スーツの基本であるシルエットは、15年来のお付き合いから完成(洗練!)されています。
そこにスパイスとして少しヒネリを加えられるのが、Sさん流です。
今回は、シングルジャケットをピーク衿に。


生地も、低速織機で織られたモヘアトニックです。
国内外・ブランドに関係なく、Sさんの審美眼で選ばれたものが洋服になります。



成人式以来、初めてスーツを購入されるというMさん。
お仕事されて6年目になられるそうですが、
最近、着なければならない機会が増え、綺麗に着たいと、
スーツを軸に、靴からベルトからタイから総て揃えられるということです。

あれこれアドバイスさせて頂きました。
靴のデザインは何々で、価格帯別にメーカーを伝えたり、
ネクタイは、ジャケットの衿巾やシャツの開き具合でノットの大きさとの
バランスを考えたり、、後々の展開も考えて方向性まで決めて、、

紳士服はただ単に着たいものだけを買ってしまうと
まとまりのない服装になる方が多いので、
幾らでも買えるなら良いですが
単価が高いですから、、

色々とご相談を頂けて光栄です。
靴は結局EGのパターンオーダーで完成は少し先になるとか、
スーツとのボリュームバランスもピッタリで上質な紳士のイッチョあがり!です。
*EG/エドワードグリーン



素材感も相まって、とっても表情の優しいシャツに仕上がりました。
でもシルエットはシャープなタイプにしています。
バランスが絶妙なんですよねー♪

パンツと一緒に送らせて頂きますね!
いつも電話オーダー頂き、ありがとうございます。
Yさん、次のご来阪はいつ頃でしょうか、楽しみにしています!!




「面白いパンツ作ってよ!」
Nさんの言葉から始まった今回のパンツ作りです。
まず僕のパンツを作って検証してから、Nさんのパンツを作らせて頂きました。


「グルカパンツ」
このパンツの歴史は古く、
19世紀前半に起きた英/ネパール戦争(グルカ戦争)の時代に遡ります。
大英帝国に敗け、大英帝国の配下となってからイギリス軍の傭兵(雇い兵)となったグルカ兵は、
ネパールの山岳民族の出身者で、山岳民族特有の尚武の気性と白兵戦能力を備え、
白兵山岳戦に長けた伝説的な戦闘集団として知れ渡っていたようです。
第二次世界大戦では日本兵とも交戦したそうで、現在でも
イギリス陸軍の傭兵として存在するようです。

*出所:On the Hunt for Gurkha Shorts/A Continuous Lean(2014.04.17)
そしてグルカの名前は時を経て、
グルカ兵たちが着ていた黄褐色のショーツを由来とし、
ウエスト部分を特徴とするこのデザインは「グルカパンツ」と名付けられたそうです。

その後も多くの軍隊で採用されており、
年代によって仕様は異なるものの、共通の仕様は大きな持ち出し式のベルトです。
ウエストのフィット感や安定性を高める幅広のウエストベルトは
実際に穿いて頂くと分かりますが、非常に楽です。
非常、、この言葉がピッタリです。

1970年代後半、米国のバナナリパブリック社が
サファリファッションとして販売し始めたことで広く知れ渡ったそうです。
これは、僕が個人輸入(死語?)でバナリパを買っていた時のメールオーダー用のカタログです。
毎シーズン、テーマにそったオリジナリティ溢れるなMDが組まれていたように思います。


内容は、こんな感じです。
このメールオーダーカタログは1988年のものです。


拡大しておきます。
画像クリックで拡大するので、文章も読んでみて下さい。


個人輸入については、こちらに書いています→『個人輸入にはまる(2008.01.31投稿)』

*参考資料:wikipedia「グルカ兵」 *参考資料:wikipedia「グルカ戦争」 *参考資料:wikipedia「Brigade of Gurkhas」 *参考資料:The Washington Post(2015.04.30)

2017年6月追記
試行錯誤の結果、今回はこのようなデザインに変更させて頂きました。




以前、お願いした靴のベースラスト(基本木型)から
かなりモディファイを加えてもらいました。

どんなフォルムになるか楽しみです。
フィッティングは完璧なので、ここからは造形(デザイン)の世界です!
YOSHIMOTOさん、宜しくお願いいたします!!




