見た瞬間、その圧倒的な存在感に心が揺さぶられました。
刺し子が施されたこの風呂敷は、
お母様が作られたものをJさんが譲り受け、大切に使われている物です。
使い込むほどに天然藍の風合が増し、刺し子がしなやかに柔らかくなってきたそうです。
この存在感は、まさに「用の美」だと思いました。


大きな面に施された刺し子が四隅に集結し、三つ編みにされています。
結んだり解いたりを繰り返す風呂敷、
使い勝手だけでなく、
重い物を包むことも考えて、四隅を補強する目的もあるのでしょう。

もともと刺し子とは、日本で生まれたもので、
16世紀初頭から伝わる、素朴で美しい刺繍技法の1つです。
庶民が日々暮らしていく上で、生活の知恵から考え出されたと聞きます。
日本全国でこの技法を施したものが見られ、庶民の間で広まっていたことが伺い知れます。
元々は東北の厳しい寒さを凌ぐための防寒・補強として衣料に用いられた事が始まりと言われています。


こんな実用的な物にも、美しさを追求する日本人の心意気(粋)。
亀の尻尾が、先に行くほど刺し子の目の出方が細かく小さくなっていき、何とも美しい!


実は、この風呂敷、
お願いしていた、この作品を包んできて下さったのです。


Jさんのギャラリーで、
最初にこの作品を見たときにも心が揺さぶられたのですが、
実際に使い込まれた「用の美」には、正直、少し霞んで見えてしまいます。
比べるものではありませんが、
僕は、作品より、実際に使われる物が好きなんだと思いました。
新品より、手入れをしながら使い込まれたスーツや靴に美しさを感じるのも、
用の美、、そういうことだと改めて気づきました。



Vespa946


わかる人には分かるんです♪
このVespa、通称「スワンネック」と呼ばれているモデルに似ています。


こちらが、そのスワンネック。
正式には、Vespa150VL1(1954年)で、ローマの休日が封切られた翌年の発売ですね。
荷台(リアキャリア)を外せば、酷似しています。


皆さんが見慣れたVespaがこちらですから、確かに似てますよねー
工藤ちゃん!!


Vespa946に話を戻して、、(笑
ネーミングは、Vespa初の量産モデル「Vespa98(1946年)」から、らしいです。
こちらにレポートがありますので、ご紹介させて頂きます


ここで私事を、、
高校時代の50Sに始まり、30年が過ぎました。
50S→50S/107cc改→125ET3primavera→200Rally
→PX200BME と乗り継ぎ、これが今のPX200BME(ブルドーザーイエロー)。
以前は走りに行ったりしてましたが、最近では埃が被ってます(涙。


歴代べスパについて色々と調べたりした時期もありましたが、
べスパ初の量産、Vespa98(1946年)には一度もお目にかかった事がありません。
Vespa98の生産台数は、2年間で18,079台ですから、
1958年に発売されたHONDAカブが初年度24,195台であることを考えると納得。
やはり世界のHONDAなんですねって、話は完全に飛びましたが、
美しさという点ではVespaです。もはや芸術品。
利便性をとるか、美しさをとるか。
贅沢な悩み(笑。

全てはヘプバーンにハマり、
ローマの休日の世界に憧れたことが始まり。




これ、我が家のお風呂の換気扇タイマーです。
このアナログ具合が堪らなく好きなんですけど、廃番だとか。
この部品を選んだ時に、選ばなかった方の品番だけ継続されているので、渋々、、


そちらにする事にしたんですけど、なんかアナログ感が足りないと云うか、普通な感じなんですよね。
この品番ですら、いつまで継続するか分からないと言われて買い溜めしました!
この品番がなくなれば、他にタイマースイッチはないし、
でっかいタイプだけになります


機能だけを優先するなら何も問題ないし、
それどころか大きい方が、元々バリアフリー対応品なので、
押しやすく作られていますから便利なくらいです。でも個人的には見た目が、、

僕は気になるんです!!

