マイスターファクトリーの口野君が、
型紙から最終の仕上げまで頑張ったスーツです。
まだまだ段取りがつかめずに、最後のほうは寝ていませんが、
これで3着目になるスーツで、自分の欲しい線を引き、欲しい雰囲気の洋服を
完成させる事が出来て、とても嬉しそうでした。合わせるシャツは焦げ茶でプレスがまだですが(汗、
このスーツを着て、明日からの新しい研修先に向かいます。2ヶ月間キツかったと思いますが、よく頑張ったと思います。
1日10時間の研修が終わってからも、毎夜毎夜、型紙を引きまくりながら、このスーツを縫い上げましたから、、




3日過ごしたシチリアとも今日でお別れ。
カターニャの駅前でパニーニとビールの晩ご飯を済ませ、


翌朝のナポリに向かう列車(終着はローマ)に乗り込みました。
もちろん、缶ビールも買っています(笑。


時間の節約も出来るしホテル代も浮くし、それより、
あの心地よい振動が子守唄みたいに聞こえ、酔いが回ってきて
自然に眠りにつける、あの心地よさが止められず、昔から夜行列車は大好きです。


カターニャ22:04出発
メッシーナ(海峡)駅23:30到着
準備を済ませ、23:50から船底に積み込み開始!


牽引してきた機関車を切り離し、
最後尾の車輌の後ろに機関車を連結し、後ろから押します。


列車が船内に押し込まれてゆきます。


前の3両だけ切り離して、一旦バックし、また次の列車を押し込みます。
今度は4両を残して機関車と切り離し、またバックする。
これを繰り返し列車は全て積み込まれます。
牽いてきた機関車はここまで。


積み終わったら、船内に出てゆっくり過ごせます。


メッシーナ海峡の夜景を眺めながら、
ナポリ側の港、ヴィッラSt.ジョバンニに向けて船はゆっくりと進みます。


船は、イタリア国鉄『トレ二タリア』の専用船です。
昔の青函連絡船も、こうして列車を積んで海を越えていました


25時、ヴィッラSt.ジョバンニに到着すると、線路がゆっくりと降りてきました。


今から約30分かけて列車を降ろします。


イタリアの地図を思い出して下さい!
船を出ると、イタリア長靴のつま先に上陸です(笑。
それじゃ6時のナポリ到着までゆっくり休みます、お休みなさいzzz
到着して午後から、ロンドンハウスの工房と、アミナ・ルビナッチのニット工房訪問です。


最後に、、
話の流れと関係ないんですけど、フィアットが作った初代ペンドリーノ(ETR450)です。
愛嬌のある風貌ですが、最高速度320km/hで、営業速度は250km/h。
1988年の登場で今は主要路線からは外されましたが、
日本の初期型0系みたいな扱われ方で、
今でも現役で走っています。


前回の出張の時はバルセロナに行った週末旅行でしたが、今回のシシリー行きも大満足!
ナポリに着いて、今日からまた工房巡りが始まります!!
それは、また改めて。



昨日と今日の午前中でカターニャを駆け足で見て回り、何となく町の雰囲気も分かったので、
午後から列車で、隣町のシラクーザに向かいました。*2005年世界遺産登録


駅前に自転車があったので借りようと、


タバッキの人とごちゃごちゃしてる内に、
システムの故障で、スタンドから自転車が離れないってなって、
ごちゃごちゃしていた時間も楽しくて今となっては思い出ですが、結局は歩いて回る羽目に。
ん?良く見ると、このテールランプ、僕の『Di Blasi』と同じですね。シチリアでは一般的なのかもしれません(笑!


予想以上に遺跡までは遠く、着いた頃には、、


ちょうど閉まったところでした(汗。
15時30分ですよ、15時30分!早すぎませんか!!?
中には入れませんでしたが、周りから中を覗けたので、すっかり入った気分(笑。


その後に行った博物館も閉まってて(こっちは休館だったかな?)、
そこで、偶然にも朝、電車で一緒だった英国人スティーヴと再開し、「俺らついてないよなぁ~」と笑いつつ、
そのせいか仲間意識が生まれて?一緒にオルティージャ島まで歩く事になりました。


途中、新興宗教?の建物みたいなの異様な建築物が現れたのですが、
彼はしっかり調べていたようで、これはマドンナ・デッレ・ラクリメ教会(涙の聖母教会)だと教えてくれました。


