お問合せが多いですね~
この時期になるとフォックスの生地のお問い合わせ。

英国『FOX BROTHERS』社は、
1772年、英国で創業したテキスタイルメーカーで
その歴史からもクオリティーからも、フランネルの代名詞になっています。
着るほど体に馴染む、英国らしい経年変化が楽しめるフランネル地の起源的なメーカーです。
18世紀創業といえば、、産業革命が始まった頃ですね。
こちらのリンク先の最後の方に、産業革命についてウダウダ書いてます。

他にも似たような生地がありまして、英国ものでは
ハリソンズ(Harrisons)やマーティンソン(Martin&Son’s)が手に入りやすいですが、
日本におけるブランド力(イメージ)ではフォックスに軍パイが上がるようです。

まぁ、フォックスでもハリソンズにしましても、幾段階かのweight(目付)に分かれているので、
それぞれに味わいが変われど、どれも本格的な紡毛フランネルに人気があります。
ただ気候の変化に伴って最近では軽めのフランネルに人気が移行。
でも、こだわり屋さんには今でもウーステッド(笑。
着易いのはウーステッドですね。

僕はと云うと、、
歳と共に、段々パワーが無くなってきて、
ウーステッド(梳毛)フランネルの方が楽チンだと思い始めました(汗。


モダンな色使いもラインナップ!


個人的には、この配色が好きですね♪


ダイナミックです。


クラシックな柄に、さり気なくモダンなアレンジ。


シンプル!


結構なバリエーション!


もちろん、これ以外にクラシックな古典柄も多いです。
サンプルが常時ストック出来ていませんので、事前にご連絡お願いします。




*色の違う文字にリンク有
旧式の低速織機で織られたシャツ地です。
最近、アナログの物作りが見直されていますが、このacornも、
マンチェスターから発展していった産業革命時代の物作りを受け継ぐ英国最後の生地屋さん。

日本には、遠州播州に数台残っていますが、世界のスーパーブランドから
依頼が来ています。でも、、大量生産の必要がなくなり、
その大切さに気づいた時には時既に遅し、、
後継者はもちろん、その品質を見極める人材がいなくなっているでしょう。

この生地は奈良のHさんが、
低速織機の質感を求めてお選び頂いたものです。
先に洗ってガス乾燥機で縮めておいてから、Hさんの型紙で裁断に入ります。




スペンスブライソンのへヴィーウエイトな
アイリッシュリネンで仕立てたサファリジャケットです。
9月半ばにフランスに行く時に着て行きたいと440グラムを選ばれました。
このウエイトのアイリッシュリネンは春先と初秋に大活躍。着込んだ時の表情が最高です。


北アイルランドのスペンスブライソン社は、
英国王室御用達の最高品質リネンとして知られています。
アイリッシュリネンは、実はその紡績技術に定評があったのですが、
現在では、フラックスの生産や紡績はアイルランドで行われておらず、織りだけ。
アイルランドの紡績工場の保存に向け、ナショナル・トラストの動きもあるほどで心境は複雑。
地球温暖化の皺寄せが、フラックス栽培の緯度の限界線を南下させる事に、、

ちなみに、
リネンの原料はフラックスと呼ばれる一年草の植物で、
この原料が紡績によって糸になるとリネンと呼ばれるようになります。
リネンは吸水速乾性に優れた高機能な天然素材で、スペンスブライソンはその中でも最高峰です。

麻は大好きな素材で、よければこちらも読んでみて下さい。
麻シャツを着倒す!
麻ジャケを着倒す!
スペンスブライソン
アイリッシュリネン

これはちょっと違いますが、
シルエットの綺麗なアイリッシュリネンと云うことで(笑。




いい感じです。
何も言いません。
言うほど野暮になる。


サマーツイード。
シルク×リネン×ウール素材。
着込めば着込むほど、味わい深くなります。
こちらのリンクに入ってもらうと、更にその先のリンクに、
サマーツイードについて、コメントしていますので、そちらも是非!!




