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ダマスカス空港で一夜を過ごした僕は、

暗い間に空港を出発し、砂漠を突っ切るいっぽん道を古代遺跡パルミラへと向かった。

さぁ、これから中東の国アラブなる未知の国を旅するのだ。



パルミラは、ヨーロッパ・アジア・アフリカの3大陸を結ぶ要衝にあり、

古来交易の場(キャラバンサライ)として栄え、

当時は、無敵のローマ帝国を敵に回す程の権勢を誇った中東4大遺跡の1つである。



この地を巡り、様々な民族が侵略を繰り返したせいか、

パルミラばかりか、シリア全体が世界でも群を抜く、見事で広大な遺跡の宝庫となっている。



町中いたるところで、高らかに響くアザーン(祈りの呼び掛け)の声を聞きながら、

その残照の中で佇んでいると、煙草の煙の向こう側に古代人が現れる。

それはまさに、、アラビアンナイトの世界である。

僕に知識があれば、空想はとめどもなく、もっとリアルに広がるんだろうけど。



そうした時間を過ごしていると、

日本で、時間と隣り合わせの生活をしている自分に疲れを感じてしまう。

この国にいると、遊牧生活を営んできた民族(ベドウィン)の国だからなのか、

なんだか、のんびりした気分になってくる。



人間らしい暮らしって何?

物が豊かなこと?



ここシリアには、今なお人間らしい暮らしが存在している気がする。

そして、豊かな心のゆとりを感じる。

それこそ、太古の昔から人間が営み続けてきた生活そのものの姿だと思う。

「日本も昔はこうだったんだろうな~」そう思うと、なんだか余計に寂しくなってくる。



アラブ人と接していると、たまには「しつこい!」と感じる。

そして「うるさい!」と感じることもある。



でも人間らしさを感じるのは何故?



アラブの政治体制は王政・軍政・社会主義共和政と様々なのに、

生活様式は欧米に比べて均質であると聞く。

これはアラブ人は同じ信仰と価値感を共有しているからだとも言われているそうだ。

アラブ社会は保守的であり、和を重んじる民族である、という事だろう。



また欧米人は、客観的に物事を判断できるのが大人だ、という考え方をする。

逆にアラブ人は、主観的で感情的な奴が人間だ、という考えである。

だからアラブ人からすると、「欧米人は何を考えているのか分らない!」となるんだろう。



とすると、、僕はアラブに生まれたら大成するタイプの人間だ。(笑)

「神よ!来世はアラブの国に生を与えたまえ!!」 けっこう本気だったり。(爆)



インシャアッラー

神の思し召すままに





アラブ・・・西アジア~アフリカ大陸の北部一帯を覆う広大な地域。

      アラブ20カ国とパレスチナを含めると、何と21カ国にも及んでしまう。

      ちなみにイランはイスラムの国だが、アラブではない。

      一方、イラクはアラブの国で、アラブ連盟の加盟国でもある。







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テヘランの空港に降り立つと、空の青さと乾燥した空気に胸がときめく。
ブルーのモスクに思わず目が止まる。
あれもこれも、東南アジアやヨーロッパでも、見ることのできなかった世界が迫ってくる。

観光旅行で、テレビや写真よりも印象的に見える景色はそうはないだろう。
写真やガイドブックと全然違うといって、がっくりきた海外旅行の経験は誰でもあると思う。

そんな期待を裏切らないのがイランだ。
それどころか、日本にはイランの良さが伝わってない腹立たしささえ感じる。

しかし、イランというと
「テロリストの危険な国」とか「イスラム原理主義の国」というイメージを持たれている。

というのも、かつて中近東で最も親米的だったイランの政治体制が、
イスラム革命によって反米色に変わった事に始まる。

この1979年に始まったイスラム革命に猛反発したアメリカは、イランへの経済封鎖に出た。
イランが「テロの国」「イスラム原理主義の国」というイメージを世界に植え付けたのである。
未だに、そのイメージは拭い去れていない事実は残念である。

ところがイランに行ってみれば、、、
そんなイメージを払拭してしまうほど明るく、開放的で活気に満ちた国なのだ。

イランの印象を、いくつか箇条書きにしてみると

1)街はブルーだ
イスラミック建築であるモスク等、ブルーがとても綺麗。

2)水がおいしい
砂漠の国だが、アラビアのような「砂の国」とはちょっとイメージが違う。
イランの山脈には地中海・黒海・カスピ海の上昇気流がぶつかり冬には雪が降る。
この雪解け水が、地下水となり河川となって、砂漠にある都市を潤しているそうだ。

3)ペルシャ絨毯
作っているところを見たら「ハンドメイド文化」にびっくりする。
今の日本人には失いかけている世界だ。(我がマッセアトゥーラでは健在だ、笑)
天然のシルクやウールを草木染めして大きなものだと何年もかかって織り上げる。

4)ノンアルコール…禁酒国
旅行者でも、お酒を持っているだけで強制退去になるという噂。

5)チャイハネ(喫茶店)
紅茶と水タバコを目的に人々は集まる。
紅茶は角砂糖を口に含み、小さなグラスで受け皿に移してからチビリチビリやるのがイラン式。

6)果物がおいしい
水の美味しい国は食べ物も美味しい。
ブドウもスイカも乾燥地で作ったものは美味しい。

7)ピクニック
イラン人家族はとても仲がいい。
家族どころか、時には親戚中で夜な夜なピクニックに出かける。
芝生のある公園では夜の9時を過ぎると、大勢の人たちが集まってきて楽しんでいる。

いくらでも挙げるとキリがない。
あとは、実際に出かけてみて、エマームモスクの静寂さに身を静めよう。