Iさん、Kさん、ご婚約おめでとうございます!
お義父様がご結婚された時にオーダーされ、着られたタキシードを
30年近い時を経て、息子さんになられるIさんが着られるとの事で、お修理を承りました。


このタキシード、このレベルで縫える職人さんは、
今では、ほぼ壊滅状態という、律儀な仕事がなされています。
イタリアとは対極にある、日本の超高級お仕立て服で、バシッとした作り。

胴回りで20cm近く詰めさせて頂くと云う大修理、腰ポケットも作り替え、細腹も移動という、
手間のかかるお修理ですが、それでも「良いものを気持ちと共に次世代へ繋ぐ、、」という精神的な部分で、
こちらとしても、とても大切なお仕事をさせて頂ける事に、感謝せずにはいられません。


パンツもウエスト20cm詰めをはじめ、全体のシルエット修正と、
ほぼ作り直しの状態まで解き、仮縫いをさせて頂きましたが、綺麗に収まりホッとしています。


先日のエルメスのコートもそうですが、
このような、バトンタッチの場に関わらせて頂ける事、
ほんとうにありがたく、縫製に携わらせて頂く職人共々、幸せに感じます。



Sさんのお婆様が着ていらっしゃったというエルメスのコートです。
40年近く前にお婆様が購入されたコートを、11号サイズ→9号サイズにお修理依頼を受けました。
一旦、仮縫いでシルエットをご確認頂いたうえで、本縫いにかからせて頂きます。
袖巾も細くして、アームホールの大きさも小さくしました。
何もかも、1sizeダウンさせています。


この生地はカシミアのダブルフェイス(Double Face)で、生地を2枚、縫い合わせて1枚にしてあります。
それを前身頃だけ、2枚重ねてありますから、この部分は生地が4枚と云うことになります。
最近では、仕立てに手間が掛かるせいか、ほとんど見かけなくなりましたね。

仕立ても、前身以外は完全な1枚仕立ての、いわゆるアンコン仕立てです。
デザインは、ローブのように、ベルトでウエストを絞って
着て頂く為、絞り方で表情も変わります。

今年の冬は、これを着てお婆様に会いに行くと仰っていました。
素敵なお仕事に関わらせて頂き、光栄です。
綺麗に仕上げさせて頂きます。



Tさんのお父様が新婚旅行に着て行くためにお誂えになられたスーツ。
そんな思い出のスーツをTさんが譲り受け、着続けられる。
そんなリフォームを承る機会を頂きました。

ご身長はほぼ同じですが、
体型の違いのため、仮縫いによる調整が必要です。


時代性のせいか、お腹周りがゆったり作られているせいで、
ウエストは10cm以上絞り、アームホールはコンパクトに、袖も6センチ細く。
バスト寸法は、いつも作らせて頂くTさんの寸法より大きく仕上がっているにもかかわらず、
なぜかフロントカットが「逃げ」ずに「拝み」ます。釦を留めると、釦から下が重なって重く見えるんです。
バスト周りを削り、肩巾も削り、上襟も付け直しました。
肩巾をもう少し削って、パッドを作り直した方が良さそうですね。


パンツも、ほぼ全部解いた大掛かりなお修理でしたが、
かなり綺麗なラインが出ているので、あとは前股上を2cm削れば大丈夫です。


その場で微調整を繰り返し、着てもらって、確認作業を繰り返します。


袖の振りを微調整すればいけそうな雰囲気♪
パンツの方も、ポケット作り直したので、なんとか収まりそうです。


出来上がりの画像です。
最初の画像があれば良かったのですが、
予想を大幅に上回る出来栄えに、Tさんも喜んで下さいました。

脇の絞りだけではなく、バストダーツの絞りも強くして、
Tさんのお体に合わせた、メリハリのあるボディーに再構築できました。


裏地も破れていたので、
破れた部分だけ取り替えさせて頂きました。
総張替えでも良いのですが、オリジナルな部分を削り過ぎないように、、


今回のリフォームの経緯についてですが、
前回ご注文下さった4PLYの生地をとても気に入って下さり、
「そういえば親父のスーツで似たような生地のスーツがあったなぁ」という事で、
前々からリフォームにご興味をお持ちだったこともあって、今回のリフォーム依頼に至りました。
お父様からTさんへ、、素敵ですね。



サイズが合ってないにも関わらず、
生地の色柄が気に入ってご購入されたエトロのシャツです。
最初から、マッセアトゥーラで直せば良いやと思ってご購入されたそうです。嬉しい!
身巾、着丈、袖巾、袖丈、袖タックのデザイン、そして肩傾斜、、ほとんど仕立て直しの状態でした。




いつも鮮やかなジャケットをオーダー下さるNさんは、

お手入れも、きっちりとして下さるので、いつも良い状態で着て頂いています。





『足元を見る』という言葉がありますが、

特に西欧では、高価な靴を履いているか?だけではなく、

どれだけ手入れをしているかを見る事で、その人となりまでを見ます。

自分の靴すら大切に出来ない人を仕事のパートナーとして信頼できないと聞いた事も、、

Nさんのお洋服を見せて頂くと、僕はいつも嬉しくなります。

たまに、ここでは言えない理由でズッコケますが、それもNさんのお人柄です。(笑)