中に入ってみたり、、、


僕が、「しっかり調べんてんなぁ~」「そのわりに、全部閉まってるトコばっかり行ってるやん!」と言うと、
ガイドブックには、夏と冬で、営業時間に違いがあるとは書かれてないらしく、
逆に僕も聞かれたので、「俺は何も調べずに来た!」と言うと、
彼の説明量は一気に増えて、僕のガイド役になってくれました(笑。
彼はオックスフォード出身の秀才で、今でもメル友です♪

今にもフロアが抜けそうなチンクェチェント!
ミラノやフィレンツェでヴィンテージは見ても、こんな錆々は見なくなりました。


オルティージャ島に渡る橋の近くまできて、後ろを振り返ると、、あの巨大な教会が!
世界遺産の町に、この造形は似合わないように思うのですが、
教会が建てられたのは、世界遺産登録(2005年)前の、1990年だとか。


いよいよオルティージャ島です!
といっても、何があるのかさっぱり知りません(笑。


オルティージャ島は、シラクーサの旧市街。
とりあえず、てくてく歩きますが、スティーヴとの会話に気が散って?
あまり景色が目に入ってきません(涙。 でも、名ガイドになった彼から知識は頭に入ってきます(笑。


何となく、僕の好きな雰囲気が漂っています。


こんな雰囲気も何気な~く好きだし、


こんな雰囲気も好きです。
こんな石畳の路地に、パンダが似合います。
今のパンダより、ジウジアーロ率いるイタルDesigneデザインのパンダ。
シートの生地をミッソーニがデザインしていた事もあります。


apeが絵になりますね~


アルキメデス広場までやってきました。
これもスティーヴの受け売り(笑。 中央にあるのはアルテミスの噴水。
アルキメデスにアルテミス? ん?アルテミスってギリシャ神話に出てくる女神さまですよね?
何の関係? スティーヴが言うには、アルキメデスはシラクーサ生まれ。 きっと、何か意味があるんでしょうね。


ドゥオモ。 ミラノのドゥウォモみたいな威厳は感じなかったけど、
バロック様式の重厚な彫刻は豪華なのに、明るい感じがして、建築物としては僕は好きです。
BC5世紀に建てられたギリシャ神殿を、AC7世紀にキリスト教会に改築し、
内部にはアテネ神殿の円柱が残っているそうです。
この広場には、ドゥウォモの他にも多くのバロック様式の建築が建ち並んでいます。
スティーヴとは、ここでお別れ。近くのホテルに泊まってるそうです。


ここにもapeが! 大阪でも、たまに1台見かけたんですけど、最近、見なくなりました~


シラクーサ旧市街のあちこちからイオニア海が見えます。
夏なら、もっと綺麗なんだろうな~と、荒れたイオニア海に少しがっかり(涙。


道に迷いながら(最初から知らないんだから、迷うも何もないですね笑)、隈なく歩き回ります。


何だか不思議な光景が!
アレトゥーザの泉と書かれています。
このモコモコした植物は、何と何とパピルスだそうです!
ガイドブックを持ってないしスティーヴもいないので、その時は良く分からなかったけど、
帰ってから調べてみると!!
海沿いにあるのに真水が湧く不思議な泉で、パピルスが自生しているのは、こことエジプトだけとか。


島内(旧市街)ほとんど歩きました! 海沿いの道が町全体を囲んでいます。


陽が落ちてきました。


世界に誇れる日本の名車、ジムニーです!


どんどん陽が暮れていきますが、旧市街に人は歩いていません。


少し心細くなってきた頃に、こういう光景を見ると、人の気配を感じてホッとします。


どんどん暗く、、というか、空がどんどん綺麗になります!
ここにもapeが! ape好きなんです(笑。


どんどん空が碧くなります!


