靴ズレ(かかとの補強布)に使う生地は、

ご希望で、生地の耳(ミミ)を使う事が多いのですが、

先日お渡ししたKさんから、こんな状態になったとご連絡を頂きました。

ありゃりゃ、こりゃ駄目ですね、ごめんなさい、、

靴ズレが引き攣れたせいで、表まで響いてしまってました。





ただ、ふと思い出したのですが、

以前のお店でオーダーされていたスーツを見せて頂いた時も、

確かこんな風にモロけて、引き攣れてました。



僕の予想では、これは多分、靴に何か問題があるなと、、

こういう場合、靴のかかとの部分に何か突起物がある事が多いからです。

例えば、糸を切った後の糸留め(熱処理)のダマが大きいとか、

フルブローグなんかのギザの目が立っていたり。



直しても、同じ事を繰り返してはご迷惑をかけてしまうので、

お直しをさせて頂きながらも、Kさんにも家に帰ってご確認頂く事に!

やはり、僕の予想は的中していました。



皆さん、靴を購入される際には、

パンツの裾が当たる部分を指でそっと撫でてみて

ザラつきがないか、ご確認下さいね。



まぁ、同じ耳でも、なり易い物とそうでないものがありますが、、



ちなみに、この靴ヅレとは、

パンツの裾(かかと部分)の裏側に当てる布で、

直接、靴と生地が当たって擦れて、生地を傷めないようにするためです。

たまに、裾から覗いてんで~と言われますが、大丈夫です。

1~2mmほど裾から出しておく事で、本体を傷めないようにしているのです。

逆に、出ていない場合の方が問題です。






今まで汗抜きクリーニングとか、ウエットクリーニングと言われる類は色々と試しましたが、
『ナチュラルクリーン』(以下NC)の仕上がりは、全くの別物でした。
出会いはNHKの、確か、、ハイビジョンスペシャル番組(2001年頃)だったと思います。

実際に自分でお願いしてみたら、これがビックリ。
特にパンツは、素肌に触れる部分が多いので、履いた瞬間、「ん?」って感じでした。
全くベタ付きがなく、サラサラとした感触で、何より着心地が軽いんです。
初めてお願いしたスーツは、3プライのフレスコ素材でしたが、
張りやコシを保ったまま、なんともしなやかな仕上がりだったのです。

その秘密を探るべく、工房に潜入させて頂きました。

ちなみに、NCがウォータークリーニングを始められたのが10年前、、
それまでのNCは、ごく一般的なドライクリーニング店で、
千葉県内に30店舗を越す店舗を展開し、名実共に千葉県ナンバーワン店だったとか
ところが、ある繁忙期に従業員の方が倒れられ、
その原因がドライ溶剤による中毒症状の表れだったと知り、
それまでドライに対して何の疑問もなかった現会長の山田氏の挑戦が、
そこから始まったそうです。

それから10年、今なお進化し続けるNCの技術。
どれだけ特殊な事をされているのかと興味深々だったのですが、、
そこは家庭の洗濯の匂いのする工房、、呆気なく裏切られてしまったのです。

長い前置きはこのくらいにして、
1着のスーツが、どのようにして〝ケア〟されるのかを見てみましょう!