谷崎潤一郎の陰影礼賛の件に、「今日、普通道楽の人が純日本風の家屋を建てて住まおうとすると、
電気や瓦斯や水道等の取付け方に苦心を拂い、何とかしてそれらの施設が
日本座敷と調和するように工夫を凝らす風があるのは、自分で家を建てた経験のない私でも~
凝り性の人は電話一つ取り付けるにも頭を悩まして、梯子段の裏とか、廊下の隅とか、
出来るだけ目障りにならない場所に持って行く。その他~」と続きます。
いつの時代にも同じように困ってた人がいたんだって思うと、
現代版陰影礼賛があれば面白いなって思います。
どーでも良い人にはどーでも良い。
そんな話題ですね(笑。



大阪にある商売の神様、今宮戎前に店を構えられる
澤村萬壽堂本店にお願いしていた印章を、今朝、店を開ける前に受け取ってきました。
最初にお願いして以来10年、いつも澤村さんにお願いしています。
印章作りとスーツ作りには何かと共通点があるので、いつも興味深い話を聞かせて頂けます。
前にも一度、澤村さんの事を書かせてもらいましたが、今回は別の切り口。
印章もスーツも、材料と作り方で価格に大きな差があること。
*印鑑とは印影の事で、ハンコ本体は印章です。

・印材(印鑑を掘る材料)= 生地
・字入(印面に文字を書く作業)= デザイン製図
・掘り(印面を彫る作業)= 縫製

*こうして、文字の割り振り(バランス)を考えるそうです。


*一般的なコンピューターのフォントではなく、澤村さんは手で文字を描きます。
    特に複雑な文字や絵柄になると、
    彫れる人(服で云う縫製)はいても、それを描ける人(デザイン製図)が少ないそうです。
    ここで大切なのは、Aカラチェ二のカルロ氏も言う、「出来る出来ないではなく、
    出来たとしても、そこにクオリティーが伴っているかいないか」
なんです。


彫り(書き入れた文字を実際に彫る作業)は、縫製にあたります。


字入れにコンピュターのフォントを使うか、手で描くかで雰囲気が変わりますし、
彫りに機械を使うか手で彫るか、また機械で彫ったものを手で仕上げるかでも雰囲気は変わります。
この雰囲気の違いは価格にも反映し、印材の違いより、人の手間の掛け方の違いが、大きな価格の差となってきます。
人の手間の差(違い)を云う時、そこに合理化の差は無視できませんが、
人の手が生み出す物が尊いものである事に違いはありません。

スーツの世界も同じで、
同じ生地を使っても、仕立て方で価格差があります。
マッセアトゥーラでは実際に230,000円の差(シングルスーツ上下)があります。
製作時間の差で云うとおよそ70時間で、お客様にも仮縫着せ付けなどのお時間にお付き合い頂かねばなりません。
澤村さんと話して、忘れかけていた事を思い出したり、新たな気付きを頂いたり、、
時間が経つと忘れますね。意識の反復を怠っては駄目ですね(汗。
今日は久々に重い?話でしたね。お疲れ様です(苦笑。



このジャケット、普通のテーラードではなく、完全なアトリエメイクです。
かなり特殊な型紙で、裁断前に生地を洗ってフワフワ加工し、
かなり手を入れて、独特の雰囲気を出してあります。
前の店舗の時にオーダー頂いた洋服ですが、
型紙は技術の中山の担当でした。

今日はジャケットの紹介じゃないんです!(笑
ベルトです、ベルト!お隣さんのエリオットローズのベルト!
もともと色気のあるジャケットですが、Oさんが今日オーダーされたこのベルトで、
全体の雰囲気が、更にエロっぽくなりました。スワロフスキーが散りばめられていて派手に見えますが、
ウエストに巻いてみると、これが意外や意外、グッと沈むんですね~、不思議。
微妙にボルドー係ったグレーに、ピンク系のスワロの配色。
ジャケットの色を引き立ててくれてます!
画像を大きくして見て下さい!


