ハダスフィールドの機屋さんを見学させて頂きました。




この機屋さんでは、織物によって昔ながらの織機と最新の織機とを使い分けておられます。
手の込んだ複雑な織物には、時間のかかる低速シャトル織機で、
シンプルで安価な織物には、短時間で織れる高速シャトルレス織機が使われ、
多くの織機が、広大なスペースに設置されています。
織機も電子化が進んで、経糸(タテ糸)のテンションや緯糸(ヨコ糸)密度、組織などが
合理的にコンピューターで数値的に制御され、安定して織物が織れますが、
その反面、織キズや織り密度のバラつき等の?味?がなくなります。

経糸を必要な本数だけ織物の巾に合わせてシート状にして
ビームというドラム缶を横に細長くした様なものに巻き取ります。(経整形)
150cm巾の生地で、平均5,000本もの経糸(約35本/1cm)が使われるんですよ!
次に、緯糸についてお伝えします。
生地は、主に緯糸の構成で、色々な表情を出します。
色々な織柄を出す為に絶対に必要なもので、HEALD(ヘルド)と呼び、
日本では綜絖(そうこう)と呼ばれる物で、緯糸を通すために経糸を上下に開く器具です。
生地のデザインによって、必要なヘルドを組み合わせ、
それを織機にセッティングします。
そして、先程のビームに巻かれた経糸の先端を、
組み合わせたヘルドに1本1本通し終え、これで織る準備が完了です。
この作業は手作業だと大変ですから、ドローイングマシーンという専用機で行なうのですが、
高速で織る場合、経糸の間に緯糸を通しやすくしようとして、
経糸を強く張ってしまうと、生地のむっくりした風合いが損なわれてしまいます。
そしていよいよ織布が始まります。
これは高速シャトルレス織機、ズルツァー(スルザー)です。
シャトル(杼)がなく、グリッパーと云う小さな鉄片が糸を掴んで経糸の間を走ります。
他にも更に超高速で織れるジェットルームもありました。
以前、低速織機の機屋さんを訪れた時の様子は、こちらへどうぞ
更に2007年に訪れた、北アイルランドの超低速の足踏式織機もご覧頂けます。
来月は、マイスターファクトリーの生徒さんと一緒に、愛知県の低速織機の機屋見学に伺います。



サルトリア巡礼、第3弾はミラノのサルトです。
ここでは、環境や技術的な部分より興味深かった事があり、
それは後継者育成システムで、熟練の職人を、若手の技術者が取り囲んで、
給料を貰いながら、お客様のお洋服を縫える環境が作られています。
詳しいご解説を頂き、色々なヒントを得ました。
ここでは書ききれない内容で、今後の行動の指針になります。
トリノ出身者をはじめ、4人の若手が縫っておられました。
日本人も1人、職人として仕事に就いておられます。
今回のサルトリア巡礼で会った日本の人たちと話していて、
勇気付けられたり心配になったり、色んな意味で複雑な心境ですが、
日本人が日本以外の国でモノづくりの学んでいる(仕事をしている)事実を、
日本に居る僕たちは、色々な角度から受け止めなくてはならないように思いました。
ここで裁断された生地が、附属と共に、併設の工房に流されます。
フィレンツェとの違いは、
品質の安定を目指して工程を分け、
数名の職人さんで1着の洋服を縫い上げ完成させる事。
フィレンツェが、より人間臭い洋服を目指したモノづくりであるのに対して、
国際都市ミラノが目指す服は、工業製品のような整理整頓された服ではないのですが、
立体的に構築された『手によってしか生み出せない』美しい服です。

改めて紹介しますが、
この傾向はパリに行くと、もっと顕著に現れます。
色々とお手配にご尽力頂いたsartinoさん、どうもありがとうございました。



サルトリア巡礼の第2弾もフィレンツェです。




リズムの良いお喋りに合わせ、リズム良く縫っていらっしゃいました。
お互いの手をチェックしながら(けなしながら!?笑)、
日本とはまた違った楽しい雰囲気の中に、洋服が生まれてくる環境があります。