特別に配合されたオリジナルの洗剤を塗り込み、
超音波装置を使って、生地を痛める事なく、汚れを浮かせます。
パンツも、汚れ易い部分を入念に、
超音波で汚れを浮かせます。
このように部分的な処理を済ませてから、今度は全体の水洗いに入ります。
まずは、洋服が動かないようにマットで固定されます。
それから専用ネットで巻いて、包まれます。
上着だと3着、それを丸々洗濯機に放り込まれます。
洗濯機は普通のものだそうですが、独自のプログラムによって制御しているそうです。
使われる水は、NC独自の特殊な水だそうで、
これが、その水の精水装置です。
幾つかの過程を経て出来た水は、飲み水としても問題ないとか。
実際に触らせて頂くと、ヌルッとしているというか、柔らかい感じがします。
その水は、工房内に設置されたタンクに貯められてゆきます。
NCでは、全てこの水が使われています。
水洗いが終わると、
いよいよ立体プレスの工程に入ります。
使われるプレス機は、
主にアパレルで使われているドイツの『ファイト社』のもの物です。
洋服がふっくらと乾いていますね!
一旦乾いてしまうと、元に戻すのがとても困難なので、
濡れている間に、いかに立体的に仕上げて乾燥するかがとても大切だそうです。
パンツは、パンツ専用の立体プレス機にかけられます。
この次の工程、細部の仕上げでは、
せっかくの立体プレスのふわっとした風合いを損なう事のないように、
アタリを避けながら、細心の注意で行われます。
感性が求められる、この工程を取り仕切るのは、工房の責任者でもある及川氏。
この段階で仕上げの悪いものは、
工程をさかのぼり、やり直される事もあるとか。
ここまでくると、最終の乾燥工程、立体乾燥機にて完全に乾かされます。
そして最後に、仕上がりの確認工程。
そのチェックレベルは、それこそ縫製工場レベルです。
そうそう、云い忘れていましたが、NCでは、
作業に入る前に、全ての洋服が検品され、寸法まで測られます。
それぞれに、その内容が記されたカルテが作成され、
最終の検査の段階で、そのカルテと照らしあわされるのです。

ここまで念入りなチェック体制が整っていても、そこは人間のすること、
手元に届いた洋服が、万が一の際には、
窓口の松山さんが、キチンと対応して下さいます。
このクレームが、NCの技術を更に成長させる、、
そんな思いで、真摯な姿勢でクレームは受け止められています。
ナチュラルクリーンの皆さま!
お仕事の手を止めながら、色々とご説明頂きありがとうございました。


次回は、注目のレザー洗いです。

今日は、千葉にあるナチュラルクリーンを訪問してきました。
東京駅から高速バスで1時間弱、君津のバスターミナルに着きます。

当初、滞在時間を1時間半程度しか予定してなかったのですが、
帰りの新幹線を90分も遅らせました。
それだけ会長や社長だけでなく、現場の皆様からも、
クリーニングに対する思いばかりではなく、
洋服に対する思いや、環境に対する思いがビシバシと伝わってきて、
あっという間に、充実した楽しい3時間が経過したんです。

実はクリーニング恐怖症の僕自身、
自分の洋服のケアに、ホトホト困っていました。
今までの数々の失敗から、クリーニング恐怖症になってたんです。
僕の周りにいる洋服好きの人達も、クリーニングには出さない人が大勢います。

可能な限り、自分で水洗いをしてしまいます。
子供が実験とか何とか言って、おもちゃを分解して壊すかの如く(笑)、
僕も様々な衣類を自分で水洗いをしては、失敗してきました。

その中で、素材の持つ特性のような事を、
知らず知らずのうちに身に付いてきたように思います。

ドライクリーニングとと水洗いを比べてみると、
それぞれに長所と短所があり、良し悪しではなく、好みだと思います。
ただ、僕の個人的な考えは、、
クリーニング本来の目的を考えると、ドライクリーニングに大きなメリットを感じないんです。
今日はそんな消費者目線で、見た事や感じた事を帰りの新幹線で綴りました。
実際の画像は、後日紹介させて頂きます。

ナチュラルクリーンでは、洗濯の度に水を入れ替え、
その水を捨てるのではなく、リサイクルして使い続けておられます。

そのリサイクルされた水は、どんどん熟成され、進化し続ける事で、
洗濯物にも人(着る人、現場で働く人)にも環境にも優しい良い水に変わってゆくそうです。

そんな何にでも優しい、しっとりスベスベの水を使って洗うから、
生地がバシバシにならず、風合いが生まれるそうです。

使っている水のクオリティーこそ違えど、使っている機械はごく普通です。
それどころか、家庭用の二槽式も使っておられるくらいでした。
やはり、水が他店と一線を画す理由なんでしょうね。

