素敵です。
近くで見るとチェックです。


3メートル離れると、柔らかな表情に。
5メートル以上離れると無地ですが、普通の無地には見えません。


今年のロッリサジェスチョンの中から、、
ロッリさん、素敵なご提案をありがとうございます。
そして、この生地をお選び下さったNさん、本当にありがとうございます。
ちなみに、、色使いはイタリアですが、織元は英国でシッカリ打ち込まれていますので、
これを極薄の毛芯で、柔らかく柔らかくお仕立てさせて頂きます。




ご希望は、
極上のホワイトカシミアで
クラシックなダブルチェスターコート。

生地の手配では紆余曲折ありましたが、ここまできました!


この生地は、英国のミルに直接手配したもので、
ウエイトもかなりヘヴィーで、表面にリップル加工が施されています。
真夏から手配を始め、やっとここまで! 何とか年内のお渡しに向けて頑張らせて頂きます!!
といってもここから先、頑張るのは僕ではなく、技術責任者中山君の領域です(笑。
それじゃ引き続き、中山君、宜しくお願いします。
Uさん、僕たちも楽しみです。


今回の極上ホワイトカシミアの生地手配についてエピソードを。

厚手のホワイトカシミア。
以前はもう少しあったと思うのですが、
こんな贅沢な生地、コートが売れない今の時代ですから、
なおさら白は売れないそうで、日を追うごとに焦燥感に駆られるように、、
軽い生地なら何点か見付けたのですが、500g以上は中々見付ける事が出来ません。
軽い生地でコートに仕立て上げると重厚感がなく、レディースっぽくなってクラシックな雰囲気は出ません。

結局のところ、
国内の商社手配では、
E・ゼニアとロロ・ピアーナから
3品番しか見付ける事が出来ませんでした。
しかし、どの品番もUさんのご希望を叶えるためには
一長一短あって、このまま見て頂くのも僕的には納得できません。

そこで!70歳を過ぎても、年に数回は英国に行かれる先輩(現役ラガーマン!)に相談してみました。
先輩なら、40年以上も毎年かかさず、
年に数回は英国に通っていらっしゃるので、何とか見付け出して下さるかなと、、
これで無理なら、世界中どこを探しても無理!でしょう。

それなら僕も納得して、Uさんに報告が出来ると思ったのです。
早速電話したら、今週末から英国に行かれるとか!
数日後・・
英国からメールと画像が届きました。いい感じです♪
さらに数日後・・
英国からカードサンプルが届きました。
納得のクオリティー、Uさんのご希望にピッタリです。


参考:
ホワイトカシミア生地は少し特殊で、
カシミアの中でも最上級の、最も高価な材料を使います。
カシミヤの原毛は通常、ホワイト、グレー、ライトブラウン、ブラウンに分類されます。
薄いパステル調の色に染めるにはホワイトカシミアを使うのですが、
今回の生地だと、少しでも混じり気があると駄目で、
最高の材料を選別して使う事になります。
価格もグンと跳ね上がります。



以前ご紹介させて頂いたイタリアンツイードです。
イタリアンツイードなんて言葉があるのか、どうか分かりませんが(笑。
もう10年のお付き合いになるFさんが決めて下さったこの配色が、シリーズ中もっとも個性的。
グリーンベースにショッキングピンクのラインが入っているのですが、個性的ですが派手さは感じらない不思議な色。
お仕事用にはボルドーのニットシャツを同時にオーダー頂きましたが(納品済み)、
休日は、ホワイトジーンズにショッキングピンクのタートルを合わせたり、
オンオフ、どちらもお楽しみ頂ける万能アイテムになるでしょう!
Fさん、いつも色々とお楽しみ頂きありがとうございます。
バスト110、ウエスト96のFさんですが、今回も
スッキリシルエットにさせて頂きました。




このジャケット、何とも表現しがたい表情があります。


それには、
生地の織り方に理由があります。
それともう1つ、染色方法にも理由があるんです。


綾織り、、リネンには珍しい織り方です。
しっかり織り上げられた美しい生地なのに、リネン特有の
ゴワッとしたハリ感とは程遠い、滑らかな落ち着き(落ち感ドレープ感)があります。
一方、技術者泣かせの生地でもあります。何せ動くんです。グニュグニュと、、裁断し難いし縫い難い!
でも完成品は、、何とも『ニクい!』ジャケットに仕立て上がるんです!(笑

