カケツギと言う技術をご存知ですか?
破れた生地を、もと通りに復元してしまえるんです。


画像の生地はカケツギ後のものですが、どこが破けていたか分かりますか?




残布(仕立てた時に残った生地)の糸1本1本と、
破けた生地の糸1本1本を繋ぎ合わせるという根気の要る作業です。


ですので、同じ生地がなければ、
糸と糸の太さが違ったり、微妙に色が違ったりするので、
綺麗に繋ぎ合わせる事ができなくなります。






出来上がったお洋服をお渡しする時に一緒にお渡しする残布、、
絶対に失くさないようにして下さいね!


今回も、カケツギ職人さんのお陰で綺麗に直りました。
いつもありがとうございます。
お客様に代わって、御礼申し上げます。







ブラックスーツのパンツが傷んだので、
追加でもう1本、スペアのパンツを作られました。


並べてみてから気付いたのですが、
光沢が全く違って、追加のパンツの方が光沢があります。
在庫で持っていた生地なので、ロット(染め釜)違いのせいではありません。
聞くと、クリーニングに何度か出されたとの事。






クリーニングに関しての、メリット&デメリットは、いつも皆さんに
説明させて頂いておりますが、
皆さん、なかなか実感が湧かないようです。
今回のOさんも、「高い授業料を払って初めて気付きました、、」と仰ってました。


ドライクリーニングは〝油性の汚れ〟を取りに除いてくれますが、
それと同時に〝羊毛の脂分〟まで抜き取ってしまいます。
ですので必要に応じてクリーニングをご活用下さい。
匂いが付いたり、プレスラインが消えたり、食べこぼしの染みが付いたり、、
こんな時は、クリーニング以外に解決方法がありますので、
お気軽にご相談下さいね。





これは、今から7年前に作らせて頂いたKさんのパンツです。
サイドポケットのカンヌキのところが破れたので修理して欲しいとの事。


このスーツは、オールシーズン着ておられるそうで、
月平均5回としても年間60回、7年間で400回を超える着用回数です。


Kさんは僕の教え通り(笑)、かなり行き届いたケアをして下さっているのですが、
それでも、この破け以外にも部分的に痛んできています。


今まで水洗いされた事がないとの事なので、
感謝の気持ちを込めて、気合を入れて水洗いをさせて頂きました。


汗をかいた上からドライで熱を加えられたせいで、
ガバガバした風合いになっていたものが、サラッとしたものに戻りました。






こんなお修理依頼って、最高に嬉しいですね♪
この仕事をしていて、ホント良かったなって思える瞬間です。


僕はスーツを売っているのではなく、
その先に存在するものを売っている気持ちでやっています。


着る楽しさ、着る喜び、着るとはどういう事か?
自分を主張するだけの着こなしから、相手のために着る着こなし。


着ると云う行為の本質〝なぜ着るのか?〟その部分を大切にしたいから。
その為には、洋服のお手入れもそうであるように、
モノを大切にする気持ちがなくては成り立たないとさえ思います。


その前に、思い入れを持って仕立てたスーツには、
自ずとそんな気持ちが芽生え、宿るのではないでしょうか、、







バーバリーのトレンチコートの袖口が擦り切れたと、
Nさんからご相談を頂きました。
通常、コートの袖はジャケットの袖よりも、少し長目に作っているケースが殆んどです。
見せて頂くと、ちゃんと余裕がありました♪


そんな場合、少し袖丈を短くすると、擦り切れた部分が内側に回りこみます。
そして、その部分を補修してしまえば、外から見ると綺麗です。
もしくは今回のケースのように、
内側に巻き込む分量と袖丈がジャストで合うなら、
画像のような位置で継ぐと綺麗ですね。






実際お修理をしてみると、「なるほど!」って思うことでも、
慣れていないと、意外に気付かないものです。
このお修理で、これまでの20年、そしてこれからの20年、、
まだまだ、、着て頂けます♪(笑)

今日Kさんが、ウエスト&ヒップ詰めのパンツを3本お持ちになられました。

詰める分量をピン打ちしている時に偶然気付いたのですが、

太腿の裏の辺りが硬くてコベコベしてます。

状況を聞くと、汗をかいたまま何のお手入れもせず、

アイロンを繰り返していくうちに、こんな風合いになってきたとか、、



ドライクリーニングは油性の汚れに効果はありますが、

水溶性の汚れ(=汗)はほとんど落とさない、という実験結果があります。

それが証拠に、クリーニングから戻ってきたパンツを履いた瞬間、

何かベトッとした感じがしませんか?



今回のKさんのケースでも、『水溶性の汚れ=汗』が残って、

それがアイロンで化学変化を起こし、硬くコベコべになってしまったと考えられます。







そのコベコベを取り除く為に、パンツの水洗いについてお伝えしたところ、

最初は、「じゃまくさそうですねぇ」と仰ってたKさんですが、

「実際やってみて、思ったほどじゃなかったし、これでパンツが長持ちするなら、

これからも積極的にやります!」と、ヤル気満々。(笑)



水洗いについては、今までも皆さんに結構お伝えしているのですが、

結構恐がって試そうとはされません。

最初は要らないパンツで試してみられては如何ですか?

