今日、Nさんがお選び下さった生地です。
先日先にオーダー頂いたお洋服をお渡しの時に、
たまたま机の上に出ていた生地を気に入って下さいまして、
その時に僕が「この生地なら工房で仕立てさせて頂いたら、もっと
味わい深いお洋服になりますので、お勧めですよ!」と、お伝えしたんです。
Innes Chambers 『VICTORY』

その言葉に、Nさん凄くご興味を持たれ、
すかさず「生地によって仕立てを替えた方が良いって、
仕立て方で、そんな違いが出てくるの?」と、ご質問を頂きました。

その生地はラムズゴールデンベールを使用し、
更にその中でも、ほぼ同じ繊維長の原毛を使っており、
ドブクロス織機で織り、油脂分をたっぷり含んだ天然石鹸で洗い、
その後の乾燥も、乾燥機ではなく、10日間もかけて、ゆっくりと自然乾燥させるといった
昔ながらの製法を採っている生地でした。昔はこれが普通でしたが、今では気の遠くなるような作業です。
(この生地につきましては、後日改めて紹介させて頂きます。)

こんな生地に比べて、最近の織機で織られた生地は、
緯糸にかかるテンションが強く、生地が持つ柔らかい風合いや弾力性が失われてしまいます。
それに対して、ドブクロス織機でゆっくりと低速で織られた生地は、
糸にテンションがかからず、ふんわりとしたウール本来の柔らかな風合いと弾力性に富んだものに仕上がります。

そんな生地は、時間がかかってでも、手でゆっくりと縫えば、
生地が持つ風合いや弾力性を損なわずに、着用感の良い立体的な洋服に仕上がります。
弾力性のある生地に高速ミシンで縫った場合と、
ゆっくりとした速度(部分に世よっては糸と針で)で縫った場合では、
実際に縫った所を見比べてみると、その差は一目瞭然です。

そんなこんなで、設計士という立場で物作りをされているNさんは、
とても興味を持って頂いたようで、仕立てを優先して、改めて、この生地をお選び頂きました。

だいぶ、出来てきました。
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上襟の襟先のシルエットを決めるための
とても大切なアイロンワーク。
とても微妙な作業。
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神は細部に宿る~ 
バルセロナチェアで有名な建築家、
ミース・ファン・デル・ローエが好んで使っていた言葉ですが、
ディテール(細部)にも拘らないと、全体を高次元でまとめ上げる事は難しいと云う意味で使われます。

素材や形で時代を追ったり、デザイナーの世界観で勝負するトレンドファッションとは違って、
テーラードの場合、パッと見は同じように見えても、シンプルであるが故に
デザインより、サイズ感や細部の収まりが大きな差になります。
サイジングも細部の1つと捉えています。

細部にまで美学を浸透させることで、テーラードは装飾を超えた美しさを持ちます。
テーラードの場合、シンプルに形を決めようとすればするほど
デザインを削る方向に向かいます。だからこそ、
細部の差が全体の差となって現れる。

でも、、目的を外れた細かさだけの追求にならないよう、
全体を見据えたディテールの追求を日々意識して物作りをしてゆかねばなりません。
と、、久々に真面目な事を書いてみました(笑。

船場のOさん、
もうしばらくお時間下さいね。



マイスターファクトリーの特別課題『シャツプロジェクト』です。
着用感と見た目のバランスのせめぎ合いの中で、引き続き微調整をしています。
トワール、4着目。

前ヨーク部分でシッカリと襟の昇りを作って、首への吸い付を見ています。
シャツの命って、前立てから襟につながってゆき、いかに襟が巻きついてくるかですから、、
マイスターファクトリーの生徒さんたちの真剣な空気感の中で、僕も緊張感に包まれて心地よい時間でした。
トワール、4着目。





見た目と同じ、とても素朴なんですけど、その濃厚な味わい深さが癖になります。
パリでパタンナーをされているTさんに「お土産です♪」と手渡された時にズッシリとした重みを感じました。
その理由は、ふんだんに使われた素材の重さだったんですね。
5枚もいただけば、結構お腹にズッシリきます。
Tさん、ありがとうございます!
またパリで。。あっ!その前に、また夏に会えますね(笑。
素朴な味わいの、パリのパン屋さん、ポワラーヌのクッキー。



この時期は毎年、冬物と春夏物のオーダーが入り混じります。
中には、お1人でコートと春用のジャケットをオーダーされる方もいらっしゃったりします。
柔らかい毛芯を使って、見た目カッチリ、着用感は柔らか~く仕立てます。
最近流行の?接着芯も考えたのですが、Nさんらしさを優先して、、
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東京国分寺の『吉田スーツ』の店長、吉田さんと、
お世話になっている、ライターの名畑さんが遊びに(お祝いに!)来て下さいました。
吉田さんも僕と同じ2003年4月に、以前の会社を辞めて独立した仲です。
2003年秋、同じ雑誌に掲載して頂いた事をきっかけにして、
それ以来、10年来のお付き合いになります。
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その時に取材して下さったライターさんが名畑さん(写真左)です。
開店祝いに、お2人から貴重なイラストを戴きました。
アメリカから輸入して下さったそうです。
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1925年のLIFE誌に掲載された物だとか。
大好きなオレンジです!
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貴重な物をありがとうございます。焼けないように大切にします。
また東京に行ったら、遊びに行かせてもらいますね。
今後とも、よろしくお願いいたします。



お客さまと、そのお友達が
ハービスプラザの同じフロアにあるエノテカ
紅白のスパークリングワインを買ってきて下さり、新年を祝って乾杯させて頂きました。
いつもいつも恐縮です。本年も宜しくお願いいたします(カンパ~イ)!
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カシミアのストール、多くの方にオーダー頂きました。
プレゼントの方には、このようなラッピングをさせて頂いております。
ご自身や奥さま、お子さまの分、そしてお世話になっておられる方へと、ご利用頂きました。
お好きな色のネームを英国で入れ、オンリーワンを作って頂けるところに魅力を感じて頂けたように思います。
皆さま、本当に有り難うございます。
春にはカシミアリネン素材のストールもご紹介させて頂きます。




昨日お集まり頂いた皆さま、ありがとうございました!
特に準備はせずの開催でしたが、まった~りと楽しんで頂けたでしょうか
23時前にお開きになり、その時は酔ってなかったのですが、更にBar『HIRAMATSU』へ行って、
飲んで(呑まれて?)しまいました。さらにその後26時を過ぎてもう1件行ってしまい、
何故、このような写真があるのか、何となく覚えているだけです(笑。
不覚にも、ここまで酔ったのは10数年ぶりのことです。


さらにこんな写真まで(爆
記憶の中では、技術の中山に指摘され、灰が立っているのが
縁起が良いとか何とか言って、撮った記憶が、、
茶柱じゃないんやから~、ってね(笑。


皆さま、本当にありがとうございました。
あまりにもマッタリし過ぎて、写真を撮り忘れました(汗。



ミラノで探し出してもらった真っ赤なカシミアに鋏を入れる瞬間。
緊張してる時に、写真なんて止めて下さいよ~。
だって、絵になるんですから。。