この3着とも、ナチュラルクリーンさんに出させて頂きますね♪






30年前に編まれた古着のニットを洗ってみました。
シェットランドWOOLで編まれたフェアアイルのカーディガン(右)です。
手に入れた時ガシガシしていたので、家で手洗(釦穴は鹿革!)すると化学薬品の臭いが、、

倒れそうになりました。
その後も、しばらく気分が悪くて、、

3回ほど連続して、手洗いを続けたのですが、
今度は手がガシガシ!手の脂分までなくなってきたようです。
洗っているお湯が真っ黒けの状態から、ある程度まで綺麗になった時点で、
今度は柔軟仕上げ剤に漬けてみると、、最初と比べると随分と『ふんわり』したようです。
お湯のニオイや汚れの分だけ溶剤が残留していた衣類を着るかと思うと、ちょっと怖いものがあります。
これで気持ちよく袖を通せるようになりました。
こんな事があって思い出したのですが、
以前(10年程前)、マッセアトゥーラで買って頂いたスーツを
安心してクリーニングに出して頂けるお店を探していた時、ある技術者と出会いました。
そのお店は、いったんドライクリーニングをしたあと、
そのドライ溶剤を抜くために、さらに染み抜き工程を加えていました。
聞くと、それは特別な事ではなく、「私は、当たり前の事を今でも変わらず続けているだけです。」と。
その技術者は褒章を貰われている方で、その方が輩出した技術者も多いようです。

当たり前の事を当たり前に続ける、、
利益至上主義に向かうあまり、それが出来てない、、
それが悪いとは言えないけれど、引き換えに何を失っているのか、、
そこまで考えないと、きっと取り返しのつかない方向に向かってゆくのでしょうね。
だって消費者は技術者ではないのだから、
伝えるべき事を伝えないと、大部分は安価なモノに流れると思います。
意味もなく人の手をかける必要はありませんが、技術をお金に換える努力をせずして、
売れる方向(安くする)に舵取りをするだけでは
技術は残らないと思います。



Nさんから、「このコートをカシミアで!」とご注文頂き、

さらに、お手持ちのコートのお修理のご依頼も引き受けさせて頂く事に。





Nさんがご結婚される際に、お母さまが持たせて下さったそうで、

その後、あまり着る機会もないまま、今に至ったとか。

17年前のタグ、写真を撮らせて頂きました。

イタリアの匂いがプンプンです。

スポーツマックス



最近では、イタリアであろうとどの国であろうと、

世界戦略ブランドの場合、どのブランドもデザインが違うだけで、

お国柄と云う部分では、どれも同じような匂いしか感じないのは僕だけでしょうか?



このS.p.Aの文字はSPA(企画・生産・販売をトータルで行う業態)ではなく、
イタリア語の略語で株式会社の意味だそうです。

Societa per Azioni = S.p.A.
ごめんなさい、無知って怖いですよね。(汗)

ご連絡頂いたK氏に感謝です。ありがとうございました!




「全く違う物になっても良いですよ!」とのご意向ですから、

肩巾詰のバランスに合わせ、身巾で30cm、袖も15センチ程細くします。

仮縫をさせて頂いて最終的なシルエットを決めます。

襟をどうするか、、これも、

仮縫いでシルエットを見てから決めましょう!








以前ご紹介していたスーツですが、ツキを取らずに、ここまで修正できました。





以前に撮らせてもらっていたのに、ご紹介するのを忘れていました。(汗)

当初見られた肩線の波打ちも、完全に消えています。





原因も考えずにツキを取ることを、「臭いものに蓋をする」

そんなイメージとダブらせてしまうのは、僕だけでしょうか?(笑)

この回(3回目!)で、一旦「着心地チューンナップ!」を終わらせて頂きます。






お亡くなりになられたお父様が、

お母様との新婚旅行で着られたというスーツです。

45年の時を経て、ご長男のOさんのスーツとしてよみがえります。

ご実家のお母様も、とても喜んで楽しみにして頂いているようで、僕も嬉しい限りです。





サイズ(身巾)が違いすぎて、

肩の収まりが全く見えてこなかったので、

仮縫いで立体寸法を見極め、さらに解いて調整します。

袖も周寸で12cmスリムになるので、随分と違った印象になりますね。








名古屋のNさんからお預かりしたスーツです。

ご職業柄、「Cカップか!?」と思うほど良い体格をされており、

オーダーされたにも関わらず、バスト寸が足りず、前肩があたり、襟が抜けます。

フロントが、思いっきり引き吊っていましたので、それら全てを補正すべく、バラバラにして、

お修理させて頂きました。(マッセアトゥーラのスーツではありません!)

構想は除いて、ホドキから仕上げまで、18時間の大作です!

画像は、バスト部分に裏から手を当てて写してます。





手を抜くと、こんな感じになります。

バストやオメロピット(前肩部分の空間)に

どれくらいユトリが生まれているかがお解かり頂けるかと。。





立体を再構築するために、

生地の縫い代を出すだけでは足りないので、

中身まで、支障のない範囲で抜いて、仕上げてあります。

時間の都合で発送となりますが、次回お会いする時を楽しみにしています!

ドイツ公演、成功を祈ってます!