完成しました!!




以前にも、ご紹介させて頂いたシルクコットンのジャケットです。
シルクは繊維が弱く、染色堅牢度が低い(色あせし易い)ので、白っぽく毛羽立ってきます。
これは劣化ではなく風合いとして捉えています。

表面は霞がかかった程度に毛羽立つことで、光を吸い込んで乱反射させるので、
ギラギラした光沢ではなく、柔らかな光沢になるからです。

この生地はオールシーズン着て頂けるので、この反射の仕方が効いてきます。

冬は少し暖かな雰囲気を醸しだし、夏はギラついた太陽光を柔らかく反射してくれます。
言い換えてみると、冬はクオーターミルドっぽい暖かな雰囲気を醸し、
夏は、毛足の短いサマースエードのような雰囲気です。




毛足の長いアルパカ素材にファーの衿という、ゴージャスなコート。
ショールカラーに似せたアルスターカラーに、ダブルの打ち合いは片方留めという独特のデザインです。
袖口もターンバックと同じ厚みがあるものの、フラットな仕上げにしてあります。
ディーテール毎に写真を撮らせて頂けばと、後で気付きました。


仮縫段階のピークドラペルから、
ショールカラーへご変更のご希望があったのですが、
その変更は叶わず、止む無く「ショールカラー風」とさせて頂きました。
袖の切り替えも、仮縫時のターンバックからの変更ですが、試行錯誤の末、良い感じになりました。


ウエストを絞ったシルエットは、かなりスッキリしていますが、
モコモコの生地感によって、ふんわりした毛皮のような雰囲気になっています。
実際、見られた皆さんから「毛皮?」と聞かれました。


Oさんの発想、いつも楽しませて頂きます。
デザインの新たな可能性、創造の楽しさ、出来た時の喜び。
今回のコートも、完全オリジナルの唯一無二な存在として完成いたしました。。



馬車の時代、男にとってのステータスシンボルはコートでした。
モータリゼーションの波が押し寄せ、それはコートから車に代わりました。
そんな馬車の時代に思いを馳せながら、優雅に身に纏って頂きたいコートに仕立て上がりました。


ホワイトミンク30%、ベビーカシミア70%という弩級素材。
漂白はもちろん、染色も最小限に留められ、
風合いが保たれています。

光が当たると、真珠のように「ピーコック」に輝きます。
この綺麗な生地をサンプルで見られた瞬間、気に入られたTさんですが、
あらためて屋外で見て頂いた時、その「ピーコック」に移り変わるサマに惚れ込まれました。

バックスタイルのデザインは
ピエゴーネ(アクションプリーツ仕様)で仮縫を組ませて頂きましたが、
プレーンなセンターベント仕様に変更する事になりました。


行き過ぎた存在感が出ることを抑えるためデザインはシンプルに、、
その結果、、シンプルなデザインが故に、より素材感が引き立つコートになりました。


最後に、ボタン探しのエピソードです。
この素材に負けないボタン、かといって前に出過ぎないボタン、、
ボタン探しが大変でした。

この生地と同じような色の変化が起きるブラウンのマザーオブパールは
この生地の為に作られたかのような錯覚を覚えます。
見つけた瞬間、体が震えました。

Tさん、いつもありがとうございます。
お手入れについて、しっかりお伝えしてまいります。



以前、ご紹介させて頂いた手織りツイードの裁断です。
1cmでも無駄にしないよう、細心の注意を払いながら、、


完成した仮縫をKさんに着て頂きました。
この瞬間をイメージして物作りに関わり、お客様をお迎えする。


いい感じです。
長く着て頂ける1着に、、