この御仁をご存知のあなたは、、
きっとアメリカンドリームを手に入れる方です!笑

下の画像はアンドリューカーネギーが好んで着たチェック、通称『カーネギーチェック』!
この生地、たった2反しか織られないらしくジャケット2着分だけ買いました。
そんな歴史的な柄をハリソンズが16オンス紡毛フラノで再現した、
売切れ確実のスペシャル~な460gの生地です。

カーネギー以外の歴史的著名人が愛した生地も再現されました!
他にもウィンザー公(エドワード8世)専用の柄「プリンスofウェールズ」チェックや、
ウェルドレッサーとして名を馳せた英国の元首相Sirウィンストンチャーチルが好んだチョークストライプ等。
ハリソンズが、これらコレクションを象徴する為に名付けた「アーカイブフランネル」コレクション。
ご興味のある方には、手にとってご覧頂ければと思います。
プリンスofウェールズ柄も2着あります!

アンドリューカーネギーは、
スコットランドのダンファームリンで、
ダマスク織の手織り職人の長男として生まれました。
言わずと知れた世界の鉄鋼王と呼ばれたアメリカの実業家です。
他にも著作家やジャーナリストとしても活躍、引退後は篤志家として活躍。
しかし幼少期は、父が経営する手織り工場で働く職人達と共同生活をしていたそうです。
当時のイギリスの織物産業は、手機から蒸気機関(力織機)を使用した工場に移りつつある移行期で、
手織り仕事がなくなって、両親と共にアメリカへの移住し、13歳のカーネギーも綿織物工場で仕事に就いたそうです。
そこから、アメリカでのカーネギー少年のアメリカンドリームが始まるのですが、
繊維に関わりが深かった生い立ちに、僭越にも親近感を覚えます。

こんな生地で仕立てた洋服を着て、
アメリカンドリームを手に入れましょう笑!!



今はもう織られていない、
英国のリアブラウン&ダンスフォード(LBD)の
ロブテックス(ROBTEX)と云う銘柄のバーズアイ(19oz600g弱)
こういう生地、最近なかなか手に入りません。このROBTEXも既に廃盤になっています。


存在感のある生地が、芯の存在を忘れさせてくれるほど、
柔らかく、軽く仕立てさせて頂きます。


背中側も、いい表情です。
まさに「男は黙って背中で語る!」ですね(笑。
Nさん、夏真っ盛りですが、今から完成が愉しみなスーツですね。
でも本当の完成は、、Nさんが着込んで馴染ませて下さった5年後10年後だと思います。
普通に見えるこんな生地ほど、着て頂く方の積み重ねが差となって現れます。




雰囲気としては240g程度の厚さですが、
このコットンは、とても目が詰まってて400gもあります。
針が通りにくく、仮縫の組み立て段階で、針が3本も折れてしまいました(汗。

以前この生地で1着仕上げるのに、針が21本も折れた恐るべしコットン
手で縫うには、力も根気も要るし時間もかかりますが、
着て頂くほど表情が豊かになる、そんな味わい深いコットンです。
色違いでオーダーされるファンの方も数名、、
でも今からだと完成は、、秋の着始めでお願いしています。




ご希望は、
極上のホワイトカシミアで
クラシックなダブルチェスターコート。

生地の手配では紆余曲折ありましたが、ここまできました!


この生地は、英国のミルに直接手配したもので、
ウエイトもかなりヘヴィーで、表面にリップル加工が施されています。
真夏から手配を始め、やっとここまで! 何とか年内のお渡しに向けて頑張らせて頂きます!!
といってもここから先、頑張るのは僕ではなく、技術責任者中山君の領域です(笑。
それじゃ引き続き、中山君、宜しくお願いします。
Uさん、僕たちも楽しみです。


今回の極上ホワイトカシミアの生地手配についてエピソードを。

厚手のホワイトカシミア。
以前はもう少しあったと思うのですが、
こんな贅沢な生地、コートが売れない今の時代ですから、
なおさら白は売れないそうで、日を追うごとに焦燥感に駆られるように、、
軽い生地なら何点か見付けたのですが、500g以上は中々見付ける事が出来ません。
軽い生地でコートに仕立て上げると重厚感がなく、レディースっぽくなってクラシックな雰囲気は出ません。

結局のところ、
国内の商社手配では、
E・ゼニアとロロ・ピアーナから
3品番しか見付ける事が出来ませんでした。
しかし、どの品番もUさんのご希望を叶えるためには
一長一短あって、このまま見て頂くのも僕的には納得できません。

そこで!70歳を過ぎても、年に数回は英国に行かれる先輩(現役ラガーマン!)に相談してみました。
先輩なら、40年以上も毎年かかさず、
年に数回は英国に通っていらっしゃるので、何とか見付け出して下さるかなと、、
これで無理なら、世界中どこを探しても無理!でしょう。

