奈良のHさんからお預かりしたフルオーダーのジャケットは、

肩が合ってなくて、着ていて疲れるので、何とかしてもらえないかとのご依頼でした。


袖を外し、肩パッドを極薄タイプに交換し、

その分だけ肩先が下がってしまうので、肩傾斜も下げました。

もともと若干怒り肩気味のHさんにとっては、良い感じのショルダーラインです。

肩巾も、マッセアトゥーラで作らせて頂いてるジャケットと同じサイズになるように削り(4cm)、

アームホールとの寸法を合わせる為に袖山で調整させて頂きました。






着用感が、かなり軽くなったとHさんには喜んで頂けたのですが、

その理由は、肩パッドを薄くしたばかりか、肩線の削り方と袖付けに秘密があります(笑。





これが、取り出した〝具〟です(笑。





今回のご依頼で思いついたのですが、

Hさんのように、着用感の悪いジャケットがありましたら、

マッセアトゥーラ流に限りますが、『軽さ改造計画』を実施させて頂きますので、

どうぞお気軽にお問い合わせ下さい、お待ちしておりまーす!!

軽さ改造計画を『着心地チューンナップ』と名付け、
こんな機会を頂けたことに感謝です!

ありがとうございました!






1年ぶりに、君津市のナチュラルクリーンさんにお邪魔してきました。
ナチュラルテイストに溢れたエントランスです。
※10月20日に伺ってきました!
日本全国から届く洋服(靴や鞄といった革製品も)は、
入荷次第データ管理するために、入荷日やお名前など、その全てが登録されます。
また、水洗い後の縮みをなくす(戻す)ために、寸法も測られます。
水洗いに入る前に、ポケットなど型崩れが著しい部分には躾けがかけられます。
1年前、この工程はありませんでしたが、
あるお客様のクレームが、この工程を入れるキッカケに。
「ナチュラルクリーンの成長は、お客様の声を大切にする事です!」
確かに、、1年前に伺った時より、工程が細分化され(追加され)ていましたね。
僕が着ていったジャケットを実際に洗わせて頂く事に!(笑)
ポケットに躾をかける事で、以前のように、洗濯袋に入れることなく、直接放り込み、
中田代表曰く、「この方が綺麗になるやん!♪」と。
今までだと、キューティクルが痛んで縮みが起きやすかったからだそうですが、
より水が進化したことでネットに入れなくても、
ポケットなどに躾をかける程度で、そのまま洗えるようになったとか。
冗談っぽく、「この方が綺麗になるやん!」って言われたので、
てっきり僕の私物だから、、みたいなノリかと(汗。。
ちゃんとした根拠があっての事で、
焦って損しました(笑。
洗いも、グルグル回すのではなく、
特別なプログラムによって、3段階で汚れを落とします。
お風呂上りの石鹸の匂いがします(笑♪
先ずは裏返した状態で、立体プレス機にかけて皺を伸ばします。
以前、コメント欄でやり取りしたように、如何に濡れた状態の時に復元するか、
それが水洗いの際、とても大切な意味をなすそうです。
確かに、自宅でシャツのアイロンを掛ける時にも同じ事が言える事を実感しています。

ロッキーのテーマソングを流し、ノリノリで現場に入られる中田代表!
部分的に、ハンドでプレス機の効果を補ってゆきます。
生地別の加工剤を吹きます。
これはドライクリーニングでも使いますが、
従来型の工程は、ウールでもモヘアでもカシミアでも麻でも、、
同じ溶材を使うのですが、それが仕上がり時の風合の違いの原因となります。
それは水洗いだと、なおさら顕著に現れますので、この見極めはとても大切になります。

言い添えますが、僕は何度も生地を織る現場を見に行っていますが、
どの生地も織り上がってからの整理工程が大切となり、いわば女性で言う化粧にあたります。

生地(女性)にとっての整理(化粧)は、とても大切で、
整理次第で、生地の表情(仕上がり)は、如何様にも変わります。
この辺りの違いを実感して頂くには、現物を見ながらすると面白いですよ
話がそれるので、それはご来店の方々への特典と云う事で!(笑←やらしっ!爆)
画像がコロコロ変わって、ごめんなさい。
またまた僕のジャケットですが、加工剤を入れ、及川さんに作業を代わって頂きました。
自分でやってみたのですが、簡単そうで、思ったように出来ません。
全く関係ありませんが、及川さんのポロシャツ、
僕の大好きなバーバリアンでした。
フレンチブルーが綺麗!
前夜に急に決まって同行のKちゃん、これまた自前のマッキントッシュで奮闘中です。
ある程度までシルエットが復元し、皺がとれれば、静止乾燥工程に入ります。
この工程も従来型では、一般的にタンブラー乾燥といって、
衣類を回転させながら乾燥するので、洋服の伸縮や風合いの変化を起こす可能性があります。
これまでの工程でも、かなり完成形に近づいているのですが、
ここからさらに、アパレル工場並みのプレス設備によって形成してゆきます。