次に特筆すべき点は、やはり予想通り〝アパレル用〟の立体プレス機でした。
生地にアイロンを当てることなく乾かし、皺を伸ばす事ができます。
もちろん細部はハンドプレスですが、
地の目を読み、服の表情を読みながらの作業です。

それはクリーニング屋のレベルではなく、もはや縫製工場のレベル。
工場内に入った瞬間、縫製工場と間違えた程の設備です。
それに、化学薬品臭がするどころか、家庭の洗濯場の匂いがしたくらいです。

僕も衣類に携わる人間として、モノを大切にする心と文化を育み、
その一助としてナチュラルクリーンに益々頑張って頂きたい、、そんな思いです。

以前にドライクリーニングの工場を見せてもらった事がありますが、
ナチュラルクリーンを見ると、全くの別物だと分かります。

洗ってなんぼのクリーニング的発想から、
ケア的発想への発想転換。
そう、「何の為にクリーニングをするのですか?」です。

これは僕たち、洋服を着る側のユーザーだけではなく、
クリーニング業界の方もシッカリ考えなければならない時期にきていると思います。

そしてマッセアトゥーラも、、
何の為にスーツを着るのですか?という基本的な考えは見失いません。

会長・社長を始め、ナチュラルクリーンの皆さま、
今日は貴重なお時間を割いて頂き、本当にありがとうございました。
技術は日々進化している、、会長・社長のお言葉に、今後も期待しております!!

実際の工房潜入記は、2007年10月31日に書きました。
工房潜入まで、ナチュラルクリーン体験以来、既に3年以上が経っています。(汗)


皆さんがクリーニングに出される時は、

大きく分けて、『臭い、皺、汗』が大半の理由だと思います。



しかし、ドライクリーニングでは、

脂性の汚れは落ちても、水溶性の汚れはほとんど落ちません。

そう、、汗は水溶性ですから大部分が残るという実験結果が出ているのです。



臭い、これは霧吹きをして陰干ししておけば

大部分は消えてしまいます。

(毎晩、油が飛びまくっている焼肉を食べに行かれる方は別ですよ!笑)



皺、これはご自身でアイロンされれば済む話です。

邪魔臭い方、、たまには精神統一の時間だと思って!(笑)







ただ、汗だくになってアイロンを繰り返すと、変色してしまいます。

ドライクリーニングでも、徐々に変色するので同じです。



ここで、この変色の理由をお伝えすると、、

汗の成分は99%が水なので、

不感蒸泄程度の発汗であれば純水に近いのですが、

汗だくになるような暑い日には、塩分濃度がグッと濃くなります。

更に脇の下などの汗腺からは、脂肪酸などの脂質が含まれています。

これが、繊維の奥深くまで染み込み、時間が経つうちに空気中の酸素によって

酸化され、黄ばみや黒ずみになるのです。



やはり、これらの汗や、それを放置して出来た黄ばみや黒ずみは、

水洗いでしか落ちませが、まだまだ認知されてません、、



もう直ぐ夏の終わり、、

皆さまのスーツケアの一助になれば、、






今日は、久々のクイズです!





塊だと判りにくいので、分けました。





あれ?

なんだか、上の塊と似てますよね?





これは、20年近く前のものから取り出しました。





正解の方には、、

今回は何もありません。

でも、、最高のボケをかまして下さった方には、、

記念品(内緒)を差し上げます!!



最後に、、Yさん、勝手にネタとして使わせて頂きました。(笑)






