プロ棋士の脳の働きの不思議について、研究が進んでいるそうです。

若い頃は経験が浅い分、計算する事に長けていても、

経験を積むと、読まなくても(計算しなくても)、大局観(直感)で判断できるようになるとか。

その経験に高いクオリティがあって初めて、クオリティの高い直感を生むし、

また、クオリティーが高くなるばかりか、スピードも上るでしょう。



その為には、いかに捨てる(捨てられる)かが重要で、

「美しいカタチか」、「バランスがとれているか」、を本質で捉えながら、

直感で判断し、思考をどんどん〝素早く〟省略してゆく訓練をしなくてはなりませんね。






コメント欄でパリのtakashiさんとのやり取りを通じて、

僕がこの仕事を始めて、ここ数年考えている事を〝思いつくまま〟

書いてみます。考えている事が上手くまとまらないかもしれませんが、皆さんに

考えて貰えるきっかけになれば。

以前から書いてる事とダブる事もありますが、ご容赦下さい。



シャツの職人さんが高齢で、あと何年仕事ができるか、、

若手の職人さんが育ってないんです。

これはシャツばかりか、スーツも靴も同じだし、

輪島塗など、日本を代表する工芸品の世界も同じです。

洋服業界の中でも、特にシャツの業界が後継者難は顕著です。

どうしてそうなったのか、諸問題ありますが、特に賃金面の問題が大きいように思います。

若いうちはお金がなくても、その仕事が好きなだけで何とかなっても、

結婚を考えた時に実際に生活出来ないのでは、続けていきたくても不可能です。



ここで話はそれますが、今の日本は〝大量生産大量消費〟社会。

そのせいで、急激に日本の経済が伸びたので、

それが駄目だったのか言われると否定はできないです。

でも、これからはそれを考えなおさないといけない時期ではないでしょうか?



皆さんの身近なものを例にとると、解り易いのは洋服よりも住宅だと思います。

日本の木造住宅の平均寿命は30年、1世代1軒を消費する計算です。

自分の人生、ほとんど家の為に働いているようなものですね。

それが英国のように75年住宅になればどうでしょうか?

勤労者世帯の月平均住宅返済額11万弱が、丸々

と言わずとも6割はゆとりに回せます。



家だけではなく、買い物をする時に誰でも〝安くて良いもの〟を探そうとしますが、

その選択条件の中に、「少々高くても長く使えるもの、、」を加えてみると、

少しづつですが、消費財が減って、ゆとりが出てくると思います。

僕はその事を高校時代に買ってもらった靴で実感しました。

20年以上現役で履き続けている靴が何足もあります。



家という大型消費財で考えると、その金額も大きく難しいかもしれませんが、

身の回りのものから少しづつ心がけ、それを実感してゆけば、

日本の感覚も昔に戻ってゆくように思います。



そうすれば耐用年数を考えて作ることが出来ない使い捨て前提の物から、

※コスト面で考えたくても考えられない!

少しでも長く使える物を求める人が少しずつ増えると、

それを作る(工場でなく)職人さんの後継者も、少しづつ増えるハズです。

それが日本が、今後本当の意味で先進国の仲間入りが出来る条件ではないでしょうか、、



職人さんがいなくなって困るのは、

最終的には、僕たち消費者であると思っています。

「俺には関係のない世界だ!」なんて言う方もおられると思いますが、

そういう人がいてこそ、工業生産品のクオリティが保てているという事実もあります。

そして、、気付いた時には時既に晩し、技術指導者がいなくなってるんです!

