Sさんの色使いは、いつもパーファクトです。
隙がないというのではなく、ハズシ方までパーフェクト。
いつも勉強させて頂いています。
一朝一夕で身に付くものではない筈ですから、思い切ってSさんに聞いてみました。
色々と話を進めると、理由が見えてきました。
子供の頃から、日常的に着物を楽しまれるご家庭に育たれたそうです。
日本には、独特の〝侘び寂びの色彩文化〟があります。
天然染料(草木染)の色彩は限られるため、
同じ植物染料の濃淡で中間色を作り、
そこに侘び寂びの〝枯淡の美学〟が育まれてきたと考えられています。
どの日本人のDNAにも本来、
微妙な色を見分ける能力が流れていると思います。
今日のSさんの色彩は、まさ侘び寂びの感覚。
タイは、日本で最も古くから伝わる黄色と言われている「刈安色」で、
リバーシブルで組み合わせられる色は「萌黄色」です。
草木の秋色と春色という絶妙な組み合わせ!流石はエルメス!って、そんな事より、
このジャケットの色はまさしく「勿忘草色」です。
日本を代表する初夏の色です。
そして組み合わされるチーフの色は「練色」、これまた日本黄色の一種。
全体の色調としては落ち着いているのに、躍動感が感じられるのは、
黄と青という補色のせいだったのです。
言葉で説明する事が難しいくらい、絶妙な〝組み合わせ〟と〝ハズシ〟が存在します。
色のプロが説明すれば、もっと分かり易いんですけどね、、
僕も、もっと勉強しないといけませんね。(苦笑)