それなら僕も納得して、Uさんに報告が出来ると思ったのです。
早速電話したら、今週末から英国に行かれるとか!
数日後・・
英国からメールと画像が届きました。いい感じです♪
さらに数日後・・
英国からカードサンプルが届きました。
納得のクオリティー、Uさんのご希望にピッタリです。


参考:
ホワイトカシミア生地は少し特殊で、
カシミアの中でも最上級の、最も高価な材料を使います。
カシミヤの原毛は通常、ホワイト、グレー、ライトブラウン、ブラウンに分類されます。
薄いパステル調の色に染めるにはホワイトカシミアを使うのですが、
今回の生地だと、少しでも混じり気があると駄目で、
最高の材料を選別して使う事になります。
価格もグンと跳ね上がります。



いつも海外旅行用のジャケットをオーダーされるTさんですが、
今回は、秋のバスク行き用にと、スペンスブライソンの440Gアイリッシュリネンをお選び頂きました。
このウエイトはリネンの中でも合い物に属するタイプですが、思ったほどじゃないと、、
それは思ったほど暑くないだけで、決して涼しい訳ではありません(笑。
着込んでいってもらうと、良い感じに馴染んでくるのも、
へヴィーウェイトならでは、楽しみです。

もう随分と前の事になりますが、僕は2008年2月、
ロンドンから北へ200キロほど北部の町ファースリー(リーズ近郊)に本社を構える
エドウィンウッドハウス(EdwinWoodhouse)を訪れる機会を頂きました。
Eウッドハウスは1857年にハダスフィールドで創業し、僕が訪問する前年に創業150周年を迎えています。
ロンドンからインターシティーで、駅まで営業企画部長のジョナサン氏が迎えにきて下さいました。


レセプションルームには記録的な写真や資料が置かれています。
レセプションルームと云うより、さながらアーカイブ(保存資料)ルームですね。


これから発表される生地サンプルです。


1910年代、バーバリーに供給された生地のアーカイヴです。


1897年のアーカイヴです。


他にもアーカイヴがシーズンごと(基本シーズン毎に年2冊)にまとめられています。


以前に訪問したホーランドシェリーと同様、
Eウッドハウスでも、自社でバンチサンプルを作成されていました。


サンプルにラベルを貼る地道な作業ですが、こうして、
バンチ(生地見本帳)も、多くの人の手で完成され、世界に向けて送り届けられます。


自社で織った生地をクオリティー別にストックし、
世界各国からの注文に応じてカットし、即日送り出されます。
ミル(生地を織る)とマーチャント(仕入れて切り売りする)に分かれますが、
Eウッドハウスは、両方の機能を有する稀な存在だと思います。少なくとも僕はほとんど知りません。


過去にドロップした生地も、こうして少しずつストックされています。


6プライはウッドハウスで織っていました
マッセアトゥーラにも、Eウッドハウスの耳が付いた6プライが少しだけあります。
スポルティーヴォ、、ドーメルで云うスポーテックスの意味合い。


機場に入って行きます!


今まで見せてもらってきた中でも、かなり大きな規模の工場だと思います。
低速織機ではありませんが、ほとんどがレピア織機でした。
バタバタで詳しく聞けませんでした(汗。


経糸(タテ糸)を変えて、、
マス見本(サンプル)を織っています。


エンドレスペーパー(紋紙)で生地の柄が表現されます。オルゴールを想像しませんか!
近代的なエアジェット織機だと、
柄出しなんかも、全てコンピューター化されています。


凄い量のエンドレスペーパー(紋紙)です。
こんな棚が幾つもありました。


原毛です。
以前は製糸部門も擁していたのか、、聞き逃しました。
何に使うのか、、この分量だけ無造作に置かれていたのですが、もしかしてオブジェ?(笑


緯糸(ヨコ糸)を打ち込む時、
持ち上がったタテ糸と、持ち上がらなかったタテ糸の間にヨコ糸が通って筬を打ちます。
*筬(オサ):経糸を整え緯糸を入れた後、目を詰めるために使う道具。
ヨコ糸→筬打ち、この繰り返しで柄が織り上がります。
*この内容は以前に書いていますので、そちらをご覧下さい⇒2010年3月25日


レセプションルームから見た工場の屋根を見ても、その規模が想像できると思います。


貴重な機会を戴いた皆さまに感謝いたします。
本当にありがとうございました。