カッティングに関しても縫製に関しても、
フィレンツェのサルトには、似たような共通点があります。




この著名なサルトでも、モノづくりの環境ばかりか、
技術的な部分まで詳しく見せて頂けて、とても参考になりました。
ただ見たからといって真似る事はできないし、また真似られるものでもないと思います。
だって僕達は日本人。日本の環境で、日本人の手で、、縫うのですから。




技術者同士が他愛もなく、
面白おかしくぶつかり合っている姿が

とても微笑ましく、印象的というか、こういう環境から、
良いものが生まれるんだなって、色々なことを考えさせてもらえました。
楽しい時間の中で、たくさんの気付きを頂きました。皆様、どうもありがとうございました。





今年からマーティンソンに2プライが加わりました。
3プライだと目付けが450gもあるので、「真夏は着たくないよ~」
という皆さま方には、こちらの、同じフレスコの2プライ(280g)がお勧めです。
フレスコは1907年にマーティンソンによって商標登録され、
中でも3プライは、僕の中で思い入れがあります
こちらが、その登録商標の現物です。
八ダスフィールドのマーティンソン社を訪れた時、
皆さんに色々と教えて頂きました。
左から、デザイナーのハンナさん、取締役のゴードン氏、営業部長のジェーンさん
1900年代のアーカイブ(過去資料)を見せてもらったのですが、
その中に、確かに3プライフレスコがありました。
何と!100年前の生地見本です。
こちらは現在のフレスコを使ったお洋服で、只今仮縫い着付け待ちです。
出来上がる頃には、ちょうど良い季節になっている予定。
Oさん、3プライの次は2プライを是非!(笑)


出来上がったシャツを見て、春の訪れを感じました。
【緊急報告!!】 3月30日(火)〜4月2日(土)
伊)カンクリーニ社のフルコレクションによる
オーダーフェアを開催いたしますので、皆さま是非ご覧下さい。

サルトリア巡礼第一弾はフィレンツェです。
以前、ジャケットをお願いしたサルトリアで、2度目の訪問です。




イタリアでは当たり前のように、足踏みミシンが使われています。




ウールのコートの裏地にカシミアを使ったり、




笑顔のある環境の中から、どんどん素敵な洋服が生まれるんですね。




カセンティーノに使うファーも、
イタリアでは、型紙から作って「ス・ミズーラ」です。




技術者の中山氏と僕とでは見る観点は違いますが(笑)、
イタリア独特の雰囲気が生まれてくる理由を、技術者として感じてもらえたようです。


ご協力頂いた皆さま貴重なお時間を頂戴しまして、ありがとうございました。
お陰様で、楽しく有意義な時間を過ごさせて頂く事が出来ました。




以前ご紹介させて頂いたWeight575g/4PLYのピンヘッド(チェック)の3ピースです。
少々では型崩れしないこんな生地こそ、
手で柔らかく縫って馴染ませてゆく楽しみ方が良いですね。
手縫の良さ、、Nさん!これから長きに渡って、存分に味わっていって下さいね。

Kさん!奥さま、おめでとうございます!
楽しくって素敵な結婚式&披露宴でした。
Kさんのご挨拶に、多くのご来賓が涙されました。
この日を忘れないよう、画像アップさせて頂きますね。(笑)
ゼニアのベルベットのストライプスーツ、最高にお似合いでした。
奥さまからの結婚記念として弊店のスーツをお選び頂き、ありがとうございます。
このような機会を頂けた事に心から感謝致しております。
末永くお幸せに!

服育セミナー、今日はTPOについて話す機会を頂きました。
ご出席下さいました先生方をはじめ、
関係者の皆さま、どうもありがとうございました。
略儀ながらこの場をお借りしまして、心から御礼申し上げます。
内容はこちらから → 『第12回 服育ラボ定期セミナー』



ご注文頂いて3ヶ月弱、お待たせしました!

Mさんのカセンティーノのショートコートが完成しました。
裏地や袖カフの裏側などに、オレンジのウール地を使ってみました。
襟型も、Mさんオリジナルで、「サラッと立つような襟」に、型紙を作り替えました。
奥に見えるコートの襟と比べたら、一目瞭然です。
下にジャケットを着て頂けるよう、
フィッティングにはゆとりを持たせてあります。
Mさん、またまた色違いでご注文頂き、ありがとうございます。
帰られる時、後ろ姿を見せて頂きましたが、狙い通りのラインで大成功でした。