あと染め方も、リネンには少ない
糸を作る前のワタの段階で染める『ばら毛染め』という、
手の込んだ先染め方法を用い、紡績工程(糸を作る)で異色を混ぜ合わせ、
色に深みのある糸を作り、この糸を使って、さらに経糸と緯糸の色を変えて織り上げていますから、
通常は、平織りで後染めの多い、表情に乏しくなりがちなリネンのジャケット素材ですが、
この生地は、とても奥深い表情に織りあがっています。

この生地に一目惚れされたKさん、即決め状態でオーダー頂きました。
今からシーズンオフですが、生地を見付けた時がオーダーのタイミングだそうです!
確かに今年は、昨年に気に入っておられた生地でコートのオーダーを入れようとされたお客さまで、
既に今シーズンに入って売り切れていたという事が2件起きました。
皆さんも気に入った生地があれば、是非!
即決めをお勧めします(笑。



Pitti Imagine Uomo の会場を颯爽と歩かれる
Lanificio Ermenegildo Zegna(ゼニア生地部門)のCEO、フランコ氏。
このコート地、90年代に見たCantarelli(カンタレッリ)のコートに使われていた生地で、
とても印象に残っていて、どこの生地かも分からず、何の素材かも分からず、頼んで探してもらいました。


で、見付け出して下さったのが、コチラです!
そうそう、まさにこの生地、めちゃくちゃゴージャスなんです!
バブル期まで位は見かけたそうですが、その後ほとんど見なくなったそうです。
久々に見たせいか、生地屋さんも気合が入って、コートのサンプルまで準備して下さいました!


今はゼニア傘下、アニオナ社アルパカ素材です。
とても毛足が長くて、ゴージャス感たっぷりな表情をしています。
ダークな色より明るめの方が、メッシュ感があって、ゴージャスな雰囲気になります。


ゴールド!


シルバー


グレージュ!


派手じゃない?と思われる方は、
ゴージャス感を抑えた黒やネイビーにされても、
パット見は普通の黒やネイビーでも、醸し出す空気感、オーラが違いますよ(笑。



マイスターファクトリーの機屋見学でお世話になった
愛知県一宮市の『葛利毛織』の葛谷社長がお越し下さいました。


選んだ中から、旬な1着を、、
葛利毛織さんの生地は、欧州の超高級メゾンや
名だたるデザイナーのOEMを受けてきた実績があり、この生地も
そんな経験から培われた『デザイン力』をうかがい知れる雰囲気を醸し出しています。


葛利毛織さんは、生産効率の悪い低速織機を使って、
じっくりと手間を掛けて織ると云う、技術ばかりが取り上げられますが、
こうして、センスの良い生地もたくさん展開されていますので、ご来店の際には、是非ご覧下さい。
葛谷社長、楽しいお話、為になるお話、ありがとうございました!



ボローニャから届いたドラッパーズのシルクウール。
僕は、この生地でジャケットをオーダーしたのですが、この生地、
今までにもジャケットだけじゃなく、ベストやワンピースでもオーダーされる人気者。
何と今回は、、3ピースでのご注文です!!エロ過ぎませんか?ちょっとこれ、ヤバくないですか?(爆
ごめんなさい、ヤバイとかエロイとか良識を弁えた45歳のオッサンが使う言葉じゃないですね!

股下の数値は、靴のサイズやパンツの裾巾で変わってくるのですが、
生地が届くまでの間に、今回のスーツに実際に着用される靴を買ってきて下さいました。
裾巾は細くせず、生地のドレープ感が綺麗に出るようにします。でも膝巾との差を小さくする事で、スリム感を出します。

今回のUさんの流れ、、
生地に一目惚れして、それに似合う靴を見付けて、、
こうして自分の好きな物に囲まれて、、気付けば、どのアイテムを組み合わせても、
テイストの合う『自分自身のワードローブ』が構築されている。

男性の皆さんは、いつも似た物ばっかり選んでしまうとおっしゃいますが、
僕はそれで良いと思っています。男ってそんなもんです。
同じ紺色でも、新卒の就職活動の学生さんが着ているネイビーと、
お洒落な人が着こなすネイビーのスーツとでは醸し出される雰囲気というかオーラが
まったく違うものになります。スーツは紺に始まり紺に終わると言われるように、ありきたりだからこそ、
シンプルだからこそ、ごまかしの効かないものであり、差がつくアイテムではないかと思います。