巷で大人気の?アリエテのアイロンです。

メーカーの生産が終了したそうで、これが最後の入荷です。

国産にはない、いや、これが世界で唯一のボイラー内蔵式のスチームアイロンで、

強力なスチームが出続けます。

外車ですので、それなりの気遣いが必要ですが、

極めて極楽快適な、精神統一の時間をもたらしてくれます。












この1週間だけで、アイロンの掛け方について、

4人の方からご質問を頂きました。



皆さんに共通して感じたのは、

スチームを上手に使えてない!って事です。

下手に使うくらいなら、使わない方が良いくらいです。



パリッと仕上がらない主な理由は、スチームが完全に抜けきってない。

髪の毛をセットする時も、湿った状態で終わると、

へニャーってしたまま、それと同じ。



アイロン台も、これからご購入される方は、

使いやすいものを選んで下さい。



ちなみに、僕個人的には、これが気に入っています。

斉藤アイロン台工業の立体アイロン台

上質のシャツは、ネットに入れて洗濯機で水洗いして、

パリッとアイロン仕上げをして〝素肌〟に着て楽しんで頂きたいです。

下着(シャツ)の下に下着(アンダー)を着ないで、素肌に、、





ちなみにこのアイロン台、

使い始めて20年近いですが、現役です。






今日は、御二方にご協力頂き、

雨の日に使われている、JMウエストンのゴルフをネタに。



こちらのゴルフは、買われて数回目。





こちらは、3年程だそうです。





靴屋さんでない僕が、差し出がましいかなと思いながらも、

スーツをトータルで着て頂きたいとの思いから、、

・・・そんな僕が、最も手入れを怠っているという噂もありますが!(苦笑)



靴は最初のお手入れが肝心です!!

どんなに不精な方でも、最初にしっかりコーティング(お手入れ)しておきさえすれば、

その後は定期的にササッと磨くだけで、ある程度まで状態を保てます。



車の塗装も、悪くなってから幾らワックスをかけても〝時すでに遅し〟です。

いくらマシにはなっても、元には戻りませんから、、



「光沢のない方が好きなんだよ~」と、お好みもありますから、

一概には言えませんけど、長く履く事を考えると、絶対にお勧めですよ。






今日、最後にご来店下さったOさんとシャツの洗い方が話題に、、

そこで、僕の洗い方を、、ただし、これに関しては、

僕は洗濯のプロではないので、

あくまで洗濯フェチ?の僕個人の意見として聞き流して下さいますようお願いします。







1)シャツを脱いだら袖口と首元をお湯に浸す(僕は風呂場でやります笑)

2)ある程度浸してから、固形石鹸を塗りこむ(坊ちゃん石鹸

3)自分が湯船に浸かっている間、そのまま放置しておく

4)適度に浸した後、指の腹で擦ってみる(優しく♪)

5)頑固な汚れは、柔らかめの歯ブラシを使う(KENT豚毛歯ブラシ

6)以上が終了後、シャツを裏返して、洗濯ネットに入れる

7)洗濯後、皺をよく伸ばしてから乾かす。

乾いた後のアイロン編は後日、、



ちなみに洗濯機で使う洗剤は『部屋干しトップ』です。

理由は、中性である事、漂白剤&蛍光材が無配合である事、です。

その理由を話し出すと長くなるので、別の機会に。



ちなみに、首元や袖口に糊を付けるのは、

洗濯の際に、汚れを落とし易くするためだそうです。

やはりシャツは下着!下着の下にアンダーを着るのはやめて、

上質素材を糊付けなしで、素肌で楽しみたいですよね♪






サーフィンで胸囲や腕が太くなって袖丈が短くなったというYさん。
タイトに作っていたので、寸法が横に取られて袖が短くなってしまいました。


本開本切羽にしていたので、
肩を解いて長くしようかと思ったのですが、
出来れば仕上がりを考えると肩は解きたくありませんから、
今回は袖口だけで処理をしてみました。


Yさんのジャケットは袖口のボタンは4個ですが、
袖口から3個目までは本切羽にしていますが、4個目は〝開き見せ〟にして、
実際にメス(切り込み)は入ってません。


それを利用して、4個目の穴カガリを解いて袖丈を出し、
袖口に近い部分に新たに1個、穴カガリを施し、穴を開けました。
これで4個とも穴は開いてしまいましたが、肩を解かずに袖を出す事が出来ました。


袖口の汚れは染み抜きをして、
毛羽立ちも綺麗に処理をしたので跡形もなく綺麗です。
もちろん4個目の穴カガリも、糸目を残さず綺麗に消し処理をしてあります。