スペンスブライソンのへヴィーウエイトな
アイリッシュリネンで仕立てたサファリジャケットです。
9月半ばにフランスに行く時に着て行きたいと440グラムを選ばれました。
このウエイトのアイリッシュリネンは春先と初秋に大活躍。着込んだ時の表情が最高です。


北アイルランドのスペンスブライソン社は、
英国王室御用達の最高品質リネンとして知られています。
アイリッシュリネンは、実はその紡績技術に定評があったのですが、
現在では、フラックスの生産や紡績はアイルランドで行われておらず、織りだけ。
アイルランドの紡績工場の保存に向け、ナショナル・トラストの動きもあるほどで心境は複雑。
地球温暖化の皺寄せが、フラックス栽培の緯度の限界線を南下させる事に、、

ちなみに、
リネンの原料はフラックスと呼ばれる一年草の植物で、
この原料が紡績によって糸になるとリネンと呼ばれるようになります。
リネンは吸水速乾性に優れた高機能な天然素材で、スペンスブライソンはその中でも最高峰です。

麻は大好きな素材で、よければこちらも読んでみて下さい。
麻シャツを着倒す!
麻ジャケを着倒す!
スペンスブライソン
アイリッシュリネン

これはちょっと違いますが、
シルエットの綺麗なアイリッシュリネンと云うことで(笑。




いい感じです。
何も言いません。
言うほど野暮になる。


サマーツイード。
シルク×リネン×ウール素材。
着込めば着込むほど、味わい深くなります。
こちらのリンクに入ってもらうと、更にその先のリンクに、
サマーツイードについて、コメントしていますので、そちらも是非!!




この御仁をご存知のあなたは、、
きっとアメリカンドリームを手に入れる方です!笑

下の画像はアンドリューカーネギーが好んで着たチェック、通称『カーネギーチェック』!
この生地、たった2反しか織られないらしくジャケット2着分だけ買いました。
そんな歴史的な柄をハリソンズが16オンス紡毛フラノで再現した、
売切れ確実のスペシャル~な460gの生地です。

カーネギー以外の歴史的著名人が愛した生地も再現されました!
他にもウィンザー公(エドワード8世)専用の柄「プリンスofウェールズ」チェックや、
ウェルドレッサーとして名を馳せた英国の元首相Sirウィンストンチャーチルが好んだチョークストライプ等。
ハリソンズが、これらコレクションを象徴する為に名付けた「アーカイブフランネル」コレクション。
ご興味のある方には、手にとってご覧頂ければと思います。
プリンスofウェールズ柄も2着あります!

アンドリューカーネギーは、
スコットランドのダンファームリンで、
ダマスク織の手織り職人の長男として生まれました。
言わずと知れた世界の鉄鋼王と呼ばれたアメリカの実業家です。
他にも著作家やジャーナリストとしても活躍、引退後は篤志家として活躍。
しかし幼少期は、父が経営する手織り工場で働く職人達と共同生活をしていたそうです。
当時のイギリスの織物産業は、手機から蒸気機関(力織機)を使用した工場に移りつつある移行期で、
手織り仕事がなくなって、両親と共にアメリカへの移住し、13歳のカーネギーも綿織物工場で仕事に就いたそうです。
そこから、アメリカでのカーネギー少年のアメリカンドリームが始まるのですが、
繊維に関わりが深かった生い立ちに、僭越にも親近感を覚えます。

こんな生地で仕立てた洋服を着て、
アメリカンドリームを手に入れましょう笑!!



今はもう織られていない、
英国のリアブラウン&ダンスフォード(LBD)の
ロブテックス(ROBTEX)と云う銘柄のバーズアイ(19oz600g弱)
こういう生地、最近なかなか手に入りません。このROBTEXも既に廃盤になっています。


存在感のある生地が、芯の存在を忘れさせてくれるほど、
柔らかく、軽く仕立てさせて頂きます。


背中側も、いい表情です。
まさに「男は黙って背中で語る!」ですね(笑。
Nさん、夏真っ盛りですが、今から完成が愉しみなスーツですね。
でも本当の完成は、、Nさんが着込んで馴染ませて下さった5年後10年後だと思います。
普通に見えるこんな生地ほど、着て頂く方の積み重ねが差となって現れます。




とてもいい色、してますね。


着込むにつれ、いい感じに毛羽立ってきます。
夏物ですが毛羽立ちます!さすがツイードと呼ぶに相応しい(笑!


2度目の仮縫、、これで大丈夫でしょう。
Nさん有難うございます!




長らくお待たせ致しました!
以前ご紹介していたワンピースが完成しました!!
僕の撮り方が下手で、全然透けてないしチェックも見えない~(涙。
でも、もっのすっご~く可愛いです! これは皆さんに実物を見てもらいたいです!


この帽子(Sugri)にとっても似合っています!
ってか、この帽子からイメージしてオーダー頂いたんですから!
肩の辺り、ちょっとだけチェックが見えてるの、分かりますか?こんなチェックです!