職人と呼ばれる人の平均年齢は、毎年あがる一方ですから、、



職人の後継者難という、我が業界の問題に直面した時、

日本全体の問題にまで置き換えられるなって、

恐らく大勢の人が感じておられるこの事実にやっと気付きました。

目指すべき方向が分かっているのに、何からどう手をつければ良いのか、、

世の中に影響力をもった人に〝ビジネスではなく〟一緒に真剣に考えて欲しい問題です。

先ず僕は、自分が始められる事からコツコツ始めます。






今日、お客様と時計の話をしていました。

そのお客様は、ゼニスのエルプリメロムーブメントを始め、

結構、メカ二カルな感じの時計が好きな方なのですが、最近2針が気になるとか。

実は僕もスーツ屋のクセして、スーツに似合う時計を持ってないっ!(笑)

既に廃盤ですが、イエーガールクルトマスターウルトラスリム辺りなら手が届きそう。

バックスケルトンで、手巻きなので、

自動巻きのローターで綺麗なムーヴメントが隠れる事もなく、

その美しさは際立っていると思いますが、できればステンではなく、WGモデル辺り、、笑。

ここで、「バックスケルトンでなくても美しい時計は内面から滲み出る、、」

みたいなマニア受けするコメントは無しにして下さいね。



シンプルが故に誤魔化しの効かない美しさ。

それはデザインを始め、素材感、仕上げ、組み上げたときの全てのバランス、

そして更には、シンプルが故に内面をも透かしてしまうくらい、

それくらい誤魔化しの効かないものだと思います。



削ぎ落としの美学って言葉がありますが、

スーツ姿でも、目立たないようにするのが本質の意味でのお洒落だという考えがあり、

そういう意味では、ディーテールで「すごい」と思わせるよりも、

仕立ての良さや、生地の良さがその人にマッチしてるかどうかが肝心です。

以前、ネービースーツについて書いた事がありますが、

そういう意味ではまさに、ネイビーがストレートに表れますね。



パッと見で目立たないネイビーですが、見る方は、その人に魅力を感じれば、

スーツの仕立ても見るだろうし、靴も時計も全てを見ると思います。

そのときに、キチンとしていれば、人に違和感を与えないし、

見る人が見ると、なるほどと頷かせるものがある筈。



何が言いたいか、よく分かりませんが、

自分も行き着くところ、そうなりたいなって事で、

これからも、そういう服を目指してゆきますよって宣言です。(笑)

そういう服って結局は、飽きずに永く着続ける事のできる洋服になりますから。



いつもマッセアトゥーラで登場する服は、それとは真逆な服が多いですが(笑)、

どの洋服も、基本的な美しさの上に成り立っていますので、

見た目だけの誤魔化しではないことだけ、、

、、宜しくお願いします。(笑)






高知在住のKさんのお知り合い、池さんのメチャ旨トマトジュースです。

いや、ジュースではなくて、これはもう、タバスコ欲しくなる!濃厚スープの域です。(笑)





キーワード、『池 トマト』で検索してみて下さい。

僕は知りませんでしたが、このトマトジュース、怖ろしく有名みたいです。



早速冷凍庫でキンキンに冷やして、戴きました。

オマケに昼間っから、超絶!レッドアイまで愉しませて頂きました。



その後お越し下さったYさん、Kさん、Tさん、申し訳ありません。

Kさんが最後と思って、魚肉ソーセージ&Beer!いってしまいました。(苦笑)



Kさん、いつもありがとうございます!

今回のバンブーのジャケット、楽しみですね♪






バシッと打ち込まれた張りのある生地がお好みの I さんのシャツが出来上がりました。

10枚近いacornの中で、このMALHAMシリーズだけで3枚目です。



それに合わせられる今日のスーツは、リアブラウン&ダンスフォードのオイスターで、

しっかり打ち込まれた、ヘヴィーウェイトな400gです。



昨年の秋にご注文を頂いてから、今日のご来店まで約半年の間、

コンスタントに、週に1回ペースで着てこられたそうですが、

正直なところ、まだほとんど馴染んでません。(笑)

生地が硬過ぎて、まだボコボコしてます。



英国の生地は馴染むまでに時間はかかりますが、着込むほどに味わい深く風格を増します。

着た瞬間から馴染むイタリアの生地とは好対照、国民性を表します。(笑)

もちろん、どちらも仕立て方にも依りますが、、





画像にはありませんが、今日もう1枚お渡ししたシャツがあります。

サックスの演奏の時にと選ばれたカンクリーニのシャツで、

インコテックスのパンツに合わせられます。

ラベンダーのロンストです!



