今朝、状態の良い発色の綺麗なスーパーブリオを仕入れてきました。

ここ数年前から人気のライトグレーですが、

この生地は微妙に茶がかり、茶のストライプも入っているので、

少し離れて見ると、グレージュ(少しベージュがかったグレー)に見えます。



ドーメルのスーパーブリオは、もともと上質な光沢と腰のある張り感を味わえる生地ですが、

この生地は、70年代のヴィンテージならではの、

何ともドスの効いた?光沢感と腰の強い張り感があります。





開店直後、ぶらっとご来店下さったOさんが、いつものスタイルでご注文下さいました。

VINTAGEスーパーブリオの人気は高く、いつも瞬時に嫁ぎ先が決まります。

Oさんは、この生地で、スーパーブリオで6着目です。

取り扱いにも慣れておられるので、説明は省略させて頂きました。



かれこれ8年程のお付き合いになるので、話しに来たついでにご注文して下さる、、

そんな感じですから、Oさんにとってはオッケーのようです。

Oさん、いつもありがとうございます!






先日のブログを見て下さったという職人志望の方がお越し下さいました。

3年ほど前、今日のお2人と同じようにマッセアトゥーラを尋ねてお越し下さったOB?の

UさんとMさんも途中で応援に駆けつけて下さり、熱い会話が、、





最後の方でUさんから、「あの時YANASEさんが、厳しい言葉を言って下さったので、、」と。

えっ!?この優しい僕が(笑)、そんな厳しい事を言いましたか!??

ごめんなさい、、覚えてないです。(←無責任!)

続けてUさんから、「あの時、そう言ってもらえたので今の僕のがあります!」とも。

Uさん、ほんとゴメンなさい。最高に嬉しいです!(苦笑)



そんなUさんから、お越し下さったお2人に厳しい言葉が出ました。

でも、それは応援してるからこそ出る言葉、本気でやりたいって思ってるなら、

皆んなも本気でチカラを貸してくれます。頑張ってこの業界を引っ張っていって下さい!

こんなメンバー、いないんちゃう?って思うくらいの面子が揃ってます。



この業界にどっぷり浸かってない彼らから出る発想や思いこそ、

何のシガラミもなく純粋に業界を引っ張ってゆくエネルギーになり得ると思っています。

今回お越し下さったお2人が、今から数年後、

応援に来て下さったOBの立場になって下さっている事を願っています。



ちなみにUさんとMさんは、神戸ものづくり大学の3年生で、

自ら引いたパターンで何着何着も縫い上げながら、更に服飾業界で仕事もされています。

これ以上は語りませんが、驚異的なパワーとスピードで邁進されています!

将来を見据えたヴィジョンも素晴らしい!!



皆さん、ありがとうございました!

これからも、ますますパワフルに頑張って下さいね!!






