Kさんのお父様が生前、
最後にオーダーされたというジャケットをお預かりしました。
今回は、芯据え以外ほぼ完全にバラバラにして、
再設計の上、仮縫いをさせて頂きます。
流れ的には、ジャケットをお預かりし、
解いて→型紙設計→仮縫→Kさんに仮縫状態で着てもらって、
→解いて型紙を再設計→本縫 という流れです。
着丈は5センチ短く(前3センチ・後5センチ)しましたが、
これは、ほぼ全て肩線で調整しました。
これによってアームホールもコンパクトになり、袖も細く出来ますし、何より
襟のゴージラインが上に移動するので、現代風になります(笑。
腰ポケットの位置も、ポケットから下も短くならず、
寸詰まりになったりしません(笑。
もともとちょうどだった袖丈が
肩巾も随分と詰め(巾を狭く)ましたので、
短くなりましたが、その分は袖口で出しています。しかし!
裏地が足りなくなりましたのでは新たに張り替えました。実は表地も足らずに、
ある工夫をすることで、足りたように見せています!(笑
反身調整や肩傾斜もKさんに合わせ直しました。
これから生まれ替わるお父様のジャケット。
末永く大切に着て下さい。
これは参考ですが、、
技術者による手縫縫製は日本では平均45時間が目安とされています。
マッセアトゥーラの平均で、60~70時間を目安とし、
イタリアでは、大体40~100時間と聞きます。
*今まで見聞してきた範囲ですが、、
同じ生地でも、縫製時間が完成品の価格差になる理由です。
ブランドの付加価値も考慮の必要性があります。
工場縫製でも縫製時間の差はあります。
これも価格差にとなります。
僕は手縫い崇拝者ではありませんが、
手をかけて縫われた洋服は、
見た目にも違いますし、
型崩れどころか、どんどん馴染みます。
手が掛かってない服は、どんどん型崩れしていって、
見た目にも「馴染みか型崩れか」判ります(判る人には、ですが)
これは、着れば着るほど、差が出てきます。
手を掛ければ掛けるほど、、これを、
料理などに置き換えると分かりやすいでしょうか。
業界の主流は、
高価な生地を大量にまとめ買いしたり、並行で仕入れたりし、
それを簡易縫製し、スーツの「形」に安く作って、
次から次と使い捨て、、ですね(涙。