Oさんがイタリア旅行で、ロロピアーナのジャケットを買ってこられました。

ほとんど芯もなく、カーディガン感覚のジャケットですので、

シルエットも、最初はユッタリしていました。

それを比較的タイトフィットに、、



そんな、ご希望を叶えるべく、

今回のお修理における変更点について、

肩巾・バスト・袖丈・ウエスト&ヒップ周りを絞って、

それに加えて、少し薄目のパットを加えて前肩に調整し直しました。

それでなくても軽いジャケットですが、別物に思える程、劇的な変化を遂げています。



ふにゃふにゃなのに、

タイトになった分、少し皺が出ますが、

全体のイメージを優先すれば、気にならないレベルです。





今回の袖丈は、肩先で削っています。

着心地チューンナップに続いて、シルエットチューンナップ!(笑)






お修理を依頼している工房の代表Kさん。
そのKさんのジャケット修理のための補正が仕上りました。

補正前と比べて、劇的に着用感が改善したそうです。


確かに以前と比べてみると、見た目だけは綺麗に納まっています。

また、補正前には負担がかかって波打ってた肩線も、こんなに綺麗になりました。





しかしまだ突き皺が出ています!

基本的な補正が足りないようで、再度調整をさせて頂く事にしました(汗。

突き取りで片付けてしまうには、まだ早急ですからね~。





Kさん、ごめんなさい、でも、、楽しみにしてて下さいね~♪

仰るように、Kさんは寸法的には標準でも、立体的に見ると個性的です。

その個性を受け入れた上で、納めてみましょう。






肩凝りしませんか?と伺うと「結構ひどくて、月に何度か針に通っています。」との事。

お修理を依頼している工房の代表、Kさんとのやりとりです。





そんな経緯から、Kさんご自身のお直しをすることになりました(笑。

お直しというより『着心地チューンナップ』です!




見た目では、何となく「おかしいな」と思っておられたKさんですが、

その着用感までは、気付いておられなかったようです。



洋服の着用感って、見た目で分からないレベルでも、

着比べると、ほぼ皆さん気付かれます。
肩周りに細工を加えてやる事で、かなり変わります(軽くなる)。



日本車の乗り味しかしらないと、

その中で、レベルを比較をするだけになりますが、

欧州車の乗り味を知ると、乗り味に対する感覚が〝別次元〟になります。

同じく、化学調味料の味しか知らない人が天然の旨味を知ると、

味覚に対する土俵が〝別次元〟に生まれ変わります。



もちろん好き嫌いはありますが、両者を知って好みを語るのと、

片方だけしか知らずして、好みを語るのとでは、両者に大きな違いがあると思います。



それはユーザーが知らないだけではなく、

僕たちプロ側が伝えきれていない部分でもあるんですよね(汗。



Kさんから頂いた「もっと皆さんに知って欲しいですね♪」というお言葉は、

とてもありがたい!というか、とても心強くなりました。

だってKさんは今まで「こんなことして意味あるの?」って言われてましたから(汗。

今回のお修理は、いつも
要望に応えて頂いているKさんご自身が
着心地チューンナップを体験されることで、今後の更なる技術力アップに
つなげていこう!という目論見もあるので、なお更です。
Kさん、楽しみにしていて下さいね!!






奈良のHさんからお預かりしたフルオーダーのジャケットは、

肩が合ってなくて、着ていて疲れるので、何とかしてもらえないかとのご依頼でした。


袖を外し、肩パッドを極薄タイプに交換し、

その分だけ肩先が下がってしまうので、肩傾斜も下げました。

もともと若干怒り肩気味のHさんにとっては、良い感じのショルダーラインです。

肩巾も、マッセアトゥーラで作らせて頂いてるジャケットと同じサイズになるように削り(4cm)、

アームホールとの寸法を合わせる為に袖山で調整させて頂きました。






着用感が、かなり軽くなったとHさんには喜んで頂けたのですが、

その理由は、肩パッドを薄くしたばかりか、肩線の削り方と袖付けに秘密があります(笑。





これが、取り出した〝具〟です(笑。





今回のご依頼で思いついたのですが、

Hさんのように、着用感の悪いジャケットがありましたら、

マッセアトゥーラ流に限りますが、『軽さ改造計画』を実施させて頂きますので、

どうぞお気軽にお問い合わせ下さい、お待ちしておりまーす!!

軽さ改造計画を『着心地チューンナップ』と名付け、
こんな機会を頂けたことに感謝です!

ありがとうございました!






サーフィンで胸囲や腕が太くなって袖丈が短くなったというYさん。
タイトに作っていたので、寸法が横に取られて袖が短くなってしまいました。


本開本切羽にしていたので、
肩を解いて長くしようかと思ったのですが、
出来れば仕上がりを考えると肩は解きたくありませんから、
今回は袖口だけで処理をしてみました。


Yさんのジャケットは袖口のボタンは4個ですが、
袖口から3個目までは本切羽にしていますが、4個目は〝開き見せ〟にして、
実際にメス(切り込み)は入ってません。


それを利用して、4個目の穴カガリを解いて袖丈を出し、
袖口に近い部分に新たに1個、穴カガリを施し、穴を開けました。
これで4個とも穴は開いてしまいましたが、肩を解かずに袖を出す事が出来ました。


袖口の汚れは染み抜きをして、
毛羽立ちも綺麗に処理をしたので跡形もなく綺麗です。
もちろん4個目の穴カガリも、糸目を残さず綺麗に消し処理をしてあります。











バーバリーのトレンチコートの袖口が擦り切れたと、
Nさんからご相談を頂きました。
通常、コートの袖はジャケットの袖よりも、少し長目に作っているケースが殆んどです。
見せて頂くと、ちゃんと余裕がありました♪


そんな場合、少し袖丈を短くすると、擦り切れた部分が内側に回りこみます。
そして、その部分を補修してしまえば、外から見ると綺麗です。
もしくは今回のケースのように、
内側に巻き込む分量と袖丈がジャストで合うなら、
画像のような位置で継ぐと綺麗ですね。






実際お修理をしてみると、「なるほど!」って思うことでも、
慣れていないと、意外に気付かないものです。
このお修理で、これまでの20年、そしてこれからの20年、、
まだまだ、、着て頂けます♪(笑)

シーズンインに合わせて、お直しも増えています。

素材も仕立ても良いお洋服は、お直しをしてでも、長く着て頂けます。







そうすれば、買う時にも、本当に気に入った良質の物を選べるようになるのではないでしょうか。



消費的購買から、投資的な購買に考えを切り替えると、

長い目で考えて、逆に経済的かもしれません。

良いものを手に入れ、長く使う。

その方が精神的にも豊かだし、経済的でさえあると思います。

そのためにも〝長く使う〟ちょっとした知恵と工夫が必要になってきます。



僕たちテーラーは、洋服を売ることは手段であって、

最終的には、物を大切にする文化を皆さんに伝える事だと思っています。







今日のOさんのお直しスーツも、英国ハッダースフィールドの

イングリッシュオークミルズで〝手間暇かけて〟織られた 『ドブクロス』です。