プロ棋士の脳の働きの不思議について、研究が進んでいるそうです。

若い頃は経験が浅い分、計算する事に長けていても、

経験を積むと、読まなくても(計算しなくても)、大局観(直感)で判断できるようになるとか。

その経験に高いクオリティがあって初めて、クオリティの高い直感を生むし、

また、クオリティーが高くなるばかりか、スピードも上るでしょう。



その為には、いかに捨てる(捨てられる)かが重要で、

「美しいカタチか」、「バランスがとれているか」、を本質で捉えながら、

直感で判断し、思考をどんどん〝素早く〟省略してゆく訓練をしなくてはなりませんね。






今日、Tさんの2度目の仮縫をさせて頂きました。

フィッティングは1度目にかなりバラしたお陰で、ほぼオッケーです。

ジャケットと襟付ベストのゴージラインを合わせて欲しいとのご依頼についても、

ラペル巾のバランスも考えながら、角度と高さを合わせ、オッケーをいただく事ができました。

更に今日、胸ポケットがラペルに懸からないようにとのご希望があり、

ポケットを上下左右に動かしながらバランスを考え、位置とその巾を決めました。

仮縫いに必要なのは、フィッティングは当たり前で、

スタイリングやそんな部分こそが、大切なチェックポイントです。










シャツは、クリーニングに出す方が長持ちすると思ってらっしゃる方も多いですが、

今日は僕が実際に試してみた結果をお伝えします。



もう15年ほど前の事ですが、2枚の同じシャツを、ほぼ同じ頻度で、

クリーニング(糊なし)と自宅で洗濯機洗い&アイロンで試してみた事があります。



ちなみに、シャツのクリーニングは

通常、ドライクリーニングではなく、水洗いされます。

そして水洗いのあと、自然乾燥ではなく、大きなドラム式乾燥機で乾燥され、

ボディープレス機でバシッとぺッタンコにプレスされてから、

袖のプレスラインを入れたり、部分的な手直しをされて仕上がります。

ハンド仕上げの場合は、プレス機ではなく、まさに手でアイロン掛けされます。



さて、僕自身が実際に両者を試してみた結果ですが、

1年もしないうちに両者の差は歴然とし、縮みも倍程度の開きがありました。

これはあくまで僕の経験ですので、生地にもよりますし、洗い方にもよるでしょうから、

全てが全て、同じ結果になるとは限りませんが、

それ以来僕はクリーニングに出さずに、自分で洗っています。

それは、縮みや生地の傷みの問題だけではなくて、

自分でアイロンを掛けた方が、シックリ好みに仕上がるという理由もあります。



例えば、取次店ではなく個人店で洗ってもらって自然乾燥してもらい、

アイロンも自分の好みでお願いできるお店があれば、それが最高だと思いますが、

そこまでお願いすると、恐らくシャツのクリーニング代だけで月5万を越えそうな気がします。



洗い方は、また次のダイアリーで!






皆さん、シャツは家で洗濯機?それともクリーニングに出されますか?
僕はシャツを裏返しにした状態で洗濯ネットに入れて、
この日立の自動2槽洗濯機で洗っています。
裁断前のシャツ地を洗ったり、一般家庭より洗濯機の使用頻度が高い我が家では、
時間のかかるドラム式を使っていると、時間が追いつきません。

ドラム式は、節水と洗浄力を謳い文句にしていますが、
使用水量は少ないものの、洗濯時間については同じ全自動でも、
従来の渦巻式にべて、最新のドラム式は2~3倍の時間がかかるそうです。

また、ドラム式には乾燥機能がついていますが、
乾燥時間まで加えると、5倍程度の時間がかかるそうです。
渦巻式なら40分程度で洗濯が終わるので、干す手間はかかりますが、
梅雨の時期を除けば、これほどまで時間をかけなくても乾いてしまうハズです。

あまり強調されない必要電力についてですが、
渦巻き式に対してドラム式は、2~20倍も電気を消費するそうです。
そしてドラム式の乾燥機能を使うと、さらに電力を消費するというデーターがあります。

そしてエコが強調される肝心の使用水量はというと、、
ドラム式の平均が102リットルに対して、従来型は141リットルですから、
確かに約28%の節水になっていますが、それに乾燥機能を使うと、乾燥時にも水を使うので、
それを加えると、渦巻き式以上に水を使うことになるようです。

ドラム式の最大のメリットは〝放り込むだけでオッケーよ〟な利便性です。
ただ、強制乾燥は縮みの原因になりますし、ランニングコストもそれなりにかかりそうだし、
ご自身の使用環境を考えた上で選ばれた方が良さそうですよ。

ちなみに洗浄力だけでみると、
軟水を使った渦巻き式がダントツだそうですが、
軟水使用の洗濯機では2槽式がなかったので、我が家では、
細かな設定でスピーディーに洗い分け(対応)のできる2槽式を使っています。

以上は、国民生活センター実験結果から算出した結果です。
ちなみに現在販売されている2槽式で自動制御式があるのは、HITACHIだけです。



シャツの袖を付け替える為に、糸を解きました。

我が妻のシャツで、家で酔った時に採寸したら、測り間違いました。(笑)

もしかしたら、測り間違えたんじゃなくて、理想的寸法を記録したのかもしれません。(爆)