そろそろバスの時間なので、ターミナルに向かいます。
帰りはバスで、違う景色を見て帰ります!って、、暗くて景色は見えないですね。。
*ダイビング関連のステッカーが貼られたディフェンダー。 映画グランブルーロケ地タオルミーナからすぐですもんね


長々とお付き合い頂き、ありがとうございます。
これからカターニャまで戻って、そのままナポリ行きの夜行列車に乗ります。
急にフラッと来た町でしたが、もう一度、泊まりで来たい、こじんまりとした、素敵なところでした。
今回のシチリア、日本人には1度も会いませんでした。そりゃ、太陽と海の島シチリアに、冬になんて来ませんよね~



小学校からの友人Oさんが、人間国宝『志村ふくみ』さんの染色の学校に通っています。
自分で糸を染めて織った生地の画像を送ってきてくれました。
経糸(タテ)に白を使ってあるそうで、
天然染料の優しい色合いが、更に優しくなっていますね。
技の継承は感性の継承に尽きると僕は思います。
いっぱい綺麗なもの見て感性磨けよ~。




小学生の頃、スーパーカーブームでした。
昨夜、家に帰ると、懐かしい車たちがテーブルに並んでました!
スーパーカー消しゴム、覚えてますか? タミヤのアクリルカラーに浸けておいて、
出してから乾かすと、消しゴムがカチンコチンに硬くなるから、対決に勝って、どんどん増えました(笑。




牛乳があまり好きじゃない息子2人ですが、
お気に入りのマグカップに替えてあげると、自然と飲むようになりました。


飲み終わった時のコレも、目当てのような気がします(笑。


ふと思ったのですが、洋服も同じですよね。
洋服が変われば気分も変わります。サイズのあった服だと背筋も伸びます。
着ていて人から褒められたり仕事が成功したりすると嬉しいものです。朝の牛乳のパターンを当てはめると、
洋服が替わって結果が出たら(バナナが出てくれば笑)、洋服の大切さに気付かされる筈です。
大人も単純ですからね、、特に男の場合は何歳になっても子供じゃないかなと思います。
もしかして、そんな単純で子供染みてるのは僕だけなんでしょうか?(笑



これ、我が家のお風呂の換気扇タイマーです。
このアナログ具合が堪らなく好きなんですけど、廃番だとか。
この部品を選んだ時に、選ばなかった方の品番だけ継続されているので、渋々、、


そちらにする事にしたんですけど、なんかアナログ感が足りないと云うか、普通な感じなんですよね。
この品番ですら、いつまで継続するか分からないと言われて買い溜めしました!
この品番がなくなれば、他にタイマースイッチはないし、
でっかいタイプだけになります


機能だけを優先するなら何も問題ないし、
それどころか大きい方が、元々バリアフリー対応品なので、
押しやすく作られていますから便利なくらいです。でも個人的には見た目が、、

僕は気になるんです!!

谷崎潤一郎の陰影礼賛の件に、「今日、普通道楽の人が純日本風の家屋を建てて住まおうとすると、
電気や瓦斯や水道等の取付け方に苦心を拂い、何とかしてそれらの施設が
日本座敷と調和するように工夫を凝らす風があるのは、自分で家を建てた経験のない私でも~
凝り性の人は電話一つ取り付けるにも頭を悩まして、梯子段の裏とか、廊下の隅とか、
出来るだけ目障りにならない場所に持って行く。その他~」と続きます。
いつの時代にも同じように困ってた人がいたんだって思うと、
現代版陰影礼賛があれば面白いなって思います。
どーでも良い人にはどーでも良い。
そんな話題ですね(笑。



昨日の帰り道に撮ったグランフロントの写真。


只今24:30。終電もほぼなくなった時間です。


北館6F『UMEKITA FLOOR』は、『はしご酒・飯ができる!』『朝まで営業!』がウリで、
15店舗ほどが朝4時まで営業しているそうです。また行ってみよっと!





もう随分と前の事になりますが、僕は2008年2月、
ロンドンから北へ200キロほど北部の町ファースリー(リーズ近郊)に本社を構える
エドウィンウッドハウス(EdwinWoodhouse)を訪れる機会を頂きました。
Eウッドハウスは1857年にハダスフィールドで創業し、僕が訪問する前年に創業150周年を迎えています。
ロンドンからインターシティーで、駅まで営業企画部長のジョナサン氏が迎えにきて下さいました。


レセプションルームには記録的な写真や資料が置かれています。
レセプションルームと云うより、さながらアーカイブ(保存資料)ルームですね。


これから発表される生地サンプルです。


1910年代、バーバリーに供給された生地のアーカイヴです。


1897年のアーカイヴです。


他にもアーカイヴがシーズンごと(基本シーズン毎に年2冊)にまとめられています。


以前に訪問したホーランドシェリーと同様、
Eウッドハウスでも、自社でバンチサンプルを作成されていました。


サンプルにラベルを貼る地道な作業ですが、こうして、
バンチ(生地見本帳)も、多くの人の手で完成され、世界に向けて送り届けられます。


自社で織った生地をクオリティー別にストックし、
世界各国からの注文に応じてカットし、即日送り出されます。
ミル(生地を織る)とマーチャント(仕入れて切り売りする)に分かれますが、
Eウッドハウスは、両方の機能を有する稀な存在だと思います。少なくとも僕はほとんど知りません。