この工程も、従来型のクリーニングでは一般的にシワを伸ばすだけにとどまるので、
平面的にぺッチャンコに仕上がり、せっかくのシルエットが崩れます。
もとから平面的で薄っぺらい洋服ならそれでもいいですが、
立体的に仕立てられた洋服となると、トホホです。
大切な部分はハンドで仕上げてゆきます。
この工程の有無で、かなり着心地を左右しますから。。
最終工程が完了して、検査工程があるのですが、
素人目に見て分からないような、わずかなシミやプレス不良が容赦なく返ってきます。
こんな程度でプレス不良って言ってたら、普通のクリーニングだとどうなるの?
そんなレベルで返ってくるから、たまに現場同士でひと悶着(笑。
画像は特殊染み抜きの工程を受け持つ山田会長です。
見ても気付かない、言われても分からないような、
そんなレベルでも、チェックに引っかかって容赦なく戻されてきます。
Kちゃんの、もう1着のマッキントッシュも、
彼の中では納得でしたが、最初の段階まで押し戻されました。
超音波で強力にコビリ付いた汚れを浮かばせるのですが、流石のKちゃんも泣きが、、
いや、超音波で洗剤が飛び散ってきての男泣き?かもしれません(笑。

暑い環境の中、大変な作業が続くのですが、
今回初めて自分でやらせてもらい、最初は楽しかった作業も、
最後の方は技術者の方に素直に、「お願いします!」って言いたくなりました。
今回は丸一日、お世話になりました。
色々と書きたい事が、山ほど沢山あるのですが、
特に印象的だったのは、「工房の中を見て貰えて嬉しい。」
「それは、ウチから出てゆく洋服を見るのではなく、どうしてそんな服になって出てゆくのか、、」
「その回答こそ、現場にある訳だから、現場を見てもらいたいのです。。」
今回も、貴重なお時間を惜しみなく頂き、ありがとうございます。
スーツを販売する立場として、この経験を生かして、
少しでも長く洋服を着続けてもらうことで、
少しでも環境保護に役立てれば。。


昨日お伝えした、、コラムの移行について
その中でも今日は、2001年11月8日に書いた〝お手入れについて〟です。

当時、僕は、『ナチュラルクリーン』の存在を知りませんでしたので、
それまで何度も失敗を繰り返しながら、せっせと自分で水洗いをしていました。

今ではナチュラルクリーンさんに依頼していますが、
そんな時代があったからこそ、失敗を繰り返してきたからこそ、
水洗いとドライクリーニングの長所と短所は理解した上でお願いできています。