「私に痩せろって言いたいの!」と、嫌味たっぷりに怒られました。(苦笑)

彼女は彼女で、僕が嫌味たっぷり遠回しに、「痩せろ!」って言いたいって真剣に思ってます。



半袖にしようと思ったのですが、少し太い袖に付け替えます。

肘巾の実寸に、ゆとりを取るのを忘れたのですが、そりゃ入らないハズです。(汗)

頼むから、このブログ見ないでね。(怖っ)






コメント欄でパリのtakashiさんとのやり取りを通じて、

僕がこの仕事を始めて、ここ数年考えている事を〝思いつくまま〟

書いてみます。考えている事が上手くまとまらないかもしれませんが、皆さんに

考えて貰えるきっかけになれば。

以前から書いてる事とダブる事もありますが、ご容赦下さい。



シャツの職人さんが高齢で、あと何年仕事ができるか、、

若手の職人さんが育ってないんです。

これはシャツばかりか、スーツも靴も同じだし、

輪島塗など、日本を代表する工芸品の世界も同じです。

洋服業界の中でも、特にシャツの業界が後継者難は顕著です。

どうしてそうなったのか、諸問題ありますが、特に賃金面の問題が大きいように思います。

若いうちはお金がなくても、その仕事が好きなだけで何とかなっても、

結婚を考えた時に実際に生活出来ないのでは、続けていきたくても不可能です。



ここで話はそれますが、今の日本は〝大量生産大量消費〟社会。

そのせいで、急激に日本の経済が伸びたので、

それが駄目だったのか言われると否定はできないです。

でも、これからはそれを考えなおさないといけない時期ではないでしょうか?



皆さんの身近なものを例にとると、解り易いのは洋服よりも住宅だと思います。

日本の木造住宅の平均寿命は30年、1世代1軒を消費する計算です。

自分の人生、ほとんど家の為に働いているようなものですね。

それが英国のように75年住宅になればどうでしょうか?

勤労者世帯の月平均住宅返済額11万弱が、丸々

と言わずとも6割はゆとりに回せます。



家だけではなく、買い物をする時に誰でも〝安くて良いもの〟を探そうとしますが、

その選択条件の中に、「少々高くても長く使えるもの、、」を加えてみると、

少しづつですが、消費財が減って、ゆとりが出てくると思います。

僕はその事を高校時代に買ってもらった靴で実感しました。

20年以上現役で履き続けている靴が何足もあります。



家という大型消費財で考えると、その金額も大きく難しいかもしれませんが、

身の回りのものから少しづつ心がけ、それを実感してゆけば、

日本の感覚も昔に戻ってゆくように思います。



そうすれば耐用年数を考えて作ることが出来ない使い捨て前提の物から、

※コスト面で考えたくても考えられない!

少しでも長く使える物を求める人が少しずつ増えると、

それを作る(工場でなく)職人さんの後継者も、少しづつ増えるハズです。

それが日本が、今後本当の意味で先進国の仲間入りが出来る条件ではないでしょうか、、



職人さんがいなくなって困るのは、

最終的には、僕たち消費者であると思っています。

「俺には関係のない世界だ!」なんて言う方もおられると思いますが、

そういう人がいてこそ、工業生産品のクオリティが保てているという事実もあります。

そして、、気付いた時には時既に晩し、技術指導者がいなくなってるんです!

職人と呼ばれる人の平均年齢は、毎年あがる一方ですから、、



職人の後継者難という、我が業界の問題に直面した時、

日本全体の問題にまで置き換えられるなって、

恐らく大勢の人が感じておられるこの事実にやっと気付きました。

目指すべき方向が分かっているのに、何からどう手をつければ良いのか、、

世の中に影響力をもった人に〝ビジネスではなく〟一緒に真剣に考えて欲しい問題です。

先ず僕は、自分が始められる事からコツコツ始めます。






今日、お客様と時計の話をしていました。

そのお客様は、ゼニスのエルプリメロムーブメントを始め、

結構、メカ二カルな感じの時計が好きな方なのですが、最近2針が気になるとか。

実は僕もスーツ屋のクセして、スーツに似合う時計を持ってないっ!(笑)