過去にドロップした生地も、こうして少しずつストックされています。


6プライはウッドハウスで織っていました
マッセアトゥーラにも、Eウッドハウスの耳が付いた6プライが少しだけあります。
スポルティーヴォ、、ドーメルで云うスポーテックスの意味合い。


機場に入って行きます!


今まで見せてもらってきた中でも、かなり大きな規模の工場だと思います。
低速織機ではありませんが、ほとんどがレピア織機でした。
バタバタで詳しく聞けませんでした(汗。


経糸(タテ糸)を変えて、、
マス見本(サンプル)を織っています。


エンドレスペーパー(紋紙)で生地の柄が表現されます。オルゴールを想像しませんか!
近代的なエアジェット織機だと、
柄出しなんかも、全てコンピューター化されています。


凄い量のエンドレスペーパー(紋紙)です。
こんな棚が幾つもありました。


原毛です。
以前は製糸部門も擁していたのか、、聞き逃しました。
何に使うのか、、この分量だけ無造作に置かれていたのですが、もしかしてオブジェ?(笑


緯糸(ヨコ糸)を打ち込む時、
持ち上がったタテ糸と、持ち上がらなかったタテ糸の間にヨコ糸が通って筬を打ちます。
*筬(オサ):経糸を整え緯糸を入れた後、目を詰めるために使う道具。
ヨコ糸→筬打ち、この繰り返しで柄が織り上がります。
*この内容は以前に書いていますので、そちらをご覧下さい⇒2010年3月25日


レセプションルームから見た工場の屋根を見ても、その規模が想像できると思います。


貴重な機会を戴いた皆さまに感謝いたします。
本当にありがとうございました。


大阪にある商売の神様、今宮戎前に店を構えられる
澤村萬壽堂本店にお願いしていた印章を、今朝、店を開ける前に受け取ってきました。
最初にお願いして以来10年、いつも澤村さんにお願いしています。
印章作りとスーツ作りには何かと共通点があるので、いつも興味深い話を聞かせて頂けます。
前にも一度、澤村さんの事を書かせてもらいましたが、今回は別の切り口。
印章もスーツも、材料と作り方で価格に大きな差があること。
*印鑑とは印影の事で、ハンコ本体は印章です。

・印材(印鑑を掘る材料)= 生地
・字入(印面に文字を書く作業)= デザイン製図
・掘り(印面を彫る作業)= 縫製

*こうして、文字の割り振り(バランス)を考えるそうです。


*一般的なコンピューターのフォントではなく、澤村さんは手で文字を描きます。
    特に複雑な文字や絵柄になると、
    彫れる人(服で云う縫製)はいても、それを描ける人(デザイン製図)が少ないそうです。
    ここで大切なのは、Aカラチェ二のカルロ氏も言う、「出来る出来ないではなく、
    出来たとしても、そこにクオリティーが伴っているかいないか」
なんです。


彫り(書き入れた文字を実際に彫る作業)は、縫製にあたります。


字入れにコンピュターのフォントを使うか、手で描くかで雰囲気が変わりますし、
彫りに機械を使うか手で彫るか、また機械で彫ったものを手で仕上げるかでも雰囲気は変わります。
この雰囲気の違いは価格にも反映し、印材の違いより、人の手間の掛け方の違いが、大きな価格の差となってきます。
人の手間の差(違い)を云う時、そこに合理化の差は無視できませんが、
人の手が生み出す物が尊いものである事に違いはありません。

スーツの世界も同じで、
同じ生地を使っても、仕立て方で価格差があります。
マッセアトゥーラでは実際に230,000円の差(シングルスーツ上下)があります。
製作時間の差で云うとおよそ70時間で、お客様にも仮縫着せ付けなどのお時間にお付き合い頂かねばなりません。
澤村さんと話して、忘れかけていた事を思い出したり、新たな気付きを頂いたり、、
時間が経つと忘れますね。意識の反復を怠っては駄目ですね(汗。
今日は久々に重い?話でしたね。お疲れ様です(苦笑。