ちょっとしたコツがありますので、くれぐれも失敗のないようにして下さいね。

詳しくは店頭にて、直接お問い合わせ下さい♪



当サイト中でも、どこかのコーナーで5年ほど前に書かせて頂きましたが、

ドライクリーニングや水洗いについては、色々と異論が多いので、

この場でリンクを張るのは止めておきます。(ビビリ笑)


スーツをサイズダウンする場合、一から仕立てる時と同じようにはいきません。

アームホールなどにも大きく影響するし、ウエストを絞る場合も、

背中側は絞れても、お腹側は腰ポケットがあるので、かなり厄介です。

また今回のパンツのように、

ウエストの三方詰めはもちろん、ヒップ周りを詰めようとしても

尻グリ線だけでは間に合わず、横の縫い線(アイビキ)まで削る事になります。

これでは横幅は詰まっても、ほとんど縦方向は変わらないので、

お尻が納まる空間が縦長になってしまって、

履き心地を損なってしまいます。



いつも〝仕立て直し〟と言ってもいいくらい、

かなり大幅なサイズダウンや、リデザインもさせて頂いているのですが、

最初のバランス(シルエット)や着心地を気にされる方には、お勧めはしません。

今回はMさんとの詳細な打ち合わせの結果、作り替えとなりました。

ちなみにこの生地は、440gのへヴィーウェイトなアイリッシュリネンです。




今日は少し肌寒いですが、陽射しはすっかり春ですね。

そろそろスーツも入れ替えの時期でしょうか。

僕はいつも、「あまり意味もなくクリーニングには出さない方がいいですよ」って、

皆さんにお伝えしてますが、お手入れはどうされていますか?



クリーニングに出したい!という方に、ナチュラルクリーンを、ご紹介させて頂きます。

ドライクリーニングのように、薬品で洗うのではなく、

特殊な水で洗って下さるので環境にもいいし、働く人にも害はありません。

ドライでは、95%近くが残ると云われる汗なんかもスッキリ!



それにクリーニングに出すのが恐い最大の理由であるプレス技術についても、

服の顔をしっかり読んで下さるので、安心です。

最近、僕が出す時はずっとココだし、たくさんのお客様が出されています。

数年前にNHKで、その技術が紹介されていました。

ただし、、モヘア素材は要注意ですので、ご相談下さいね。










シーズンインに合わせて、お直しも増えています。

素材も仕立ても良いお洋服は、お直しをしてでも、長く着て頂けます。







そうすれば、買う時にも、本当に気に入った良質の物を選べるようになるのではないでしょうか。



消費的購買から、投資的な購買に考えを切り替えると、

長い目で考えて、逆に経済的かもしれません。

良いものを手に入れ、長く使う。

その方が精神的にも豊かだし、経済的でさえあると思います。

そのためにも〝長く使う〟ちょっとした知恵と工夫が必要になってきます。



僕たちテーラーは、洋服を売ることは手段であって、

最終的には、物を大切にする文化を皆さんに伝える事だと思っています。







今日のOさんのお直しスーツも、英国ハッダースフィールドの

イングリッシュオークミルズで〝手間暇かけて〟織られた 『ドブクロス』です。




そろそろシーズンインの気配が、、

今日は時間の空く時がなく、皆さまにご来店頂きました。

季節に関係なくブラッとお立ち寄り頂き、いい生地があればご注文下さる方もいらっしゃいますが、

大半の方はシーズンに入ってからご来店下さいますから、これからの時期に集中します。

確かにシーズンじゃないと、生地を見てもピンとこないものですよね。



さぁ、気合い入れます!

みなさん、宜しくお願いしまーす♪



下の画像は、それとは関係ありませんが、

今日、カケツギのお修理が上がってきたTさんのパンツです。

分かりますか?どの部分が修復されているのか、、まさに職人技ですね♪




スタッフT君のジャケットが出来上がりました。

色々と、T君なりに考え抜いて仕立てたジャケットなのですが、

どうも出来上がってきたら、イメージと違ったようで気に入らないみたいです。

フラップ付パッチポケット(アウトポケット)ですが、リッパーでフラップを外す提案をしました。

通常ならイメージ通りの出来上がりとなるように、可能な限り説明をさせて頂くのですが、

T君には勉強のために!という思いで、最近は出来るだけ言わないようにしています。

そうやって自分なりに試行錯誤して初めて自分のものになりますから、、

それにしてもT君、凄い勢いで上達しています。

やっぱり、何でも情熱って大切ですね♪



残った針穴やプレス跡は、ちょっとしたコツは必要ですが、

もう一度、スチームプレスで綺麗になくなります。

この生地、麻30%&毛70%の混紡ですが、これがコットンだったり麻100%だと、

跡が残ったりするケースが多いので、

むやみに取ってしまわないように、ご注意下さいね。