バシッとスーツ姿の時と、普段着との使い分けをされるあたり、

質感までトータルでコーディネートされる I さんは、本質志向の本格派です。

I さん、いつも撮影ご協力、ありがとうございます!






ミラノでの初日は、楽しみにしていたミラノウニカの初日です。

ミラノウニカはイタリアの総合見本市で、2年ほど前に、

元々別に開催されていた次の5つの見本市が1つに集約されたものです。

 ・ Idea Biella  (紳士用の高級ウール地)

 ・ Idea Como (婦人用の高級シルク地)

 ・ Prato EXPO (プラート産地の服地)

 ・ Moda In    (付属品と各種テキスタイル)

 ・ Shirt Avenew(高級シャツ地)



この中でも、今回行きたかったIdea Biella(イデアビエッラ)は、

羅紗屋さん(アパレルやテーラーが生地を仕入れるところ)が行くような展示会。

ですから、僕たちテーラーは入場できませんし、それに、

羅紗屋さんでも、規模によっては入れないという敷居の高い展示会です。





にもかかわらず、今回は取引先の羅紗屋さんが到着される前、

大切なバイヤーパスをお借りできましたので、そぉ~っと潜入してきました。(笑)





そんな〝命懸けの真剣なバイイング〟の現場なのに、

興味本位でノコノコ参加してごめんなさい。





でも、僕たちの手元に届く生地が、どんな風にしてやってくるのか、

聞いてばかりではなく、見ておきたかったのです。





ここはアパレルメーカーが、来季はどんな服を、どんな生地で作るかを検討する場です。

そこで検討された生地の見本を持ち帰って、全体を見渡しながら再検討し、

最終、決定した生地だけをメーカーに発注する事になります。



そして、その生地を使って作られた洋服たちが、

1年後の同シーズンに店頭に並び、僕たちの手元に届けられます。

もしくは1年後に、僕たちテーラーの手元に届くわけです。



ということは、生地メーカーは、

1年先、製品になって販売される洋服を想定して、

生地を企画してるって事になりますね。



洋服地の見本市〝イデアヴィエラ〟と同様、

シャツ地の見本市〝シャツアヴェニュー〟も開催されています。





各メーカーのバイヤーが、イメージしやすいようにと?

各生地のイメージに合ったシャツに仕立て上げたメーカーもあります。





朝から晩まで1日歩き回って、巨大な会場を後にしました。

今回、色々とご尽力下さったKさん、そしてJさん、本当にありがとうございました!








本当に色々ありましたが(笑)、今回も充実した旅となり、今日帰国しました!
アイルランド行きが、諸事情によって急にキャンセルとなってしまい、
その分、思ってもみなかった先に寄せて頂けたり、
はたまた飛行機のフライトの関係でバルセロナに立ち寄ったり、
これまた日付を越えた深夜のリバプール空港に到着し、そのまま空港で寝たり、、
そんな中で、残念ながら叶わなかった訪問先は、次回の楽しみに取っておく事にします。
という事で、長い間お休みを頂き、ありがとうございました。
また今回の訪問に際し、お世話になった皆さまに御礼申し上げます。
その模様は追々お伝えしますが、先に訪問先の中から数枚ピクアップさせて頂きます。