既に廃盤ですが、イエーガールクルトマスターウルトラスリム辺りなら手が届きそう。

バックスケルトンで、手巻きなので、

自動巻きのローターで綺麗なムーヴメントが隠れる事もなく、

その美しさは際立っていると思いますが、できればステンではなく、WGモデル辺り、、笑。

ここで、「バックスケルトンでなくても美しい時計は内面から滲み出る、、」

みたいなマニア受けするコメントは無しにして下さいね。



シンプルが故に誤魔化しの効かない美しさ。

それはデザインを始め、素材感、仕上げ、組み上げたときの全てのバランス、

そして更には、シンプルが故に内面をも透かしてしまうくらい、

それくらい誤魔化しの効かないものだと思います。



削ぎ落としの美学って言葉がありますが、

スーツ姿でも、目立たないようにするのが本質の意味でのお洒落だという考えがあり、

そういう意味では、ディーテールで「すごい」と思わせるよりも、

仕立ての良さや、生地の良さがその人にマッチしてるかどうかが肝心です。

以前、ネービースーツについて書いた事がありますが、

そういう意味ではまさに、ネイビーがストレートに表れますね。



パッと見で目立たないネイビーですが、見る方は、その人に魅力を感じれば、

スーツの仕立ても見るだろうし、靴も時計も全てを見ると思います。

そのときに、キチンとしていれば、人に違和感を与えないし、

見る人が見ると、なるほどと頷かせるものがある筈。



何が言いたいか、よく分かりませんが、

自分も行き着くところ、そうなりたいなって事で、

これからも、そういう服を目指してゆきますよって宣言です。(笑)

そういう服って結局は、飽きずに永く着続ける事のできる洋服になりますから。



いつもマッセアトゥーラで登場する服は、それとは真逆な服が多いですが(笑)、

どの洋服も、基本的な美しさの上に成り立っていますので、

見た目だけの誤魔化しではないことだけ、、

、、宜しくお願いします。(笑)






Oさんのシャツは、いつもタイトフィッティングです。

今からお伝えする考え方はマッセアトゥーラのスーツも同じですが、

バスト寸法やウエスト寸法が同じ人でも、前後バランスまで同じとは限りません。



アームホールの刳り位置で胸巾と背巾を測ると、大抵の方は背巾が広く、

一方、胸囲位置(カマ下)でみると、胸巾の方が広く、

特に鍛えた方の前後のバランスだと、かなり胸巾が広くなります。

タイトなシャツを仕立てる場合は、この前後バランスを考えておかないと、

胸巾がキツく、背巾が余ったりしますから、一見フィットしたかのように見えても、

実際には着づらいですし、見た目にも、見慣れた目には結構不細工だったりするものです。



これと同じ事は、お腹周りでも言えますし、アームホールだと、

肩傾斜や反身や屈伸といった立体造形が絡み合ってくるので、更にシビアな調整が必要です。





安定してから、僕はほぼいつも同じスタイルで作っています。

これで、今まで生地が気に入ってもサイズが合わなかったり、その逆も、、

いつも気に入ったシャツを探し、彷徨う、、そんな苦労から開放されたことはオーダーの賜物。




採寸の際には、お好みのフィット感をお伺いした上で、

ゆとりを好まれる方には胸囲実寸+14cm、アームホールは+6cm。

ジャストフィットがお好みの方には胸囲+12cm、アームホールで+5cm。

タイトフィットがお好きな方ですと、胸囲+9cm、アームホールで+4cmを標準としています。

もちろん、胸囲+16cmや、アーム+8cmという方もいらっしゃいます。





サイズを合わせるだけではなく、着用感を高めるため、

そして、より綺麗なラインを求めて型紙の微調整を繰り返します。

その為には、お客様との対話が大切となり、お互いの意見をぶつけあいます。

それと同時に、襟やカフのバリエーションも加わり、ご自身の型紙コレクションは充実してゆきます。