本日30日をもちまして、
無事、2020年の営業を終わらせて頂く事が出来ました。

コロナ禍の中、応援して下さった皆さま、
身に沁みるという言葉の意味を、心から噛み締めた1年となりました。
本当にありがとうございます!

まだまだ大変な時期が続くと思われますが、
早く日常に戻ることを願い、やれる事をやっていきます。

現在また感染者数も増えてきています。くれぐれもお気をつけください。
それでは皆さま、素敵な新年をお迎え下さい。

年始は、4日(土曜日)11:00~ 営業スタートします。

4日まで、メールでの対応が出来ません。
店舗のPCでしかメールチェックできないアナログ人間です(汗。

お電話は1年365日大丈夫です!
店舗)06-6345-8708(携帯に転送になります)





お洒落なFさんから、爽やかなジャケットとパンツをオーダー頂きました。
ウールに、シルクリネンが混紡されたラグジュアリーな生地です。
合わせるパンツもシルク混紡のラグジュアリーで軽い、
爽やかなブルーグレーをセットアップ!


芯地の相性を見極めて芯据えを行い、
衿がけ・袖つけ・肩まわり・ポケットの玉淵など
その大部分を職人さんに縫ってもらうことで雰囲気が生まれます。
ソフトなタッチとドレープが美しい、ナポリらしいジャケットに仕上がっています。
イタリアンカラーのシャツも、また雰囲気です♪
このジャケットとパンツを着て、南フランスに行かれるそうです。




2018年03月09日(金) 訪問

イタリアを代表するラニフィーチョ(機屋/英語ではミルと言います)
VITALE BARBERIS CANONICO(通称カノニコ)の本社を訪問、見学させて頂きました!
今回の視察訪問は、
いつもお世話になっているボローニャの生地マーチャント『ドラッパーズ』社の社長
ドメニコ・ロッリさんにお手配をお願いし、実現しました。

訪問当日の朝、
ミラノでレンタカーを借りました。
アウトストラーダを1時間ほど走り、降りてから今度は
向かう方向にアルプスの山々を見ながら、のどかな風景の中を走ります。


少しずつ山間に入り、川沿いの道、車を走らせると、
アウトストラーダを降りてから20分ほどで同社に到着します。


イタリア毛織物の一大産地である
ビエッラのプラトリヴェロに広大な敷地をもつ同社。


毛織物に携わっていた事実を確認できる1663年当時の記録が残っています。
1863年には、
紡績から仕上げに至る全工程を自社で行うようになり(一貫房と呼びます)、
その後もどんどん進化を続けた同社は、
1910年(ちなみに大阪の市電は1903年に開通)には、
工場(織布工程)を電気によるフルオートメーション化させる事に成功しています。
その後も同社の生産体制(一貫房)は継続され、
今では最新鋭の機械によってオートメーション化されています。


今回の訪問で特に印象的だったのは、
今まで訪問した機屋さんと比べて明らかに静かでクリーンな環境。
そして働く人数が圧倒的に少ないことです。かなりの工程でオートメーション化が図られ、
デザインなど知的な仕事だけを人間がしている印象です。
労働者や環境への取り組みが評価され『欧州労働安全衛生機関』に表彰されたと聞きました。

また、世界に販路を拡大する同社は
現在年間800万メーター前後の高級紳士服地を生産しており、
その80%程が海外に輸出されているそうです。(オーダースーツに換算すると約300万着!)
フランスやイタリアの超高級既製服や、世界の注文服店が同社の顧客です。

最近では自社名のブランド化にもチカラを入れているそうです。

そのブランディング戦略の一環として、
フェラーリ社へ、オーダー用シートの生地を供給しているそうです!

また、
プロモーション用のノベルティーも豊富で楽しませてくれます。
イタリアらしいお茶目なオリジナルのチョッコラート。
他にも同社の生地を使ったピンクッションや
携帯用ショッピングバッグや靴袋など、
見学に来る者を引き付ける仕掛け
ありがとうございました!


