ウエイト400gのコットンポプリン素材です。
かなり手強い生地ですが、着ていくにつれ、しなやかになりますし、
毛芯で極限まで柔らかく仕立ててありますので、型崩れではなくNさんに馴染んできます。


生地が堅すぎて、縫製全体もそうですが、
手星(ステッチ)を入れるにも、倍近い時間が必要でした。
良い感じで入って、Nさんにも気に入ってもらえました。中山君お疲れさま!
このスーツの雰囲気に、タイユアタイのセッテピエゲの柔らかな雰囲気が良く似合ってますね。


腰ポケットのステッチも良い感じに入りました。
ポケットに物を入れてもらえば、いい感じにプックリしてきますよ。
このスーツは5~10年後が楽しみです。お手入れと扱い方はキッチリ、そしてガンガン着て下さい。




台湾雑誌WATCHER

台湾の雑誌『WATCHER』の別冊『紳士高級品』の『紳士高級品連載Vol.31』に
マッセアトゥーラのジャケットをご紹介いただきました。

着る人の身体と気持ちを引き締める注文仕立ての極上ジャケット 2010年のこの連載で、
京都の老舗帆布鞄店の生地で仕立てた上着を紹介した大阪の「Masse Attura(マッセアトゥーラ)」。
同店は2012年11月に同じ大阪・梅田のHERBIS PLAZA 2階に移転。
高級感溢れる新たな店舗で、上質でスタイリッシュなスーツ作りを続けている。

もともと「Masse Attura」は、大阪に本社を構える大手生地商社が1999年に新規事業を募集し、
当時、同社の社員だった柳瀬博克さんが提案した注文製作の紳士服店がはじまりとなる。
この事業は順調に業績を伸ばし、やがて2003年4月に柳瀬さんは生地商社を退職し、
独立して「Masse Attura」を開店させたのである。

テーラー「Masse Attura」の特徴は、
何よりも着心地とスタイルの両立を重視する柳瀬さんの入念な採寸とフィッティングである。
実は私はこれまで「Masse Attura」でシャツは仕立ててもらったことがあるが、スーツは未経験だった。
そこで今回、たまたまイタリア製の麻生地が手に入ったので、これを「Masse Attura」に持ち込み、
上着を仕立ててもらうことにした。

仕様は基本的に柳瀬さんにお任せ。
伝えたのは「とにかく格好の良い上着を作ってください」ということだけ。
スーツや上着を仕立てる場合、あれこれと希望を言ってもいいが、重要なポイントだけ伝え、
あとはテーラーにお任せした方が、その店の独自性が強く出るのではないかと思う。
台湾雑誌WATCHER

こうしてできあがったのが、この茶色い麻生地の上着だ。
スタイルは基本的に柳瀬さんの得意な「クラシコ・イタリア」。
襟幅はやや広めで、三つ釦の中ひとつ掛け。
釦の素材は天然の象牙椰子で、植物性繊維である麻とは同じ植物同士で相性が良い、というのが柳瀬さんの説明。
ここにも彼の鋭い感性が反映されている。

また、袖の釦はふたつ。
クラシコ・イタリアの上着では、袖釦を4つにして重ね付けしたりすることが多いが、
ここはあえて百年前の上着に習ってふたつ釦を選択した。
この釦は実際に開閉可能な「本切羽」と呼ばれる仕様になっているので、
ひとつだけ外しておくことで注文服らしさを強調できる。
まあ、これをあまり強調しすぎるのは野暮なので、ほどほどにしておくことにしよう。

では実際に着用した感じはどうか?
これが極上。決して窮屈ではないが、程良く身体を引き締めて、美しい線を描く。
日本男性の大半は身体に合っていない大きめの既製服を着て、それで十分だと思っているようだが、
本来の紳士服とは着る人の身体に合わせて仕立てられ、快適な着心地を提供すると同時に、
その人の一番、格好の良い部分を引き出さなければならないと思う。
もちろん、私も決して理想的な体というわけではないが、
柳瀬さんに作ってもらったこの上着は、初めて着た瞬間から身体にフィットし、美しいシェイプを見せる。
これが本物の紳士服である。
台湾雑誌WATCHER

●キャプション
(1)ラベル
とても簡素な「Masse Attura」のラベル。裏地は表生地の茶色に合わせて金茶が選ばれている。

(2)袖口ボタン
象牙椰子を削って作られたボタンを採用。薄い茶色が濃い茶色の麻生地によく似合う。
この釦は実際に開閉できるよう仕立てられている。

(3)襟
やや幅の広い襟にはハンドステッチが入れられており、注文仕立てらしさが滲む。
上着の仕立て料金は、最もお手頃な価格で54,600円から(生地代別)。
スーツは73,500円から。