Edwin Woodhouse (英国|ヨークシャー州リーズ)
右が共同経営者のジョン・ゴント氏、左が営業担当のジョナサン・スペンサー氏です。
acorn (英国|ランカシャー州ネルソン)
*acornの経営者、チャトバーン家
左から長男クリス氏、ジョン・チャトバーン氏、次男ジョージ氏
Martin Sons&Co,Ltd. (英国|ヨークシャー州八ダスフィールド>
左から営業企画デザイナーのハンナさん、マネージングディレクターのゴードン氏、
そして、セールスディレクターのジェーンさん
Bateman Ogden (英国|ヨークシャー州ブラッドフォード)
右が、自らこだわりの生地バンチサンプルを編集する社長、コリンズ氏。
*William Bill (英国|ロンドン)
ツイードのスーツにカシミアのネクタイ姿。
カントリージェントルマン的な着こなしには、年季が入った貫禄を感じます。
昨年のドネガル行きが実現したのは、この方のお陰でした。
*William Bill の織りネーム
*william Billのオフィスに掛けてあった仮縫い中のアイリッシュリネンのジャケットは、ヘンリープール製。
どうやら社長用みたいです。(笑)


実家の部屋の整理していたら、当時の海外の通販カタログが出てきて、

整理には至らず、今回のネタに至りました。(笑)



僕が中学生の頃に始めた個人輸入は、

最初は英語の勉強もかねて?物珍しさで始めたのですが、

高校時代に、ある雑誌で見つけた、ブルックスブラザースの日本未販売のシャツ、

それを個人輸入で手に入れた事をきっかけにブレイクしました。(笑)



当時は今のようにインターネットが普及しておらず、

情報は雑誌か足で稼ぎ、購入先とのやり取りも、全て手紙でした。

個人輸入を始めて10年経った頃、家庭用ファックスが登場して便利になりましたが、

それでも今から思うと、手間と時間がかかってましたね。

ちなみに、会社に入った頃に買ったキャノンの家庭用FAXは15万!(’92年?)





そんな手間をかけて届いたパッケージを解けば、、外国の香りが♪

簡単には手に入らない物を手に入れる満足感というか、優越感すらありました。



★バナナリパブリックの’88年当時のカタログ。





★ブルックスブラザースの’87年当時のカタログ。





★他にも、英国からボーンチャイナの磁器を輸入したり、

昔の映画のポスター(アンティーク)、ミリタリーウェアや、Momaまで。

この後、趣味が高じて通関士資格まで!





★このカタログが、初めて個人輸入したハーバード大学生協のカタログです。

’82年となっていますから、中学2年生?の時ですね。

チャンピオンのスウェットを輸入しました。





★NYのコーチ・レザーウェアの’87年当時のカタログです。

直接コーチに連絡して、僕が日本の総代理店になれないかを交渉したら、

翌年に三越との契約を控えているとの事でした。

身のほど知らずでしたね(爆。





インポート製品も、その情報も、今ほど溢れていない時代でしたが、

それはそれで、今とは違う豊かさがありました。






画像は、トルコ産のワインです。

今日、『華麗なる一族スーツ』のお渡しのあった笑、Oさんから頂きました。







イスラムの国というと禁酒のイメージですが、

トルコはソフトイスラムの国ですから、許されるようですね。

知らなかったのですが、トルコは世界で最も古いワインの産地だそうですね。



本当は、Oさんが新婚旅行で行かれた時に飲まれて気に入られたという、

コジャバーという銘柄のワインを探されているようですが、

残念ながら、まだ手に入ってないようです。

きっと見付かりますように、、「インシャアッラー」。



このワイン、3月の東京展示会の時にお披露目しますので、

東京の皆さま、一緒に愉しみましょうね♪

Oさん、そして奥さま、ありがとうございました。

大切に飲ませて頂きます。






今日届いたジャケットやスーツに使った生地の残布。

破れや虫食い時の〝カケツギ〟に必要な分量だけお渡ししますが、

それでも結構な分量が余る事も多いです。

捨てるには勿体無いので、ご希望の方がいらっしゃれば、

捨てずに置いておきますので、仰って下さいね。