サーフィンで胸囲や腕が太くなって袖丈が短くなったというYさん。
タイトに作っていたので、寸法が横に取られて袖が短くなってしまいました。


本開本切羽にしていたので、
肩を解いて長くしようかと思ったのですが、
出来れば仕上がりを考えると肩は解きたくありませんから、
今回は袖口だけで処理をしてみました。


Yさんのジャケットは袖口のボタンは4個ですが、
袖口から3個目までは本切羽にしていますが、4個目は〝開き見せ〟にして、
実際にメス(切り込み)は入ってません。


それを利用して、4個目の穴カガリを解いて袖丈を出し、
袖口に近い部分に新たに1個、穴カガリを施し、穴を開けました。
これで4個とも穴は開いてしまいましたが、肩を解かずに袖を出す事が出来ました。


袖口の汚れは染み抜きをして、
毛羽立ちも綺麗に処理をしたので跡形もなく綺麗です。
もちろん4個目の穴カガリも、糸目を残さず綺麗に消し処理をしてあります。











今日ご来店下さった方から、
「この店の特徴を20秒間で教えて下さい。」と言われました。


以前にも顧客の方から言われた事があり、
その時考えても3分くらい話してしまった事があり、
「そんなんじゃ、お客さん逃げて行くでぇ~」って言われた経験があります。


あれもこれも言いたい事だらけなので、
いっぱい話してしまうのですが、話された側は頭に残らない、、
それどころか、押し売りされたような気にさえなってしまうとも言われました。


僕は、大学の法学部を卒業してから繊維商社の総務人事で働いていたのですが、
マッセアトゥーラは、その時の会社で〝好きこそ物の上手なれ〟で、
社内ベンチャーで始めさせてもらった経緯があるくらい、
何せ、好きで好きで始めた仕事なので、ついつい熱く語ってしまうんですよね~(苦笑)


それ以来、色々と考えてはみたものの、今まで結論は出ずに至っていたのですが、
今日そんな事があって、出た言葉は20秒間程だったと思います。
それだけ店の方向性がシンプルに見えてきたんじゃないかなと思います。


今思い返しても、無駄がないですもんね。(笑)
それが、、今のマッセアトゥーラのスタイルなんだと思います。
これで、これからはスッキリ話せます♪







カケツギと言う技術をご存知ですか?
破れた生地を、もと通りに復元してしまえるんです。


画像の生地はカケツギ後のものですが、どこが破けていたか分かりますか?




残布(仕立てた時に残った生地)の糸1本1本と、
破けた生地の糸1本1本を繋ぎ合わせるという根気の要る作業です。


ですので、同じ生地がなければ、
糸と糸の太さが違ったり、微妙に色が違ったりするので、
綺麗に繋ぎ合わせる事ができなくなります。






出来上がったお洋服をお渡しする時に一緒にお渡しする残布、、
絶対に失くさないようにして下さいね!


今回も、カケツギ職人さんのお陰で綺麗に直りました。
いつもありがとうございます。
お客様に代わって、御礼申し上げます。











ひと言で言うと、
イタリアはローマ発信のブリティッシュコレクションです。


1864年にローマのボジーニ家より創業され、
創業当時は羅紗屋(生地屋)ではなく、小さな附属屋(裏地や釦など)でした。
やがて服地が、裏地と同程度の取り扱い量となり、
イタリア全土に販売網が出来たそうです。と、こんな話よりも、、


ユーロテックスは、イタリアのマーチャントでありながら、
85%以上の在庫が英国製となっています。
どんな雰囲気の生地が多いのか、それを一言でで言うと、
イタリアの華やかなテイスト(デザイン)と、英国の伝統的なニュアンスの融合と、
これぞまさに〝イタリアの陽光とイギリスの陰影〟です。(笑)


部分的なコレクションだそうですが、ロンドンのオフィスに原毛を在庫し、
幾つかのミル(機屋)に織ってもらってるそうです。
ユーロテックスのコレクションは、現代的なプライス重視のセレクションではなく、
原毛から生地の織り方まで徹底的に拘った、
クオリティー重視のセレクションとなっています。






夏素材だと、
ウール&リネン&マイクロファイバー(ポリエステル)の三者混の素材。
また、冬素材で目を引くのが、
スーパー160’Sの糸を使った拘りの4プライ素材。


これ以外にも通年のコレクションとしては36冊ものバンチサンプルがあり、
そのどれもが、1年を通じて在庫切れの起きないように徹底管理されています。


また、この36冊に加えて、
シーズン毎に2~3冊程度のバンチサンプルが登場します。







綺麗な発色で、ひと目見て気に入った色です。
ウールを主体とした麻素材で、少しだけポリエステルが入ってます。
このポリエステルがミソなんですよね♪






以前の僕だったらポリエステルなんて大嫌いでしたが、
その発色の良さと、型崩れしにくい特性に、最近ベタ惚れです!
夏だと若干熱がこもるかもしれませんが、
少しの混紡だったら問題ないでしょう!とういうか、夏は何を着ても暑いので、
最近は気にしてません!(爆)
それより、ホント少量だけポリエステルが混ざってるだけで、
それほどドレープ感も崩さずにイージーケアなのが、
僕みたいにガンガン着る人間には嬉しいですね。


このブログを読んで下さっている服好きの方の多くは、「そんなん蛇道やん!」って、
思われる方が多いと思うのですが、
最近の繊維の技術は進んでいるので、食わず嫌いは禁物ですよ!
騙されたと思って、是非チャレンジしてみて下さい。
ハマられる方が続出すると思います。(笑)
僕自身は、当分この〝マイブーム〟が続く気がします。(笑)