Uさんのワードローブ、どれも個性的です。
僕の好みもそんなんですから、キワ者と思われるようですが、
以前、Kさんも書いて下さったように、基本、クラシックな物が好きですので、
そのあたり、ご理解のほど、よろしくお願いしまっす!(笑  支離滅裂な流れで、ごめんなさいっ汗。





今シーズン、目を引いた生地の1つがコレです。
僕の貧困なボキャブラリーでは、何と伝えてよいか分かりません!
到着して間もなく、今日Kさんが決めて下さいました。到着する前から話してたので、
Kさんも、興味津々で楽しみにして下さってたんです。クラシックなツイードにはない独特の色気があります。
ここ数年、英国ブームですが、チェルッティが考える英国は、こんな感じになるんですね!って云う
チェルッティ独特の感性が、サンプルの中にいっぱい詰まっているので見ていて楽しいです。




いつも海外旅行用のジャケットをオーダーされるTさんですが、
今回は、秋のバスク行き用にと、スペンスブライソンの440Gアイリッシュリネンをお選び頂きました。
このウエイトはリネンの中でも合い物に属するタイプですが、思ったほどじゃないと、、
それは思ったほど暑くないだけで、決して涼しい訳ではありません(笑。
着込んでいってもらうと、良い感じに馴染んでくるのも、
へヴィーウェイトならでは、楽しみです。

もう随分と前の事になりますが、僕は2008年2月、
ロンドンから北へ200キロほど北部の町ファースリー(リーズ近郊)に本社を構える
エドウィンウッドハウス(EdwinWoodhouse)を訪れる機会を頂きました。
Eウッドハウスは1857年にハダスフィールドで創業し、僕が訪問する前年に創業150周年を迎えています。
ロンドンからインターシティーで、駅まで営業企画部長のジョナサン氏が迎えにきて下さいました。


レセプションルームには記録的な写真や資料が置かれています。
レセプションルームと云うより、さながらアーカイブ(保存資料)ルームですね。


これから発表される生地サンプルです。


1910年代、バーバリーに供給された生地のアーカイヴです。


1897年のアーカイヴです。


他にもアーカイヴがシーズンごと(基本シーズン毎に年2冊)にまとめられています。


以前に訪問したホーランドシェリーと同様、
Eウッドハウスでも、自社でバンチサンプルを作成されていました。


サンプルにラベルを貼る地道な作業ですが、こうして、
バンチ(生地見本帳)も、多くの人の手で完成され、世界に向けて送り届けられます。


自社で織った生地をクオリティー別にストックし、
世界各国からの注文に応じてカットし、即日送り出されます。
ミル(生地を織る)とマーチャント(仕入れて切り売りする)に分かれますが、
Eウッドハウスは、両方の機能を有する稀な存在だと思います。少なくとも僕はほとんど知りません。


過去にドロップした生地も、こうして少しずつストックされています。


6プライはウッドハウスで織っていました
マッセアトゥーラにも、Eウッドハウスの耳が付いた6プライが少しだけあります。
スポルティーヴォ、、ドーメルで云うスポーテックスの意味合い。


機場に入って行きます!


今まで見せてもらってきた中でも、かなり大きな規模の工場だと思います。
低速織機ではありませんが、ほとんどがレピア織機でした。
バタバタで詳しく聞けませんでした(汗。


経糸(タテ糸)を変えて、、
マス見本(サンプル)を織っています。


エンドレスペーパー(紋紙)で生地の柄が表現されます。オルゴールを想像しませんか!
近代的なエアジェット織機だと、
柄出しなんかも、全てコンピューター化されています。


凄い量のエンドレスペーパー(紋紙)です。
こんな棚が幾つもありました。


原毛です。
以前は製糸部門も擁していたのか、、聞き逃しました。
何に使うのか、、この分量だけ無造作に置かれていたのですが、もしかしてオブジェ?(笑


緯糸(ヨコ糸)を打ち込む時、
持ち上がったタテ糸と、持ち上がらなかったタテ糸の間にヨコ糸が通って筬を打ちます。
*筬(オサ):経糸を整え緯糸を入れた後、目を詰めるために使う道具。
ヨコ糸→筬打ち、この繰り返しで柄が織り上がります。
*この内容は以前に書いていますので、そちらをご覧下さい⇒2010年3月25日


レセプションルームから見た工場の屋根を見ても、その規模が想像できると思います。


貴重な機会を戴いた皆さまに感謝いたします。
本当にありがとうございました。