僕も、こんなベルト大好きですが、好きな物と『似合うか似合わないか』は別です。
なんで、こんな俺に生まれてきたんや~(涙。




Tさんの時計は、キューバで買ってこられた
クエルボ・イ・ソブリノスですが、何と『ジラールペルゴゥ』です。
おまけに、、フリーメイソンの紋章?入りのトリプルネームですので、さらに驚きました(笑。
Tさん、ちゃんと生地、探しているんですけど、中々見付からなくって、、(汗。
クエルボ・イ・ソブリヌス



乗っていた自転車のクランクが折れて、
代車で買った折り畳み自転車に、ここまで乗り続けるとは、、

青い方がディブラッシ(R24P)
赤い方が旧型のディブラッシ(R4P)で、
使用パーツからすると、
80年代に作られた車体のようです。

元々は折畳式スクーターでスタートしたメーカーで、
2007年に、パーツの供給を考えて新型に切り替えられるまで、
1974年以来、ほぼ基本構造を変えることなく、作り続けられてきました。
そもそもこの自転車、マフィアで有名な島、シチリア島の小さな工房で作られており
盗難を避けるため、部屋に持って上がれるようにと、元イタリア軍パイロットが開発したそうです(笑。
シチリアで1台も見かけなかったのは、そのせいだと思います(爆。
新旧のディブラッシ

フロントブレーキは
日本の唐沢製作所のServoブレーキです。
ママチャリの後輪に付いているブレーキ!あれが何と前輪に!(笑。
ブレーキが逆(右が後輪、左が前輪)に効くので、
左で携帯を持ちながら走る左利きの僕には都合が良いのですが、
普通の人だと、片手で急ブレーキ(左手)を使うと、前につんのめりそうですね。
旧型、R4P(ディブラッシ)

時代に大きく流される(振り回される?)ことなく、
自社のポリシー(パンタグラフ式折り畳み)を貫きながら物作りをする姿勢、好きです。
もの作りをしていく上で、決して失ってはいけない事だと思います。



名刺を作るために、紙を見せてもらいました。
紙にも縦と横があり、縦方向がシッカリ、横方向は柔らかくて腰が弱いです。
マッセアトゥーラの印刷物を初め、色々とお願いしている平田印刷さんに話を聞くと、生地と似てる事が多く、
聞いていて、ワクワクしたので、今日あったその話を書きます。 
名刺の紙選び

生地の場合は、基本は縦方向に張りがあるのですが、
使う素材や織り方によって、あまりどちらがどうとは決まっておらず、
例えばモヘア混の場合だと、横方向にモヘア糸を使うので、横方向に張りが出てきます。
シルク混だと、シルクを経糸に使うので、落ち感(服が広がらずにストンと落ちる感じ)が出てきます。

話は、生地から紙に戻って(笑、
マッセアトゥーラの名刺のデザインは横長型ですので、
シッカリした印象になるよう、張りのある縦方向を横向きに使ってもらいます。

他にも面白かったのは、
今までと同じように印刷をすると、紙質によって
はっきりシャープに見えたり、少し滲んだような優しい感じに見えたりするので、
その辺りも気にして印刷をしないと、印象がガラッと変わります。

またまた洋服でも同じで、生地によって
着用感が変わったり、見え方も変わってくるので、
特にリピーターの方には、その辺りをしっかりお伝えした上で、
寸法を決めていきます。

今回は印刷業界との共通点でしたが、
他にも建築設計関係や、時には物理学の先生との共通点。
この仕事をしていて楽しいことは沢山あるのですが、こんな洋服以外の話も、
その中の1つで、色々な話題から、客観的に自分の仕事に置き換えて考えるのがとても楽しいです。

平田さん、色々とご説明頂き、勉強になりました。
お客様へに説明する時の、とてもいい勉強になりました!!
*この名刺は、僕のイメージを平田さんにカタチにしてもらいました。
 名刺って自分の分身で究極のオーダーだと思います。スタート時(1999年)と同じ、、
 ただ今回、同じ紙が廃盤になったので、今までと似た物を創ろうと、こんな話題になりました!!
 最初はどうしようかと思いましたが、結果的には、紙の廃盤に乾杯ですね(笑。



今日、チェレリーニをオーダーして頂いたMさんの腕には、、
潜水能力も史上最高らしいですが、その存在感も最高峰に達しています!!
チタンケースにカーボンベゼルと軽量化が図られていますが、それでも何と185gもあります。
おまけにヘリウムエスケイプバルブを装備しているので、ヘリウム混合ガスを使った飽和潜水にも対応しています。
腕につけさせて頂いたのですが、小柄な僕がすると、時計が歩いているようでした(汗。
HUBLOT