このコラムは7年近く前に書きましたが、
改めて読んでみて、大筋は間違ってなくて安心しました。


7月25日放映の読売テレビ、

木梨憲武さんの番組『未来創造堂』に、

ナチュラルクリーンの山田会長が登場されます。

ナチュラルクリーンは、

これは8年前に作らせて頂いたコットンスーツです。

今日はゴルフだったようで、最初パンツだけでご来店下さいました。

パンツは凄く良い感じで〝アタリ〟が出ていましたので、Oさんにお願いして、

車までジャケットを取りに行ってもらったのですが、ジャケットの方はアタリが出ていません。





不思議に思いながらジャケットを着ていただくと、、、

パンツが退色しているせいで、上下の色が違っている事が分かりました。





クリーニングに出す回数が上下で違うと、微妙な色の違いが生じることがあります。

ジャケットを脱ぐ機会の多い夏場は、紫外線による退色も原因となります。

上下を〝同じ頻度で〟一緒にクリーニングに出して頂くことで、

退色や痛み具合などのギャップを防ぐ事が出来ます。

こうなった場合でも、着色という方法で、ある程度までは直せますが、

先ずはこうならないよう、ご注意下さいね。






シャツは、クリーニングに出す方が長持ちすると思ってらっしゃる方も多いですが、

今日は僕が実際に試してみた結果をお伝えします。



もう15年ほど前の事ですが、2枚の同じシャツを、ほぼ同じ頻度で、

クリーニング(糊なし)と自宅で洗濯機洗い&アイロンで試してみた事があります。



ちなみに、シャツのクリーニングは

通常、ドライクリーニングではなく、水洗いされます。

そして水洗いのあと、自然乾燥ではなく、大きなドラム式乾燥機で乾燥され、

ボディープレス機でバシッとぺッタンコにプレスされてから、

袖のプレスラインを入れたり、部分的な手直しをされて仕上がります。

ハンド仕上げの場合は、プレス機ではなく、まさに手でアイロン掛けされます。



さて、僕自身が実際に両者を試してみた結果ですが、

1年もしないうちに両者の差は歴然とし、縮みも倍程度の開きがありました。

これはあくまで僕の経験ですので、生地にもよりますし、洗い方にもよるでしょうから、

全てが全て、同じ結果になるとは限りませんが、

それ以来僕はクリーニングに出さずに、自分で洗っています。

それは、縮みや生地の傷みの問題だけではなくて、

自分でアイロンを掛けた方が、シックリ好みに仕上がるという理由もあります。



例えば、取次店ではなく個人店で洗ってもらって自然乾燥してもらい、

アイロンも自分の好みでお願いできるお店があれば、それが最高だと思いますが、

そこまでお願いすると、恐らくシャツのクリーニング代だけで月5万を越えそうな気がします。



洗い方は、また次のダイアリーで!






皆さん、シャツは家で洗濯機?それともクリーニングに出されますか?
僕はシャツを裏返しにした状態で洗濯ネットに入れて、
この日立の自動2槽洗濯機で洗っています。
裁断前のシャツ地を洗ったり、一般家庭より洗濯機の使用頻度が高い我が家では、
時間のかかるドラム式を使っていると、時間が追いつきません。

ドラム式は、節水と洗浄力を謳い文句にしていますが、
使用水量は少ないものの、洗濯時間については同じ全自動でも、
従来の渦巻式にべて、最新のドラム式は2~3倍の時間がかかるそうです。

また、ドラム式には乾燥機能がついていますが、
乾燥時間まで加えると、5倍程度の時間がかかるそうです。
渦巻式なら40分程度で洗濯が終わるので、干す手間はかかりますが、
梅雨の時期を除けば、これほどまで時間をかけなくても乾いてしまうハズです。

あまり強調されない必要電力についてですが、
渦巻き式に対してドラム式は、2~20倍も電気を消費するそうです。
そしてドラム式の乾燥機能を使うと、さらに電力を消費するというデーターがあります。

そしてエコが強調される肝心の使用水量はというと、、
ドラム式の平均が102リットルに対して、従来型は141リットルですから、
確かに約28%の節水になっていますが、それに乾燥機能を使うと、乾燥時にも水を使うので、
それを加えると、渦巻き式以上に水を使うことになるようです。

ドラム式の最大のメリットは〝放り込むだけでオッケーよ〟な利便性です。
ただ、強制乾燥は縮みの原因になりますし、ランニングコストもそれなりにかかりそうだし、
ご自身の使用環境を考えた上で選ばれた方が良さそうですよ。

ちなみに洗浄力だけでみると、
軟水を使った渦巻き式がダントツだそうですが、
軟水使用の洗濯機では2槽式がなかったので、我が家では、
細かな設定でスピーディーに洗い分け(対応)のできる2槽式を使っています。

以上は、国民生活センター実験結果から算出した結果です。
ちなみに現在販売されている2槽式で自動制御式があるのは、HITACHIだけです。



先日ご紹介させて頂いたエコロジーなバンブーの再生セルロース素材ですが、

僕も初めて取り扱う素材でしたので、洗ってみました。

生地を決めていただいた後の事後報告となって申し訳ありません。

でも、、お風呂で使うボディータオルで、何となく想像はついてましたけどね。(失礼!笑)







もし水に濡れたりしたら、

いったん風合いが固くゴワゴワになって縮みますが、

アイロンをかければ、伸びて元に戻りますし、風合いも光沢も回復します。



ただ繊維が柔らかいので、アイロンを強く押し当てないよう、

当て布として表面がフラットでスムースな生地を使って、軽くかけて下さい。

特にアイロンを滑らせたりするとテカり易いです。



強く押してしまうと、組織が潰れて織り目がガタガタになりますし、

光沢が戻るどころか、変なテカリが出ます。



Kさん、今夜の投函で残布を追加で送っておきますから、試してみて下さいね。

もしくは、クリーニング屋さんにテスト用として渡してあげて下さい。

ナチュラルクリーンだと問題ないと思いますけど。(笑)