同じ生地の柄違いで、ジャケットもオーダー頂いております



一見、普通の濃紺色のジャケットですが!
シャツも一見、普通のチェックに見えるのですが!!
実は!どちらも透け感のある生地なので、近寄ると「オッ!!!」

動くと、紫色が浮かび上がってきます。(写真で上手く撮れませんでした汗)

仕立て方も、
芯を抜いて、肩周りにだけ毛芯を入れ、
生地の自由な動きを止めず、生地の表情の豊かさを追求しました。

この生地は、2枚の生地を接結糸で重ねて1枚にしてある『ダブルフェイス』という生地です。
冬物の完全1枚仕立てのコートやジャケットに使われる事が多く、
このように、夏物として見たのは初めてです。

表にウールガーゼを使用し、裏の色柄を表に響かせるという高度なテクニックで、
立体感のある洋服(ジャケット)を生み出します。

普通に奇をてらうことなくサッと手にとって頂けるジャケットでありながら、
ひねりの聞いた雰囲気をもつこのジャケットを、Tさんとても気に入って下さいました。
とても軽く、ソフトな着心地にもご満足頂けた様です。おまけに写真の撮り方も色々と教えて頂き、
いつもなら、このアングルだと肩の辺りが「白飛び」して真っ白ですが、今日は綺麗に写っているでしょ!(嬉
Tさん、いつも色々と楽しい時間をありがとうございます!!

色と柄違いで、ワンピースのオーダーも頂きましたので、こちらも是非!



先日のミラノ仕立てのオーダー会で、
初めてフルオーダーをオーダー頂いたNさんと、、

今回のジャケットは、手間をかけるミラノの手縫いですので、
その仕立と生地の相性を考え、これまでのNさんとの付き合いも踏まえて、
Nさんにとって、『手縫する価値のある』生地を、何点かピックアップさせて頂きました。

生地は大別して、イタリア系と英国系(日本製はこちらに属す)があります。
前者は柔らかくて身にまとわりつくような生地という印象で、
後者はシッカリした張りのある生地が多いです。

生地と同じく、仕立も、
イタリアと英国では全く違っていて、
前者は柔らかく軽やかな仕立て上がりとなり、
後者はドッシリと、重厚な仕立て上がりになります。
これは、着用感だけではなく、見た目の印象もそうなります。
国民性からしても、イタリア人と英国人とでは、全く印象が違いますもんね!


イタリア生地をイタリア仕立てした、
とても柔らかい洋服を好む方もいらっしゃいますし、
英国生地を英国仕立てした、貫禄ある洋服を好む方もいらっしゃいます。

僕の個人的な好みは、このどちらでもなく、
英国のシッカリした生地を、柔らかなイタリア仕立てしたものが好きです。

世界を飛び回る「体育会系FP」のNさんへのお勧めも、
ハードな使い方をされる事が多いですから、僕の好みを押し付けました(笑。

英国の生地はシッカリ織られているので丈夫だし、
皺も入り難く、入っても回復しやすいですから、Nさんにピッタリです。
しっかりした生地を手縫で柔らかく仕立てますので、着用感が硬過ぎる事もありません。

手縫だからとか、フルオーダーだからといって、
大切に大切に、あまり着ずにクローゼットに仕舞いこまれる方がいらっしゃいますが、
洋服は『着て頂いて何ぼ!』の世界で、着込まないと良さも分かりません。

イタリアのサルト(仕立職人)の腕の見せドコロは、
こんな硬い生地を、いかに柔らかく縫い上げるか!にあると僕は思っていますし、
スーツがたまのお洒落着!ではなく、普段の仕事着がスーツ!という方に、この組み合わせが多いのは
丈夫で長持ち、でも肩の凝らない着心地を求めて、ここに『行き着く』のではないでしょうか。


また経年変化を楽しめる生地も、このタイプです。
柔らかい生地は、着た瞬間に馴染みますが、その後の劣化は早いです。
しっかりした生地は、着た瞬間は硬くて着用感に劣るものの、
手縫だと、その後どんどん馴染んで愛着が増します。

経年劣化か、経年変化か。

どちらも一長一短ありますが、今回は
せっかく手をかけて、アイロンワーク(体に沿わせるようアイロンで生地を曲げる)
を駆使して縫い上げる洋服ですから、経年劣化する柔な生地を選ぶより、
長く愛着が湧く洋服であって欲しいと願っての選択です。

次回は、『瞬間最大風速』的な組み合わせ!
を基準にした、仕立てと生地と相性について話します。



雰囲気としては240g程度の厚さですが、
このコットンは、とても目が詰まってて400gもあります。
針が通りにくく、仮縫の組み立て段階で、針が3本も折れてしまいました(汗。

以前この生地で1着仕上げるのに、針が21本も折れた恐るべしコットン
手で縫うには、力も根気も要るし時間もかかりますが、
着て頂くほど表情が豊かになる、そんな味わい深いコットンです。
色違いでオーダーされるファンの方も数名、、
でも今からだと完成は、、秋の着始めでお願いしています。




Tさんのスーツ、キースヘンダーソンの60年代のデッドストック生地です。
男くさい独特の色気のあるツイードっぽい生地ですが、色使いはここ数年の流行色グレージュです。


キースヘンダーソンは、
まだ日本が鎖国時代だった江戸時代後期1836年に創業された、いわゆるロンドンマーチャントの1つです。
同じ年に、ホーランドシェリーがロンドンで創業しており、
今では、キースヘンダーソンは、そのホーランドシェリーの傘下になっています。
ちなみに、ホーランドシェリー社は、
鎖国中の日本と唯一交易があった国、オランダ出身のホーランド家が
家業として始めた「マーチャント(生地商)」で、日本には1913年に輸入が開始されました。
日本では、商標の都合で、InnesChambersや JohnCooper と同じコレクション内容となります。
以前、スコットランドのピーブルスにあるホーランドシェリー社の本社を訪れた時のことや、
英国ハダスフィールドのミル(機屋)を見学させて頂いた時の事も書いておりますので、こちらもご覧ください。 
2007年:ホーランドシェリー本社訪問
2002年:ドブクロス織機の見学