それにしても、このユーロテックスの発色は綺麗です。
ユーロテックスについては、また明日にでも、、





ブラックスーツのパンツが傷んだので、
追加でもう1本、スペアのパンツを作られました。


並べてみてから気付いたのですが、
光沢が全く違って、追加のパンツの方が光沢があります。
在庫で持っていた生地なので、ロット(染め釜)違いのせいではありません。
聞くと、クリーニングに何度か出されたとの事。






クリーニングに関しての、メリット&デメリットは、いつも皆さんに
説明させて頂いておりますが、
皆さん、なかなか実感が湧かないようです。
今回のOさんも、「高い授業料を払って初めて気付きました、、」と仰ってました。


ドライクリーニングは〝油性の汚れ〟を取りに除いてくれますが、
それと同時に〝羊毛の脂分〟まで抜き取ってしまいます。
ですので必要に応じてクリーニングをご活用下さい。
匂いが付いたり、プレスラインが消えたり、食べこぼしの染みが付いたり、、
こんな時は、クリーニング以外に解決方法がありますので、
お気軽にご相談下さいね。





お付き合いも8年目に入ったKさんのスーツです。
15着目にして初めて!柄モノ(ヘリンボーン)のご注文を頂きました♪
たまにブラックスーツをご注文頂くものの、それ以外は濃い紺色、それも無地ばかりです。
お洒落に究極を求めると、
究極のカクテルがドライマティーニだと言われるように(何のこっちゃ)、
スーツも紺、それも無地に行き着くと思います。
確かに紺色って無数にあります
近付かないと分からない、この程度の織柄ってお洒落ですね。
でも、、この生地はフィンテスのSuper150’Sで、かなり光沢がありますから、
遠目に見ても何となく分かってしまいますね♪



久々の海外通信、ナポリ編です!
【2007年1月8日】


今年の年初にナポリに行った時に、
カチョッポリのコジモ氏やアルヴェスティの冨士原氏の取り計らいで、
サルトリアであるラッジョ氏にジャケットをお願いできました。
そこに至る過程は、過去に何度か書いていますので、そちらをご覧下さい


ラッジョ氏のサルトは、ナポリの目抜通り〝キアイア〟にあります。
ナポリのサルトの多くは路面にはありませんから、
顧客は建物の玄関にあるベルを鳴らして、
中から電磁ロックを開けてもらってから入る事になります。
このスタイルは、マリネッラや、アンナマトッツオもそうであるように、
ブランド店は別として、ナポリの一般的なスタイル。
ちなみに日本人の服好き(買い物好き)が面白いのは、このキアイア通りではなく、
近くのフィランジェリー通りだと思います。(笑)




獲得した賞状の前で!(これは一部です)
ラッジョ氏は、1968年から1973年にかけての5年間、
名サルト、ヴィンチェンツォ・アットリーニと一緒に働いていたそうです。
ヴィンチェンツォと云えば、ロンドンハウスの生みの親、ジェンナーロ・ルビナッチと
ナポリの黄金コンビと云われた伝説のサルト。
ラッジョ氏も、ピーク時には15人の職人を抱えていたそうです。




仮縫の風景です。仮縫の段階で、
初めて見るピニニャティエッロ(pinìgnatiello)という肩の仕上げになっていました。
この仕立ては、彼がヴィンチェンツオ・アットリーニから学んだもので、
今のナポリでは、彼だけが継承しているそうです。
という事は、彼が最後って事ですよね、、
ちなみにこの撮影は、
ブログへも時々書き込んで下さっている、dainojiさんです。




仮縫後、ちょこちょこっと型紙を修正してもらいました。
本来なら、ナポリの採寸は何度かの仮縫をしながら合わせるスタイルですが、
今回はコジモ氏のジャケットが僕の好みにピッタリだったので、
それをベースに型紙を引いてもらったので、
結構スンナリいきました。




70歳を過ぎても、この伊達たちです!




ちなみに、ラッジョ氏に後継者はいません。
彼の息子さんはサルトの仕事に興味を持ってはおらず、
彼の職人も、彼の仕事に対する古い考え方についていきたくなかったそうです。
彼の経営者としての資質の問題か、職人の資質の問題であったのか、
そこまで立ち入っては聞けませんでした。


いずれにせよ、日本ばかりではなく、
手仕事の町、ナポリでも後継者難は深刻なようです。
この問題は洋服業界だけではなく、職人の世界では世界的に深刻な問題です。
長い間、効率と低価格を求め続けた余りに辿り着く先は、、
今からでも遅くはない、そう願って身近に取り組むべき事から始めないと、、





英国製’70年代のホワイトヘッド社のヴィンテージトニックです。
何ともマッタリとした色合いが魅力的です。
Kさん、この色合いにひと目惚れ!でしたよね!?(笑)


ナポリスタイルの3つボタンに始まり、
Vゾーン広めの2つボタンなんかも試されましたが、
結局は、ナポリスタイルの3ボタンに落ち着きましたよね。
辿り着いた全体の雰囲気はナポリを意識している訳ではなくKさん流、ですが。




今回の裏地は遊びましたね~




生地の織りマークを縫い忘れてて
お渡しが遅れてしまった事、お詫びいたします。
今後、同じ事が起きないように致します。







在庫していた生地から選んで頂き、スーツのご注文を頂いたのですが、
長目にカットされていて、捨てるのも勿体無いので、
ショートパンツの提案をさせ頂いたところ、ご注文頂きました♪






見た目にも爽やかなモヘア素材のブリリアントシルバーですから、
僕なら、真っ白なリネンニットなんかを合わせ、
素足にスエードの、ホワイトかネイビーのスリップオンを合わせたい気分です。
なのに、、最近、寒の戻りで寒すぎ~。(ブルッ)