実際の工場内をランダムに案内させて頂きます。
原毛は、オーストラリアにある同社の提携牧場から送られてきます。
洗毛(刈り取った羊毛に付いている脂分や汗、糞など、
土砂などを綺麗に洗い落とす工程)が終わった状態でパッキングされています。


下の画像、先染め中でも手間のかかる
TOP染色のひとつ『ビゴロ染色』と呼ばれるものです。
訪問話からそれますが、こんな機会も滅多にないので簡単に説明しておきますね。

これ、糸になる前の綿(わた)を引き伸ばした状態(スライバー)にプリントしているんです。
プリントされたシマシマのスライバーを、ほぐして混ぜ合わせることで、
全体を染めるより、均一で優しい表情のグレーになります。
プリント量の多少でグレーの濃淡を調整します。


これらの羊毛を使って、工場内で紡績(糸を作る)されます。


圧巻の染色釜。ここは染色工場じゃないですよ!
この規模からして、同社の織布工場としての規模が分かりますね。


はい、染め上がりました!
これから蒔き直しなど、幾つか地味な工程を経て
いよいよ生地が織られます(織布工程)。


同社の生地は
コストパフォーマンスに優れています。

生産量が圧倒的に多いので、
織布にもっとも手間のかかる成経工程がまとめられます。
他社と比べて圧倒的に少ないボディ(糸の種類、織り方が同じ物の呼称)で
多様な柄を反多く作れ、コストを抑えられるのです。

生地は経糸を引き揃えて、横糸の色や織り方でデザインをが変えます。
そのため、経糸をまとめて作っておけば、随分と効率が計れることになります。
これらの効率化は、同社にとってファッション性と反比例するどころか、
逆に自社一貫生産だからこそ、物作りの細やかな対応が可能となり、
ファッション性も高くなり、そこが同社が評価される理由だという印象を受けました。

販売力があるから、生産できます。
販売力があるということは、それだけ顧客の支持を集めるからです。
そして何より、同社は「紡績工程」を自社で抱える一貫房です。


また工場内を見て回ると、
そのメーカーのフィロソフィーがよく分かります。
同社の織機には全てカバーが付けられ、運転中は閉じるようになっています。
これは従業員の聴力(織機の運転音は凄く大きい)と安全を確保するためのものだそうです。
従業員に優しい会社、こういった点も
働く人のモチベーションの源泉となっているのでしょう。

こちらは、2014年に改装されたデザイン室です。


そして、
デザイナー室の奥にある扉を開けると、
バーカウンターのあるサロンスペースがあります。
生地棚にはCANONICOの生地が美しく並べられているんです。
大きな取引先を迎えてのパーティーなども、ここで開かれるのでしょうね。

さらにその奥には、
湿度が保たれたアーカイブ(生地見本)ルームがあります。
同社の過去のコレクションに加え、
伊、英、仏、墨から集められたコレクションが約2,000冊、これは圧巻です。
最古のものだと、1879年に編集されたそうです。


これらのアーカイブは、
新しいデザインの参考として、実際にデザイナーが使っています。

ただ将来的には、
この資料のデジタル化が進んでゆくと、
手に触れることさえ出来ない歴史的な資料になることでしょう。


今まで訪問した生地作りの訪問記は他にも書いています。
よろしければ、こちらもご覧下さい。
Magee/ドニゴールツイード① → こちら
Magee/ドニゴールツイード② → こちら

Edwin WoodHouse → こちら
Martin Sons&Co,Ltd. → こちら
Hudders Field の賃機屋 → こちら

Bateman Ogden → こちら
Holland&Sherry① → こちら
Holland&Sherry② → こちら
Ehglish Oak Mills/Dobcross → こちら

Acorn/シャツ地 → こちら

Idea Bierra/生地の見本市 → こちら


最後に、、
同じビエッラにあるピアチェンツァ社が1623年に毛織物商として創業、
1700年代に生地の生産を開始したとされますので、
カノニコ社が、現存する毛織物商として最古参であることは間違いないようです。




ナイロビに住む友人から、お土産をもらいました。
他にもたくさんもらったのですが、やっぱりこれがヒットです(笑
キンキンに冷やして飲んだ方が、このビールらしい味わいが楽しめるように思いました。
それにしてもなんで像の目が笑っているんでしょうね。サバンナで自由に生きている象はきっと笑顔なのです!