末長く風合いを愉しんで頂けますように、、






もうかれこれ4年目のお付き合いになるFさんから、

「何度か着て気付いたのですが、今回のシャツ、タイスペースの開きが違うんです~」

というご連絡を頂いたので、最初、「裁断ミス?」とハッとしました。



裁断ミスであれば、首周りを小さく作り直しをさせて頂かなければなりませんが、

それと同時に、「もしかして今回のシャツが大きいのではなく、

それまでのシャツが徐々にクリーニングで縮んで小さくなってしまって、

対比的に今回を大きく感じられているのかもしれない。」という思いもありました。

そこでFさんにお願いして、同寸で作らせて頂いている今までのシャツをお持ち頂きました。



僕が、「いつ頃のシャツから、そんな風に感じましたか?」と尋ねると、

するとFさん、「最初の頃は大きいとは感じなかったんですけどね~」と仰りながら、

2年半前にお作り頂いたシャツを手に取られたんです。



実はFさんの場合、2着目で完成した型紙以降(3年以上も前です)、

それからずっとサイズを変えずにご注文頂いてます。

ところが、実際に寸法を測ってみると、

お持ち頂いた2年半前&1年前&3ヶ月前の3枚のシャツは、

首周りの寸法だけではなく、袖丈も、ほぼ同じ割合で短くなっていました。

それも、時代の古い順番に短く、、





もし裁断ミスであるなら、同じような割合ではなく首周りだけ大きいはず。

念のために、カフス周りや着丈も測ってみると、やはりほぼ同じ割合で短かったんです。

という事は、やはり洗濯による縮みだと考えるのが妥当で、

Fさんにその旨をお伝えし、2年半前のシャツのサイズで作り直した場合、

また同じように縮んだら、着れなくなると思いますが、良いですか?と聞いてみました。



今回、仮に気にされている襟だけを小さなものに取り替えたとしても、

また縮んでしまうと、首元が止まらなくなってしまいます。



これは難しい選択ですが、

縮んだ後を想定して作るか、最初にジャストサイズを作るか。

そう考えると、伸びる事を前提にキツ目を買うかどうか、靴を思い浮かべませんか?(笑)



そもそもFさんの場合、Fさんのご希望で、

首周りは若干ゆとりのある〝実寸+3センチ〟の型紙でリピートしてこられましたが、

その後シャツが徐々に縮むにつれ、Fさん自身が慣れられたせいもあって、

今回のように、真新しいシャツを大きく感じられたんだと思います。

僕もその辺りの慣れを考慮させて頂けば良かったのですが、

「前寸通りで」と仰るFさんに甘えていました。



今回の事で色々な事を学ばせて頂き、Fさんありがとうございました。



ちなみにFさんは、縮みや仕上がりに気を遣ってハンドプレス仕上げに出されています。

それでも、今回のようにネックで1センチ、袖丈で2センチ近く縮んでいました。



湿った状態(濡れた状態)で生地を引っ張って伸ばしもせずに

高温アイロンをかけると、極端に生地を詰まらせてしまう事があります。

またこれからの梅雨時期、タンブラー乾燥も縮みやすいですからご注意下さい。

もちろん生地によって縮みやすいものと、そうでない生地がありますので、

後は経験あるのみ、もちろん僕としても生地を選んで頂く際に、出来る限り伝えます。



マッセアトゥーラのシャツは裁断前に1着1着洗っているのですが、それでもこの結果です。

出来る限り、ご自身で洗ってアイロンをお願いしているのですが、

ご多忙で無理な場合、縮む事を前提に作るのか、難しいところではあります。






Mさんは、毎晩のようにBARで飲んで帰られるようで、

グラスを持たれる右手の肘の辺りに〝テカリ〟が生じてしまいました。





これは、カウンターと擦れて組織が寝てしまい、

さらに表面の毛羽がなくなって、繊維表面が平滑化することで起こります。



普段からのブラッシングで起毛を心がけ、スチームを当てたりして、

生地をふっくらと回復をさせてあげることで、

ある程度は避けることができます。

ただし、ムキになって擦りすぎて、生地を傷めないように注意して下さいね。(笑)



生地によってはあまり効果がないものもありますので、

適性を見ながら試してみて下さいね。