チューニング

お客様からお預かりしたお洋服を解きました。
今まで、お預かりをしたイタリア製のお洋服の中でも、
1~2を競うほど泥臭い、人間の手の匂いがする洋服ですから、
事細かに、そのポイントを打合せながら補正内容の趣旨を摺り合わせます。
肩パッドやタレ綿、テープの貼り方など全てにわたって、
日本の考え方とは違うので、いくら日本の考え方で、「こうしよう!」
と言われても、そこを変えてしまうと『匂い』が失われてしまう部分は変えられません。
襟ミツが浮くので、肩&胸周りの補正で納まりきらないと思われる部分は、
ゴージラインのハシゴ掛け(ハシゴまつり)は解かずに、
上襟を首周りから外し、縫代が許す限り、
下襟とのバランスを考えながら、襟ミツの調整を試みます。
まるでエンジンのチューニングと同じですね。
エンジンをバラして組み直す事で、最大限のポテンシャルを引き出します。